夏の体のだるさ、疲れやすさ=「隠れ脚気」かも?

2018年7月13日(金)8時0分 ウェザーニュース


2018/07/13 11:28 ウェザーニュース

体がだるい、疲れやすいのは夏バテのせいではなく、隠れ脚気(かっけ)かもしれません。脚気は戦前まで毎年1〜2万人が死亡し、結核と並ぶ2大国民病といわれていました。
戦後になって、栄養学とビタミン剤が普及して激減しましたが、インスタント食品を常食する人たちに、体がだるい、疲れやすいといった脚気予備軍が増えているのです。

鳥取大医学部が行った栄養調査

1970年代、西日本各地で、脚のむくみやしびれ、動悸、息切れ、腱反射の消失(ヒザの腱を叩いても足が上がらない)、心臓の雑音といった症状を示す人が増えました。
鳥取大学医学部が調査に乗り出しました。血液検査をするとビタミンB1濃度が極端に低く、典型的な脚気でした。患者19人(16〜60歳の男女)の栄養調査を行ったところ、即席麺と清涼飲料水の摂取が多く、中には即席麺を1週間に20食という人もいました。
即席麺や清涼飲料水などに多く含まれる糖質を分解するには、ビタミンB1が不可欠です。これらの食品を大量に摂ると、分解にビタミンB1が使われて不足し、脚気を引き起こすのです。特に夏はビールや清涼飲料水の摂取が増え、汗をかいてビタミンB1が失われやすい季節なので要注意です。

即席麺にビタミンB1を添加

即席麺を食べる人は、包装に印刷されている「栄養成分表示」を確認してみてください。多くの即席麺には、ビタミンB1、ビタミンB2、カルシウムが添加されています。1970年代に即席麺を常食して脚気になる人がいたことからビタミンB1などを添加するようになったのです。
おかげで今は即席麺で脚気になることはなくなりましたが、レトルト食品や清涼飲料水などにはビタミン類が添加されていません。

隠れ脚気の症状に注意

戦後、脚気を激減させたのは、武田薬品工業が開発したビタミンB1剤「アリナミン錠」(1954年発売)です。その武田薬品工業がHPに「インスタント食品中心の生活をしている現代人に再び脚気予備軍が増えているといわれています」と注意を喚起しています。
そして潜在性ビタミンB1欠乏症として、「体のだるさや倦怠感、足のむくみ、動悸、息切れなどの症状を引き起こします。この状態は脚気ではありませんが、さらにビタミンB1が不足すると、発症の可能性が高まるので、脚気予備軍とも言われています」(武田薬品工業HP)

脚気予防法を紹介

1)ビタミンB1を多く含む食品をとる


ビタミンB1は、玄米、豚肉、うなぎ、枝豆などに豊富に含まれています。また、ビタミンB1の吸収を高める成分であるアリシンが豊富な玉ねぎ、にら、にんにくを食材に加えるとさらに効果的です。

2)市販薬でビタミンB1を補給する


食事からビタミンB1をとることが難しい人は、ビタミンB1が含まれたドリンク剤やビタミン剤を服用します。ビタミンB1は体に吸収されにくい特徴を持っていますから、体への吸収率を高めたビタミンB1誘導体が含まれた医薬品で補う方法もあります。
夏の疲れだとばかり思っていたら、実は脚気だったということがあり得るのです。バランスのとれた食事を心がけ、清涼飲料水のとりすぎに注意したいものです。


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