メガバンク決算で明暗 三井住友の勝因はラグビー宿沢広朗元監督にあり

5月27日(月)6時0分 文春オンライン


故・宿沢氏の座右の銘は「勝つことのみが善」 ©共同通信社


 5月15日に発表されたメガバンク3行の19年3月期決算。三菱UFJフィナンシャルグループ(前期比11.8%減)と、システム投資に伴う減損処理に踏み切ったみずほフィナンシャルグループ(同83.2%減)が大幅減益だった一方、三井住友フィナンシャルグループ(同1.0%減)の健闘が光った。


 明暗を分けたのは、市場部門の「稼ぐ力」。業務範囲に差があるとはいえ、市場部門の業務(営業)純益は三菱UFJが減益、みずほが136億円の損失を計上したが、三井住友は増益を確保した。


 国内の低金利が継続する中、市場部門の巧拙は畢竟、米国の利上げスピードをどう見て、外債ポートフォリオをどう運営するかに左右される。昨年10月に米ハイテク株主導の世界的株安、昨年12月にも米利上げを起点に株安が連鎖した。米国債市場でも長期金利が短期金利を下回る逆イールドが生じたが、その後、米国の利上げスピードは一転、鈍化。この荒波をうまく乗り切ったのが、三井住友だった。



宿沢氏が創った伝説


 そもそも伝統的に同行は市場部門が強い。その伝説を創ったのが55歳の若さで現役専務のまま急死した、元ラグビー日本代表監督の宿沢広朗氏だ。ラグビーもディールも「最大限のリスクを負う」がモットー。奥正之FG名誉顧問も日経新聞「私の履歴書」で「彼が読み切ったのは長期金利の持続的な低下(略)三井住友銀行の市場関連収益は他行を凌駕し、不良債権の処理原資捻出に貢献してくれた」と絶賛したほどだ。安倍晋三首相の“腹心の友”として知られる高橋精一郎元副頭取もほぼ一貫して市場部門を歩み、トレーダーとして名を馳せてきた。


 この伝統を現在受け継ぐのは、市場部門を長く所管する宗正浩志専務だ。「マーケットを読む力が抜群だった“攻め”の高橋氏とは異なり、金融当局との対話にも長けた“守り”のタイプ」(市場関係者)。今回は、4月の人事でFG副社長に昇格した国際部門の大島眞彦氏との連携も功を奏し、米国市場の動向を的確に捉えた形だ。事実、大島氏も昨年末時点で「米国の利上げテンポは読み切っている」と自信を見せていた。


 世界経済の不透明化が加速する中、今期も各行市場部門の稼ぐ力が注目される。



(森岡 英樹/週刊文春 2019年5月30日号)

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