長野県中野市の警察官ら4人殺害事件から2年、9月に初公判の見通し…刑事責任能力の有無が争点
2025年5月26日(月)15時15分 読売新聞
現場近くの観音像の前で手を合わせる女性(25日、長野県中野市で)
長野県中野市江部で地域住民と警察官の計4人が殺害された事件で、殺人罪と銃刀法違反で起訴された同市、農業青木政憲被告(33)の裁判員裁判の初公判が9月に開かれる見通しであることが、弁護人への取材でわかった。弁護側は犯行の事実は認める方針で、被告の刑事責任能力の有無が争点となる。事件の発生から2年となる25日、現場近くの観音像の前では被害者を悼んで手を合わせる人の姿もあった。
関係者によると、公判では刑事責任能力の有無を立証するため、青木被告の精神鑑定を担当した検察側、弁護側双方の医師が出廷する予定だ。情状証人として青木被告の両親も出廷する見込み。
弁護人によると、青木被告は差し入れられたバイクや自然に関連する本や雑誌を読んで過ごすこともある。被害者への謝罪や事件に対する反省の弁はなく、裁判に関する話題を差し向けても、興味を示す様子もないという。
起訴状によると、青木被告は2023年5月25日夕、散歩中の竹内靖子さん(当時70歳)と村上幸枝さん(同66歳)をナイフで殺害し、パトカーで駆けつけた池内卓夫警部(同61歳)と玉井良樹警視(同46歳)(ともに殉職で2階級特進)を猟銃やナイフで殺害したとされる。
事件は2年がたった今も地域に深い悲しみを残している。近くの男性(78)は「もう2年がたったのかという心境。被告の自宅前を通ると今でも事件を思い出す。事件後は夜に怖くて眠れないこともあった」と振り返った。青木被告の父親と親交があったという男性は「被告の両親に話を聞いてあげたい気持ちで現場周辺を散歩するが、会うことはできていない」と明かした。