「甘い考えがあった」着ぐるみスタッフ熱中症死亡 現場責任者の”懺悔LINE”入手

8月5日(月)5時30分 文春オンライン

 7月28日、大阪府枚方市の遊園地「ひらかたパーク」で、アルバイトスタッフの山口陽平さん(28)が着ぐるみショーの練習後、バックヤードで倒れ、熱中症で死亡した。この件について、「週刊文春デジタル」では、同パークの元着ぐるみスタッフの告白をスクープした。


 元スタッフによると、着ぐるみショーの業界では、いかなるときも人前で着ぐるみを脱ぐのはご法度とされ、「山口さんもSOSが言えない状況だったのでは」と運営の体制と業界の悪しき慣習を訴えた。


「ひらかたパーク」の広報担当者は「緊急時はハンドサインが決められており、着ぐるみの着脱は認めている」と説明している。



ひらパーのキャラクター「トランプ」に山口さんは入っていた。着ぐるみの重さは約15㎏(同園ポスターより)


 今回、「週刊文春デジタル」では、山口さんの上司にあたる現場責任者である男性社員、B氏のLINEを入手した。B氏は関係者に対し、今回の事案をこう説明をしている(以下、原文ママ)。


「最後まで元気よく演じており判断は難しかった」


〈みなさん既にニュース等でご存知かとはおもいますが、7/28(土)19:30から開始したノームのサマブリーズレディオ3のドレスリハーサル終了後、トランプを演じていた山口陽平くん28歳が心肺停止し、救急搬送されましたがお亡くなりになりました。


 たくさんの人達が支え、繋いできてくれたチームでこのような事故を起こしてしまい本当に申し訳ありません。山口くん本人、遺族の方には本当に取り返しのつかない過ちを犯してしまったこと悔いても悔いきれません。OBのみなさんにも心配をかけ期待を裏切ってしまったことを深く反省しています


 当日の山口くんの様子をビデオでも確認しましたが、最後まで元気よく演じており途中で止めさせる判断は難しかったと感じています。



「アゴ紐と脇ゴムをハサミで切断しヘッドを外しました」


 パームプラザからキャラ部屋までも両脇を抱えられる形ではありますが、自分の足で歩いて帰ってきています。ただ部屋に着いてからは自分でヘッドを外す事ができず、アゴ紐と脇ゴムをハサミで切断し無理やりヘッドを外しました。この段階で既に顔色が青白く、既に呼吸が弱かった為すぐに救急車を手配しています。


 キャラ部屋へ行く階段の所の防犯カメラでトランプが通過したのが19:57。


 そこから部屋へ戻ってヘッドを外し、救急車を手配したのが20:02頃です。


 そこからシェルを外し全身をアイシングし、応援社員が到着して心臓マッサージと人工呼吸処置を行い、AED処置も試みましたが、AEDは作動せず。約10分で救急隊員が到着し、そこからは救急隊員に処置を引き継いでいます。救急搬送の際は私が同行し、山口くんの親族が駆けつける中、1時間以上アドレナリンを投与したり心臓マッサージを行って蘇生処置を行いましたが、心臓マッサージを長く行った事で肺からの出血がひどく、これ以上の処置は山口くんを傷つけるだけになってしまうと医者から告げられ、蘇生処置を終える事となりました。



「2〜3日前から風邪気味だったそうです」


 病院での警察からの取り調べの際に山口くんの奥様の証言で初めて知ったのですが、2〜3日前から風邪気味だったそうです。山口くんを知らない方も沢山居ると思いますが、彼はダンス経験が全くなくお世辞にも上手とは言えない子です。ダンスを覚えるのも遅いしいつも周りから遅れをとっていました。奥様から聞いたのですが、サマラジ3は◎◎さんと約束したから絶対出るんだと言って毎日家で練習していたそうです。だから体調が悪かったのに無理したのかもしれません。


 なぜ体調が悪い事に気づいてやれなかったのか。


 なぜ水分補給は充分か確認できなかったのか。


 なぜ途中で止めさせる事はできなかったのか。


 なぜパームプラザでキャラを脱がせなかったのか。


 本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。


 どこかにこれぐらい大丈夫だろうという甘い考えがあったんだと思います。



「ショーを終わりにするつもりはありません」


 自身の認識の甘さが招いた結果で、山口くん、遺族の方、ノームチームに関わった全ての人達、ファンの人達に辛い思いをさせてしまって本当に申し訳ないです。


 今後については現在決定しているところとしては夏のショーは全て中止、グリーティングも再開の目処は立っていません。明後日には現場検証があり、業務上過失致死傷罪の可能性もあります。



 この先どうなるのかまだ全くわかりませんが、マネージャーはノームのショーをこのまま終わりにするつもりはありませんと言葉をいただいています。岡本園長はここからまたスタートしようと言ってくれています。その他に××さんや△△さんからも励ましの言葉をいただき、お客様からもお花や励ましのメッセージが届いています。


 再出発する時にどのくらいメンバーが残っているかわかりませんが、できる限りの事はやるつもりです。今回このような事になって本当に申し訳ありません。


 また報告が遅れてしまい申し訳ありません。


 今後についてはまた決定次第随時報告致します。


 それまでの間、しばらくここに席を置かせて下さい〉


 同園では着ぐるみが出演するイベントについては当面休止し、「再開の目処はたっていません」(同園広報担当者)という。


 山口さんの親族を訪ねたところ、肩を落としてこう話した。


「あの日、陽平が何故ああなってしまったのか。いったいパークで何があったのか。本当のところを正確に知りたい。彼にとって大好きな場所だったのだから」



(「週刊文春」編集部/週刊文春)

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