新幹線3人殺傷事件、容疑者は“密室”で自分を追い込んだ? 臨床心理士が見解

6月12日(火)17時20分 AbemaTIMES

 先週土曜日の9時23分、東京発・新大阪行きの最終「のぞみ265号」、16両編成の12号車で、愛知県岡崎市の自称無職・小島一朗容疑者(22)が殺人未遂の容疑で現行犯逮捕された。供述によると、小島容疑者は新横浜駅を発車した直後、棚に置いたカバンから刃渡り30センチほどのナタを取り出し、強行に及んだという。


 新横浜駅から乗車し、窓側の隣の席に座った女性を突然切りつけた小島容疑者は、その女性が逃げ出すと今度は通路を挟んだ隣の席の女性を切りつける。さらに、女性をかばおうと小島容疑者を後ろから羽交い絞めにした男性ともみ合いになった末、執拗に切りつけた。車内が大パニックになるなか非常ブザーが押され、「のぞみ265号」は小田原駅で緊急停車。警察官が乗り込んだ時、小島容疑者は通路にしゃがみ込んでいたという。


 女性をかばい亡くなったのは、兵庫県尼崎市在住の会社員・梅田耕太郎さん(38)で、妻と二人暮らしだったという。梅田さんの家族は「突然、家族を奪われたこの悲しみは言葉では言い尽くせません。今はそっとしておいてもらいたいです」とコメント。また、重症を負って現在入院している女性2人のうち、1人が弁護士を通じて心境を明かし、「すぐに助けていただいたのに、亡くなられた被害者の方には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。私を助けてくださった方々にお礼を申し上げるとともに、亡くなられた方のご冥福を心よりお祈り申し上げます」と述べた。


 警察の調べに対し小島容疑者は「新幹線の中で、殺意があって人を刺したことは間違いありません。むしゃくしゃしてやった。誰でもよかった」と供述しているというが、一体どのような人物なのか。取材に応じるまで事件の詳細を知らなかったという実の父は、「無差別だと彼の心理はちょっと理解できません」と話す。

 現在、小島容疑者は両親の元では生活しておらず、母方の祖母の養子となっていた。小島容疑者と実の両親が暮らしていたのは中学3年生までで、実の父は「水筒がほしいってことで、中古でもらいものの水筒を与えたところ、夜に私の寝室に包丁と金槌を威嚇する感じで『なんで俺は中古なんだ』と入ってきて。取っ組み合いました」というエピソードを語る。


 実家を離れ、施設で生活していた小島容疑者。夜間高校卒業後は名古屋の職業訓練校を卒業し機械の修理会社に就職したが、人間関係の問題から1年ほどで退職したという。そして、2年前から県内に住む祖母の家に身を寄せていた。祖母によると、小島容疑者は当時精神科へ通院しており、「『俺は入院したいんだ』って言うから。自分で『絶対俺はどっか悪いに決まってるから。普通の人と俺は違うと思う』って」と話したという。

 小島容疑者が生活していた部屋の引き出しから見つかったノートには、「人生においてやり残したこと」というタイトルがつけられたA4サイズの紙が存在。そこには「1、冬に雪山で自殺 2、刑務所 3、精神病院」と書かれており、祖母は「『俺はこの世は嫌だ』ということで、何かというとすぐ『死にたいんだ』って言って出て行っちゃった。俺は自由に生きたいんだ、それが許されないなら死ぬって」と話す。


 去年12月、自転車で祖母の家を後にしたという小島容疑者。それまでも家出を繰り返しては警察に保護されてきたが、家出の際にはロープを入れていたといい「『いつでも死ねるようにしてある』『自分で死ぬのなんかどうってことないけど、人に殺されるのは一番嫌だ』って。『最低な死に方』『人に殺されちゃ嫌だ』って」と祖母は明かした。


 自らの死を望んでいた小島容疑者は、なぜ無差別の殺傷事件を起こしたのか。『けやきヒルズ』(AbemaTV)に出演した臨床心理士で明星大学准教授の藤井靖氏は、犯行の動機について次のように見解を述べる。


 「容疑者に自殺願望があったということだが、自殺願望と他殺願望は表裏一体。自分が死にたいのに何で人を傷つけるんだと思うかもしれないが、『人を殺す』という意味で心理的背景としては共通している部分がある」

 また、犯行の場に新幹線という“密室”を選んだことについては、「小島容疑者が、自分が人を傷つける、殺すんだという気持ちを持った自分を追い込むために、逃げられない状況に置いたのではないか。次の駅に着くまでだいぶ時間がある、隣に傷つける対象となる人が座っているという状況に自分を追い込んで、犯行への衝動を掻き立てたのではないか」との見方を示した。


 では、小島容疑者はなぜそこまで追い込まれなければならなかったのか。藤井氏は小島容疑者が発達障害で入院していた経緯を踏まえた上で、「精神科に通院していたとひと括りにするのはよくないが、発達障害とするなら2次障害の可能性はあると思う」と指摘。「人間関係や社会生活がうまくいかないと、当然失敗経験を日常的に繰り返す。そうすると、どんどん心が荒んでいって、引きこもったり不登校になったりというのはままある話。その時に親がいかにケアできていたかがひとつの視点だと思う。発達障害は、(親の育て方が元々の原因ではないが)生育環境によって2次障害が出るか出ないか大分変わってくる。事件の予防、引き起こさないためにはもっと前の段階から考えなければならない」と、親が関わりを放棄せずに見守っていくことが重要だと述べた。


 一方で、世の中には発達障害や精神障害への偏見がまだまだ残っているとし、「恥ずかしいとか隠さなきゃいけないとか、そういう風潮が変わってくれることを切に願う」と訴えた。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)


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