小さな赤い虫 5月によく見かけるその正体は?

2021年5月22日(土)11時0分 ウェザーニュース

2021/05/21 15:19 ウェザーニュース

5月に入ると、コンクリート壁などを動く赤い点を目にすることが多くあります。これは体長1mmほどの小さな赤い虫で、ダニの一種です。
1980年代以降よく見るようになりましたが、実はこの赤い虫については謎が多いのです。

「小さな赤い虫」の問い合わせが5月に集中

「小さな赤い虫はタカラダニというダニです。タカラダニ類は日本で4属13種が報告されていますが、人家付近で一番多く見られるのはカベアナタカラダニです。北海道から沖縄まで分布しています。コンクリートや岩石、煉瓦など乾いた場所を好み、建物壁面によく見られ、花粉や昆虫を摂食する雑食性のダニです」と言うのは、アース製薬研究部生物研究課の有吉立課長です。
この時期、アース製薬はタカラダニについて問い合わせが増えるそうです。
「毎年、5月になると、小さな赤い虫について問い合わせが集中しますが、5月を過ぎると問い合わせがパタッと止まります」(同社お客様相談室・川人展子次長)

真夏になると消えるタカラダニ

タカラダニの問い合わせが5月に集中するのはなぜでしょうか。
「カベアナタカラダニは毎年春先に卵が孵化し、5月になると成ダニが出現します。成ダニは産卵後に死亡し、7月になると死に絶えるので、見られるのは5〜7月の期間限定です」(有吉課長)
産卵場所は、屋上や地上敷地の壁面の隙間・割れ目です。このような狭い空間は温度や湿度の変化が少なく、アリやクモなどの外敵から身を守れます。卵のまま夏・秋・冬を越して翌年の春先に孵化するそうです。

タカラダニが分布を広げているワケ

最近になってタカラダニをよく見かけるようになったような気がします。
「カベアナタカラダニは外来種説があって、そのため最近よく見るようになったのかもしれません。それに加えて、都市化が進みコンクリートやアスファルトで他の虫が住みにくくなる一方で、そういったところが平気なタカラダニが分布を広げるようになったのではないかと推測されます」(有吉課長)

人を刺すことはないの?

タカラダニは人を刺したり噛んだりすることはありませんが、潰すと赤い体液が皮膚につき、場合によっては皮疹を生じることがあるそうです。大阪府池田保健所衛生課によると、コンクリートの建物の外壁やベランダ、屋上などで大量発生した場合は、ホースの水で洗い流すとよいそうです。
また、小さいため、窓や扉が閉まっていてもほんのわずかな隙間があれば室内に侵入することもあるようです。
「タカラダニはベランダなどから家の中に入ってくることがあります。さまざまな害虫を駆除する総合駆除タイプの『不快害虫用エアゾール』を使用するのがオススメです。待ち伏せ効果が1ヵ月持続するタイプなら直接噴霧しなくても家に侵入することを防げます」(同社ブランドマーケティング部・渡辺優一シニアマネージャー)
ちなみにタカラダニという名前は、子どもたちがセミを捕っていたとき、セミの体に赤い小さな虫がたくさんついていると金持ちになれるといって喜んだのが由来と言われています。

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