「スポ根」を感動ドラマに仕立てる甲子園はブラック労働の生みの親だ

8月1日(木)6時0分 ダイヤモンドオンライン

未来ある若者に無理を強いて美談を求める――日本社会に蔓延する狂った「信仰」は甲子園や部活だけでなく、ブラック企業でも犠牲者を生み出し続けている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

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夏の高校野球予選で、肘に違和感を感じたエースの登板を回避した大船渡高校に抗議の電話が殺到した。相変わらず、「無理を押してでも頑張れ」という、根性信仰とでもいうべき異常な価値観が蔓延しているのだ。ブラック企業にもよく見られるこの「信仰」のせいで、今なお大勢の若者が心身を壊し、時に命まで落としているというのに。(ノンフィクションライター 窪田順生)


大船渡高校エースの登板回避で

抗議電話が殺到する事態に



 ここまでクレイジーなことになってくると、もはや「熱闘甲子園」というより「発狂甲子園」とでも呼んだ方がいいのではないか——。


 夏の高校野球岩手県予選で、県立大船渡高校のエース佐々木朗希投手が、肘の違和感を訴えていたので、監督が登板を回避したところ、球場では怒りの「ヤジ」が飛び、高校にも「なぜ投げさせなかった!」という抗議電話が250件以上も殺到。野球部関係者の「安全確保」のために、警察が出動する事態にまで発展したというのである。


 クレーマーたちは野球賭博でもやっていたのかと困惑する方も多いだろうが、ご乱心ぶりはそれだけにとどまらない。「ご意見番」として知られる野球評論家の張本勲さんが、「サンデーモーニング」でこんな発言をしたのだ。


「苦しい時の投球を、体で覚えて大成した投手はいくらでもいる。楽させちゃダメ。スポーツ選手は」

「けがを怖がったんじゃ、スポーツやめたほうがいいよ」


 中学・高校で起きる事故の半分以上が運動部で起きており、その数は年間35万件にものぼる。その中の多くは、スポーツ科学の「か」の字も知らぬ、“ド根性監督・コーチ”が課したオーバーワークによる「人災」だということが、さまざまな調査で明らかになっている。国や自治体の「部活動ガイドライン」は、そんな昭和の価値観を引きずる“ド根性監督・コーチ”の暴走を防ぐ目的で生まれたのだ。


 そういう今の学生スポーツの深刻な問題をまるっきり無視して、前途のある青少年に進んで「破滅」を促すような発言は、さすがにダルビッシュ有選手をはじめ、多くのプロアスリートから批判されている。スポーツを愛し、生涯の仕事としてキャリアを重ねる人たちからすれば、極めてノーマルな反応といえよう。





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