富士山ローソンで黒幕設置完了…翌日の様子&地元の声は? 富士山マックに富士山スタバ、新スポットも

2024年5月22日(水)13時20分 All About

【取材】外国人が大勢訪れたことで黒幕が設置されることになった富士河口湖町のローソン前について、現在の状況をリポート。「富士山×ローソン」にはじまったSNS時代の大きな流行は多様化しつつあります。地元在住が考える、地元の生活と訪日外国人との共存の道とは?

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「一体どうしてこの場所がこんなに人気になったのか」という素朴な疑問から取材した記事「なぜローソン前に外国人の行列が!? 富士山の新人気スポットでその謎に迫る」公開より約1年。
SNSでタイや台湾などアジアを中心に広まり、いわば訪日観光客に「発見」されるような形で注目度を上げていった経緯に関する謎は解けたものの、記事公開後も「富士山×ローソン」の前で写真撮影をする観光客は、増える一方。
今回は、先の記事の追記として富士河口湖町に住む筆者が、「富士山×ローソン」が「富士山×コンビニ」「富士山×マック」など多様化しつつある様子をリポート。地元在住だからこそ考える、地元の生活と訪日外国人との共存の道とは?

日本人には不思議な感覚・アジア発“ニッポンビュースポット”ウエディングフォトまで

富士五湖周辺でのアジア発“ニッポンビュースポット”といえば富士吉田市の「新倉山浅間公園・忠霊塔」「本町二丁目交差点」です。「富士山×ローソン」スポットもそうなるのかも……? と書いてから約1年で実際に富士吉田市のアジア発“ニッポンビュースポット”と一緒に日帰りバスツアーにも組み込まれるようになってしまいました。SNSの広まり方は想像を超え速く、観光撮影を超えてウエディングフォトを撮影しているカップルを目撃した際は、日本人との感覚の違いも再認識することとなりました。

黒幕が設置される事態に

2024年5月現在、河口湖駅近くのローソン前は「オーバーツーリズム」といわれるさまざまな問題により富士河口湖町がローソンとは反対側の道に黒幕を貼る処置をすると発表。そのことが連日大きく報道され、5月21日ついに設置が完了となりました。結果、大騒動となってしまった「富士山×ローソン」……。
人の数だけ、考え方も千差万別、ひとくくりにはできませんが、地元の反応としてはおおむね「他に何か良いアイデアがあればいいけれどそうも言っていられない状況」といった声が多いように感じます。

話題になる前の富士河口湖町

そもそも富士河口湖町は、日本に来た外国人観光客がこぞって来るというわけでもなく、決まったお祭りの日(河口湖湖上祭)以外はどこへ観光に行ってもパーソナルスペースが十分に確保できるのんびりとしたところでした。
それが2013年、富士山およびその周辺スポットがユネスコ世界文化遺産に登録されたことを機に一気に外国からの観光客が増加。外国語対応、ホテルなどの宿泊施設、レンタカー、レンタサイクル店など需要に対して供給が追い付いてきたのはここ数年でやっとといった状況です。
駅前について言及すると、観光客に応えようといくつか食事を提供するスポットが増えましたが、駅前の道路は現在も昔ながらの生活道路のままです。もともとが車社会であり、駅前とはいえ世界遺産登録までは「歩いている人」が珍しいくらいでした。
コロナ禍にいったんその状況に戻り、その後一気に世界から人が過集中する事態が起こり、富士河口湖町だけでなく近隣の富士吉田市、ひいては富士山周り全体が初めてづくしのオンパレードに困惑しながら必死で対応しているのではないかというのが正直な感想です。
まだまだ地元側の受け皿が出来上がるまでの過渡期にあると言っても過言ではなく、今回の「黒幕設置」のように1つずつ試してみて解決・共存策を模索していくほかありません。

