今が旬の「さくらんぼ」と「アメリカンチェリー」、栄養豊富なのはどっち?
2024年6月27日(木)5時10分 ウェザーニュース
2024/06/27 05:10 ウェザーニュース
初夏の果物の代表、さくらんぼ。明治初期に日本に導入されて、主に山形で栽培されるようになり、現在生産量の7割以上を占めています。
さくらんぼというとこの時季、佐藤錦などの国産ものと、赤みが濃く大粒のアメリカンチェリーと言われる輸入ものが同時に店頭に並んでいます。両者に栄養などの違いはあるのでしょうか。詳しい話を、山形県天童市の果樹農園、ヒロ・スマイル・ファームの後藤広美さんに伺いました。
さくらんぼは体を温める?
果物というと、体を冷やすものが多いのですが、さくらんぼは珍しく体を温める効果があると言われています。
「古くから寒い所で育つものは体を温めるといわれていて、さくらんぼもその一つです。また薬膳の世界では胃腸の消化吸収能力を高め、下痢を止め、顔色を良くすると言われ、エアコンなどで冷えすぎたり冷たいものを食べすぎたりした時にはおすすめの果物です。
また、鉄分は果物の中でもトップクラス、カロテンはリンゴや桃に比べても4〜5倍含まれています。ほかにもビタミンB、Cやカリウムなどの栄養素がバランスよく含まれているので、うちの果樹園でも“天然のサプリメント”としておすすめしています」(後藤さん)
「さくらんぼ」と「アメリカンチェリー」の栄養成分
国産のさくらんぼとアメリカンチェリーは、全体的にどちらもバランスよく栄養が含まれていますが、異なる栄養成分もあるようです。
「国産ものと輸入もののアメリカンチェリーは100gあたりのエネルギーは変わりません。栄養面での主な違いは、国産ものは輸入ものに比べてαカロテンが13μg(アメリカンチェリーは含まず)、βカロテンやβクリプトキサンチンが3〜4倍多いことが挙げられます。
αカロテンは体内でビタミンAに変化し、抗酸化作用が強く、活性酸素の発生を抑制する働きがあります。また皮膚や粘膜を丈夫にしたり、視覚を正常化したりする効果を持つと言われています。
βカロテンやβクリプトキサンチンもαカロテン同様、体内でビタミンAに変化し、皮膚や粘膜の健康を維持したり、ニキビなどの予防に役立つと言われています」(後藤さん)
一方、アメリカンチェリーはどうでしょうか。
「輸入もののアメリカンチェリーには、国産ものに比べてナトリウムを排出し高血圧予防に効果があるカリウムが1.2倍、骨を形成したり、血圧や体温調節に関わるマグネシウムが2倍含まれています。また、貧血予防や産前産後には欠かせない葉酸や糖質も若干多めに含まれています」(後藤さん)
さくらんぼのさわやかな甘味にかかわるソルビトールは、便秘解消にも役立つといわれ、赤い色には抗酸化作用の強いアントシアニンが含まれています。旬が短いさくらんぼ。“天然のサプリメント”をおいしく味わいましょう。
取材協力
果樹農園ヒロ・スマイルファーム(https://www.instagram.com/hiro.smile.farm/)