小池百合子の選挙狙い「コミケを応援します」にオタクは騙されるな! マンガやアニメの規制を主張した過去が

7月25日(月)18時46分 LITERA

小池百合子オフィシャルサイトより

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 7月31日の投票日を前に、いよいよ終盤へ突入した東京都知事選。そんななか、リードしていると伝えられる小池百合子氏のある発言が、ネット上で波紋を呼んでいる。発端は、今月17日に投稿された以下のようなツイートであった。


〈私は東京を文化の発信地にしていきます。コミケ開催地も出版社もその多くが東京にあるのです。東京都が総力を挙げて、コミケを応援します!〉


 このつぶやきには、小池氏が『魔法使いサリー』の主人公・夢野サリーのコスプレをした写真(当人は「魔法使いユリー」を自称している)が添えられ、ネット民たちからは失笑が漏れた。


 さらに同日、小池氏は秋葉原で街頭演説に立って「私の地元はトキワ荘があった豊島区、アニメの原点。豊島区が秋葉原と手を結んで、キラーコンテンツを世界に発信して、インバウンドを呼び起こして、東京を元気にする。魔法使いユリーを都知事に!」と語り、「東京アニメランド計画」を有権者に呼びかけた。


 小池氏のこの一連の動きに対し、一部のマンガ、アニメファンからは疑問の声が。「魔法使いユリー」なる寒いコスプレに対してではない。かつてマンガやアニメの表現を規制しようと動いていた小池氏の過去に対して、だ。


〈あれ? 小池百合子って表現規制推進派だった記憶があるんだけどなんか間逆の事言い始めてる〉
〈小池百合子氏は表現規制派ですオタク都民は冷静な判断を〉
〈小池百合子さんは早急に表現の規制に関する考えを再度まとめて公表すべきです〉


 多くの人が指摘している通り、自民党下野時代の2011年、第178回国会にて小池氏は細田博之氏とともに、「青少年健全育成のため児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の早期改正を求めることに関する請願」の紹介議員となっている。


 その請願とは以下のようなものであった。


〈現行の「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」では児童ポルノの売買や譲渡は処罰の対象としているが、「単純所持」は処罰されない。また、ネット上においても、児童ポルノをパソコンや携帯電話に取り込む「単純所持」が許される限り、違法画像が児童ポルノサイトに掲載されると、不特定多数の利用者がコピーを繰り返し、画像が無数に広がり、負の連鎖を断つことができない。さらに、漫画やアニメ、ゲームソフト等「仮想のわいせつ画像や性的虐待の表現」も目に余り、これ以上、児童ポルノの氾濫を放置しておくことはできない。一日も早く児童ポルノサイトに接続できなくなる制度等を導入し、全ての「単純所持」を処罰できる有効な法律改正をすべきである。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。


一、児童ポルノに関して、全ての「単純所持」を処罰できるよう、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」の早期改正をすること。〉


 つまり、小池氏は実在する人間の写真やビデオだけではなく、マンガやアニメ、ゲームのキャラクターも含めた性的コンテンツの単純所持は罰則化するべきだと動いた、完全なる表現規制推進派なのである。「コミケを応援します!」どころではない、疑いの余地なくコミケにとっての敵だ。


 周知の通り、この「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」は、その後再び自民党政権となった2014年に改正された。それにより単純所持に関する罰則規定などが新たに定められたが、当初改正案に盛り込まれていた"非実在青少年"を対象としての閲覧制限について調査検討するという部分は、議論の結果、盛り込まれないこととなった。


 これは、性的虐待の写真や映像とは違い、実際の被害者が存在しないことから、児童を守るのが趣旨の法律のなかに表現規制にまつわる文言を入れるのは筋違いなのではないかという議論、またその表現のどこからが「ポルノ」であるという難しい線引きは誰が行うのか、しずかちゃんの入浴シーンが出てくる『ドラえもん』も児童ポルノに該当するのかといった意見が出てきたことによる取り下げだった。


 5年前の時点では、このように表現規制を推進しようとしていた小池氏だが、では、いまではどのような考えをもっているのだろうか。音喜多駿・東京都議会議員は今月17日に更新したブログのなかで、表現規制に関する現在の立ち位置について小池氏に質問。その回答を載せている。


「表現規制派と言われることは極めて遺憾。創作活動は自由に、大いにやってもらいたいと思っている。私だってアニメは大好きで、毎年コスプレもしてる」


 これを受けて、なるほど、小池氏の考えも変わったのだと思うのは早計だ。続けて語った言葉のなかに、マンガやアニメの表現規制に対する小池氏の本音が隠されている。


「ただその中には、あまりにも目に余るものがあることは事実。それが子どもたちに無制限に届くような状況には、何らかの対策が必要ではないか」


 いったい小池氏の言う「あまりにも目に余る」とは、誰にとって「目に余る」ものなのか、また、「何らかの対策が必要」なのかそうでないかの線引きは誰がするのか。そういった線引きをする権利は誰が有しているのか。そういったことを一切説明せずに、規制は必要、と主張しているのだ。