この事態は、観光地もSNSも過渡期にあるからこそ

今回の騒動はSNSの力があってこそでした。
世界のSNS利用者数は、2022年の45億9000万人から2028年には60億3000万人に増加する(総務省「令和5年 情報通信に関する現状報告の概要」)と予測されており、2023年10〜12月期の国土交通省観光庁の調査では、訪日外国人が出発前に役立った旅行情報源として1位「動画サイト」(37.5%)、2位「SNS」(35.0%)、3位 「個人のブログ」(27.2%)との結果が出ています。つまり、今後も受け入れ体制が整わないうちにSNSにより突如観光スポットとなってしまう「富士山×ローソン」のような問題は各地で起こり得るでしょう。
しかしながら、観光地側が過渡期であるようにSNSも過渡期にあります。最近でも大手プラットフォームのサブスク化やアプリ内課金などSNSを取り巻く状況は目まぐるしく変わってきています。
実際、今までリテラシーが個人に委ねられたメディアだったものが2024年2月からは、EU(欧州連合)がデジタルサービス法(DSA)を適用し、巨大プラットフォーマーに対して仕組みの整備などを求めることとなりました。これによりプラットフォーム側の対策も徐々に進むのでは、と希望が持たれます。
今のところ著作権侵害やフェイクニュースが大きく問題になっていますが、「映え」のために私有地に立ち入って撮影したものが「有害コンテンツ認定」となる未来もそう遠くはないのではないでしょうか。

富士山×マックなど新たなスポットも。共存ポイントは時間と場所の分散

さて、話を富士五湖地域に戻しますと、今回河口湖駅前のローソンが特に有名になりましたが同じように撮影している人が他のコンビニにはいない、というわけではないのです。富士の麓ですから、北に立ち、南を撮影すればどこに行っても富士山を背負うような背景が実現する地域です。たまたま「ローソン河口湖駅前店」が有名になり、他を知らない観光客の方々が殺到しましたが同じロケーションで撮影可能なローソン・コンビニはいくつか存在します。
実際に「富士山×ローソン」に限らず敏感なインフルエンサーたちは、次々新たなスポットを「発見」しSNSで紹介したり、スポット登録しはじめたりしています。
最近では、新たなスポットとして富士見バイパスと呼ばれる国道139号沿いの「マクドナルド 139富士見バイパス店」で撮影する人が徐々に増えている印象です。富士見バイパス沿いには、スターバックス、ユニクロ、ニトリ、ヤマダデンキなど富士山×「企業看板」が成り立つスポットが約4.2キロにわたり並んでおり、こちらも徐々にSNSでの露出が増えています。
また富士河口湖町、富士吉田市のある山梨県は、「日照時間の都道府県ランキング(令和3年)」(総務省「日本統計年鑑」)で1位となっており、快晴率が非常に高いエリア。富士五湖地域は快晴であれば本当にどこからでも富士山を見ることができますから、あなたのお気に入りの「富士山×〇〇」を探してSNSなどにスポット登録してみてください。
「富士山×ローソン」に端を発した「富士山×〇〇」スポットの開拓。これは富士山のある景色を見慣れすぎた地元の人にはできない観光客ならではの楽しみではないでしょうか。
この流れで新たなスポット登録場所が増えることで、撮影場所が分散され1カ所への過集中を防ぐことになれば良いなと思っています。
「場所の分散」の他、もう1つの共存ポイントは「時間の分散」です。
SNSに投稿される「富士山×〇〇」写真も、人気のあるものは被写体がゆったりと旅行を楽しんでいるものだと思いませんか?
観光客が集中してしまったスポットでなぜそんな写真や動画を撮れるのか。答えは、「撮影時間帯」にあります。
これは、地元では有名な話ですが富士山撮影のゴールデンタイムは、空気の澄んでいる早朝。
日の出から午前8時頃までを狙うことで思ったような撮影ができる可能性が高まります。その時間を過ぎてしまうと晴れていても富士山に雲がかかってしまい、せっかく来たのに「富士山ベストビューが見られない」なんてことも。
朝一番、さらに週末なら通勤のための車通りも少なく、狙い目。富士五湖地域で「富士山×〇〇」の撮影をするなら週末の早朝が良いと覚えてくださいね。
もちろん美しい富士山の麓、ゴミのポイ捨ては厳禁、マナー重視でお願いします。
(文:新橋 まい)

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