「トクリュウ」対策強化、首謀者摘発へ警察庁に司令塔…警視庁には全国から捜査員200人出向
2025年5月22日(木)10時42分 読売新聞
警察庁
SNSで離合集散して違法行為を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ(
匿流の関与が疑われる特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺などの被害は昨年、過去最悪の計2600億円に上った。昨年は首都圏を中心に「闇バイト」による強盗事件も相次いだ。
このため、警察庁に匿流専門の情報分析室を設置し、匿流の中核人物を特定・指定して、全国警察との情報共有を強化する。犯罪収益の流れを追跡するサイバー部門や刑事部門などの情報も横断的に集約・分析する。
警視庁では、副総監をトップとする「匿流対策本部」を新設し、専従で資金洗浄(マネーロンダリング)などの分析にあたる。捜査員約140人態勢で始め、来春までに全国警察からの出向者200人を増員する。
捜査力を一元化するため、従来の「組織犯罪対策部」は刑事部に統合する。同部内に新設する「特別捜査課」(約450人態勢)などが実際の匿流捜査を担う。
匿流対策を巡っては昨年4月、全都道府県警に「特殊詐欺連合捜査班(TAIT)」を設置。東京や大阪など7都府県警に約500人の専従部隊を置き、初動捜査などの態勢を強化した。
TAITを含め、全国の警察が昨年1年間に摘発した詐欺や窃盗などの匿流事件の容疑者は計1万105人に上った。だが、このうち「主犯または指示役」は約1割(1011人)で、大半は詐取金の回収役ら末端のメンバーだった。
匿流は東京を拠点に広域で違法行為に関与しており、警察庁は警視庁に人員を結集させ、捜査効率の最大化を図る。楠芳伸長官は13日、全国の捜査幹部を集めた会議で、匿流を「目下の治安上の最重要課題」と位置づけ、摘発強化と違法なビジネスモデルの解体に向けた対策の徹底を指示した。