研究員だけが知るゴキブリの知られざる生態
2018年8月1日(水)6時0分 ウェザーニュース
2018/08/01 06:53 ウェザーニュース
ゴキブリが活動的になる時期に有効な対策法をアース製薬に取材している中で、ゴキブリにはまだまだ知られざる生態があることがわかりました。
そこで、ゴキブリにまつわるちょっとしたエピソードや、都市伝説の検証、また、害虫の研究員ならではの「あるある」ネタをまとめてみました。
薬剤に耐えるターミネーターのようなゴキブリがいる
ゴキブリは基本的に殺虫剤で退治することができます。ただし、突然変異などで薬剤が効かず、生き残る個体が稀に発生することがあります。
「生き残った個体がさらに繁殖していくので、遺伝子を引き継いだ薬剤耐性ゴキブリが代々生き延びて、抵抗性がどんどん強くなっていく」と、アース製薬・マーケティング総合企画本部の渡辺優一さんは話します。
「5年、10年経つと同じ薬剤では耐性がついてしまうので、殺虫剤メーカーは成分を変える必要性に迫られます。ただし、これは、特に強い薬剤を使う必要がある飲食店のケースで見られる現象です」(渡辺さん)
これは飲食店に繁殖するゴキブリ(主にチャバネゴキブリ)の話です。一般家庭でよく見るゴキブリ(クロゴキブリやワモンゴキブリ)とは種類が異なるので、一般家庭にはそこまで薬剤に耐性の強いゴキブリはいないそうです。
卵には薬が効かないって本当?
ゴキブリの卵は、殻鞘(からさや)と呼ばれる固い殻に覆われています。この殻はコンクリートのような素材でできており、とても固い上、基本的に薬剤は通さないようです。
「親が卵を抱えている場合、毒エサ剤を食べると親の体内を通して毒が卵にまで作用することはあっても、産み落とした後にはいかなる薬剤も効かないのです」(渡辺さん)
幻の白ゴキブリは本当にいた
都市伝説のように語られる真っ白な体色を持つ、その名も「白ゴキブリ」。本当にいるそうです。
「実際の色は、カブトムシの幼虫のような乳白色。その正体は、特別な種類ではなく、脱皮したてのゴキブリです」(渡辺さん)
ただでさえ警戒心の強いゴキブリは、脱皮したての無防備な状態でちょろちょろ出歩くことはないので、一般的にはほとんど見るチャンスがないことから、「幻」とされているようです。
ゴキブリは臭いでわかる
ゴキブリだけでなく、虫にはそれぞれ独特の臭いがあるそうです。
少量ではわかりませんが、アース製薬社内で研究のため害虫を飼育している施設があります。数十万から数百万匹という単位で飼育していますので、そこでは、一般の人でも臭いがわかるそうです。
「慣れてくると少量でも嗅ぎわけられるようになり、隠れて見えないところにいるゴキブリや蚊でも、『あっ、ここにいるな』というのが臭いでわかるようになります」(渡辺さん)
殺虫剤メーカーの仕事って?
ゴキブリだけでなく、蚊やダニなど、多くの害虫の研究に携わってきた渡辺さん。「最初は見るのも嫌だった」そうですが、慣れてくると同じ空間にいても気にならなくなるそうです。
「ゴキブリも、最初はピンセットでつまんでいたのが、面倒くさくなって最終的には素手で掴んでも平気になります。研究所には女性職員もいますが、やはり同じです」(渡辺さん)
とはいえ、これは「無菌状態で飼育している研究施設での話。一般家庭に生息する害虫は病原菌やウィルスを持っていることがあるので素手で触るのはご法度」ということなのでくれぐれも注意しましょう。