 漫画家の山本直樹氏は、マンガやアニメへの表現規制について、過去にこんな意見を述べている。


「時速60km制限の道路を誰も時速60kmで走っていないわけだけど、いざとなればいつでも捕まえられるわけです。そういう権力の自由裁量を増やそうとしているとしか思えません。日本の漫画にはいろんな種類の作品があって、その中には下品なものも下衆なものもあるから面白いんです。そして、何が下品で何が下衆かということは、お上が決めることではなく、読者が決めることです。また、『表現の自由』も黙っていて上から貰えるものではありません。その都度、確認していくことも大切でしょう」(「FRIDAY」11年8月5日号/講談社)


 確かに、あまりにも行き過ぎた表現が市場に出回ることに関しては、色々な意見があり、ある程度の基準を設けてゾーニングすることは必要かもしれない。ただ、それはもう現状すでに行われていることであり、これ以上の締め付けが必要なのかは議論が必要だ。


 それ以上に問題なのは、明確な基準も出さず、「あまりにも目に余る」と簡単に言ってのけてしまうその考えだ。その裏には、山本氏の言う通り、「権力の自由裁量を増やそうとしている」という側面が露骨に見え隠れする。


 それは小池氏に限ったことではない。彼女と考えを一にする者は往々にしてこういう考え方をする。「表現の自由」に関して運動を重ねてきた山田太郎元参議院議員による著書『「表現の自由」の守り方』(講談社)では、衆議院法務委員会で自民党の土屋正忠氏からこんな発言があったと書かれている(著書のなかでは名前は伏せられているが、ホームページで公開されている議事録によればこの発言は土屋氏のものとある)。


「私たちの年齢になると、例えば「鉄腕アトム」、手塚治虫。手塚治虫のシリーズは全部読みました、最後の「火の鳥」まで、復活の問題まで。それから、非常に温かい感じでは「サザエさん」。「ドラえもん」もありましたね。それから「ゴルゴ13」などは麻生副総理も愛読者ですが、私はその次ぐらいじゃなかろうかと思っております。それから、「まことちゃん」、「漂流教室」。ちばてつやさんが描いた「あしたのジョー」、最後に白くなって燃え尽きるというシーンは今でも覚えていますよ、全力を尽くした後。そのほか、「課長島耕作」、「沈黙の艦隊」、これは私の友人が描いた本であります。「ワンピース」。最近読んだ本の中には、「テルマエ・ロマエ」という、ローマ時代と現代とを行ったり来たりするとても楽しいあれがあります。
 私は、創作物というのは、まさに言論の自由とか表現の自由の中で出てくるものというのは、人々に勇気を与えたり希望を与えたり、それから失意の底に陥っている人を励ましたり、こういうことこそ創作活動の意味であって、先ほどの資料一に出てくるような、気持ち悪くて読む気にもならないような劣悪な表現をもってやっているものを保護する必要はない。
 よく自粛するという話がありますけれども、こういうのは自粛してもらわなければ困るんです。創作活動が萎縮するというけれども、豊かなところでどんどん創作活動をやってもらうと同時に、こういうことについては萎縮してもらいたい」


 この発言を受けて山田氏はこのように書いている。


〈犯罪にあたる行為が描かれた創作物を規制せよと言うのであれば、こうしたマンガだって問題視されなければおかしいはずです。『ゴルゴ13』は殺し屋が主人公の作品であり、『島耕作』は不倫を繰り返すサラリーマンの話で、『沈黙の艦隊』にいたっては原子力潜水艦と核兵器で武装したテロリストの話なのですから。
 結局のところ、自分の好きなものは規制する必要はない、自分が嫌いなものは規制せよ、と言っているに過ぎないのです〉


 小池氏が簡単に言う「その中には、あまりにも目に余るものがあることは事実」は、こういった発想と地続きにある。


 では、なぜ小池氏は急に「コミケを応援します!」などと口にしはじめたのか。それは、先の参議院選で「表現の自由を守る」を公約として掲げた山田太郎氏が全国比例で29万票をとったことから、オタクが票田となると認識したからに他ならない(皮肉にも、リテラシーの高いオタク層からは一瞬でその真意が見抜かれてしまったが)。


 当サイトでは、小池百合子氏の本性は、人種差別的な極右ヘイトであり、「女性知事」ということでしきりにアピールしている待機児童に関する政策なども単なる見せかけでしかないことを紹介し続けてきた。


 もともと数年前から、2020年の東京オリンピックを機に大幅な表現規制が起き、とくに、コンビニに置かれている成人誌は一掃されるのではないかとの危惧が噂されてきている。もしも小池氏が都知事になれば、まずは反対意見の出にくい性表現から規制をかけ、いずれは政権批判などにもその規制を拡大していってもなんら不思議ではない。そんな世界を望むのかどうか、よく考えてから投票所へ向かっていただきたい。
(新田 樹)


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