【河野洋平氏講演詳報】(1)「米朝首脳会談の功労者は文在寅大統領」

6月13日(水)18時53分 産経新聞

河野洋平元衆院議長(宮崎裕士撮影)

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 河野洋平元衆院議長(81)が13日、都内で講演し、12日の米朝首脳会談の結果を踏まえた今後の日朝交渉の進め方などについて持論を展開した。講演内容は以下の通り。

 現役を離れて長くたちました。お役に立つかどうか自信がありませんが、せっかくのお誘いですので、少しおしゃべりさせていただきます。

 昨日の今日のことですので、米朝会談を絡めて私の感想をいくつか申し上げたいと思います。

 昨日は一日、テレビがトランプさんと金正恩さんを追っかけて放映していました。こんなに朝から晩まで政治問題を、テレビがお茶の間まで届けたのは久しぶりで、私の記憶にはないほどです。

 北東アジアにおける唯一の、世界でここだけと言っていいほど冷戦構造が残っている、あるいは問題が決着しないままに、問題を引きずってきている地域。それが片が付くかもしれないということですから、相当なことです。

 私の率直な感想を言うと、やっぱりアジアの一角における、こうした問題が解決するかもしれないということになって、アジアの人たちが相当、みんな関心を示して、集中してこの問題に片が付ついてほしいなと祈ったにちがいないと思います。

 私はこの問題で、非常な功労者は韓国の文在寅大統領だったんじゃないかと思います。あの人が米国と話をし、北の金正恩さんとも話をし、両方とも話ができる立場の人です。この人の熱意が相当に会談実現に大きな役割を果たしたんじゃないかと感じました。

 それはとにかく、朝鮮戦争は停戦状態のままとなっていて、とっくに終わったものだと思っている人も多い。しかし、38度線の板門店にいくと、ピリピリした緊張感がすごくある。戦争は停戦したままで終わっていないということがよく分かるわけです。

 大方の人は、若い方は生まれてこのかた、あそこで戦争があったわけではありませんから、朝鮮戦争なんてのは昔の歴史上の戦争と思っておられる方が多いと思いますけど、実はまだ停戦状態で、いつまた戦争が始まるかわからないという状況だったわけです。

 安倍(晋三首相)さんはよく国会で「国際情勢は緊迫している」「非常に緊張状態が高まってきている」と言われているが、これは毎年、予算編成の前になると、防衛関係者は必ずそういって防衛予算を要求するわけです。それは口癖というか年中行事というか、そういう面もありますが、緊張感がずっと高まっていたことは間違いないわけです。

 それは核を保持するとか、あるいはミサイルをテストするとか、北朝鮮はやっていたわけですから。やっぱり、いざとなればミサイルが飛んでくる可能性は十分ある。その先端に核をつけることができるように準備が進んでいたわけですから、間違いなく緊張状態はあった。

 よく言われるように、攻撃する能力があっても意思がないと怖くないとよく言われるが、意思があるかないかについては、そんなに一触即発というほど、キリキリしていたかどうか。戦略的にやるぞ、やるぞということは言っても、やらなきゃならない必然性はどのくらいあるか。

 それは、あす飛んでくるかもわからんというほどの緊張感ではないと思っていました。しかし、政治家とはよくそういったことを言うもんですよ。

 そういう状況だったのが、何と驚くなかれ。あれだけ罵詈(ばり)雑言を言い合っていたトランプさんと金正恩さんが会って握手をするというので、これは大変なことであることは間違いない。戦争をしていた両側の大将が会うというんですから。世界が注目の中で、昨日シンガポールで2人が会ったわけです。

 率直な感想の第一は、やっぱりああやってトップ同士が会うことはすごいことだと思います。緊張感が高まっているよ、緊迫しているよと口ではいうけれども、トップ同士が会ってみれば、やっぱり鉄砲持って、あるいは爆弾つくってというよりは、テーブルを挟んで話し合う方が安心感が持てる。話し合うことによって、お互いの危なさが取れたんじゃないかと思えましたよね。

 やっぱり、話し合うことはとても大事なことなんです。話し合うことで、平和が近付いてきたという感じがしました。

 今朝の新聞をみると、結果の内容がよかったか悪かったかというのはいろいろ評価があるようですけど、それは置いておいて、戦争状態が続いているという状況の中で、両方の親玉が会って握手をして、お互いにいいやつだとか言い合って、信頼関係が少しでも醸成されてきたことによって、一触即発の状況から、何かあれば話し合いができる。これからおそらく何かあればトップ同士が話をする、あるいはトップがやったんだから、もう少し考えられるんじゃないかということになって、解決方法が見つかる可能性が出てきた。

 やっぱり、トップの話し合いはそれだけの意味がある。昨日の会談が意味があったかなかったかでいえば、意味があったし、大変なことだったと思っていいと思います。それを演出し、実現させた。最後に決めたのは金正恩であり、トランプだが、そこに行くまでの間に雰囲気をつくり、準備を整えたり、文在寅という人が相当一生懸命やったと思っています。

産経新聞

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