「アマビエ風鈴」も登場。暑さと災厄を祓う夏の風物詩「風鈴」

2021年8月9日(月)4時0分 ウェザーニュース

2021/08/09 04:00 ウェザーニュース

「夏の風物詩」といえば、何を思い起こすでしょうか。スイカ、かき氷、ヒマワリ、セミ、盆踊り、ラジオ体操……いろいろある中、今回は「風鈴」について見ていきましょう。

ガラスの風鈴が人気

ウェザーニュースで風鈴に関するアンケート調査を行ったところ、家に風鈴がある人は約3割ほどにとどまりました。年代別でみると、年代が下がるにつれて「ない」割合が高くなっていました。
好きな風鈴のタイプは、「ガラス」が6割以上と、「金属」(27%)、「陶磁器」(12%)を圧倒する結果に。ガラスは10代で84%、20代で79%と、年代が下がるほど好まれ、こちらも年代による好みの差が見られました。

風鈴はもともと「魔除け」「邪気払い」だった

風鈴の起源は、中国から伝わった風鐸(ふうたく)にあります。風鐸は青銅製の鐘形(かねがた)の鈴で、平安時代から鎌倉時代にかけては、寺院の軒の四隅(よすみ)に吊り下げられていました。
それとほぼ同時期、魔除けや邪気払いとして、貴族たちが家の軒先に風鐸を吊(つる)すこともありました。(貴族が家の軒先に風鐸を吊すようになったのは室町時代以降とする見解もあります)
風鐸を風鈴と名づけたのは、浄土宗の開祖、法然といわれます。法然は「ふうれい」と呼んでいたようですが、それがのちに「ふうりん」と呼ばれるようになったといいます。
ガラス製の風鈴が作られるようになったのは、江戸時代中期の享保のころからです。しかし、ガラスはまだ珍しく、高価だったため、庶民にガラス製の風鈴が普及したのは、天保年間とも、明治時代になってからともいわれています。

「アマビエ+風鈴」という強力な組み合わせ

魔除けや邪気払いといえば、新型コロナウイルスのことを思い起こす人もいるでしょう。
去年、話題に上ったものの一つに「アマビエ」(同種と考えられる存在に「アマビコ」など)があります。アマビエは江戸時代後期、肥後国(現在の熊本県)の海に現れ、豊作や疫病などを予言したといわれる妖怪です。
新型コロナウイルスはある種、魔物にたとえることができ、邪気には「病気などを起こす悪い気」「風邪」の意味もあるため、アマビエが新型コロナウイルスを退散させてくれるのではないかと注目されました。
もちろん、現実にはそうしたことは起こりませんが、アマビエは護符(ごふ)に似たものとして、久しぶりに耳目を集めたといえます。
今では、このアマビエが風鈴と“合体”した「アマビエ風鈴」を生産・販売しているメーカーもあります。ガラス製や鉄製などのアマビエ風鈴はかわいらしく、見ているだけで、思わず顔がほころぶものもあります。
「アマビエ+風鈴」という強力なタッグによって、やっかいなウイルスが退散していくイメージは持てるかもしれません。

音色などを室内でも楽しめる

風鈴の音色を「涼やか」「心地よい」と感じる人は多いでしょう。
しかし、なかには「うるさい」「迷惑だ」と感じる人もいるようです。マンションに住む人が多くなるなど、住環境が変わってきたことも関係しているでしょう。
マンションやアパートによっては「ベランダなどでの風鈴の使用を禁止する」と、規約で定めているところもあるので、注意が必要です。
特に制限がない場合は、隣近所に配慮しつつ、風鈴の風情や音色を楽しんでみてはどうでしょうか。
風鈴は軒下やベランダに吊すだけでなく、室内に吊して楽しむこともできます。さらに、風鈴専用のスタンドにかけて、インテリアとして楽しめるタイプもあります。
風鐸を起源に持ち、江戸〜明治時代以降、庶民にも広まった風鈴。おすすめしたい、夏の風物詩の一つです。

参考資料など

『日本の365日に会いに行く』(編著/永岡書店編集部、永岡書店)、『日本の365日を愛おしむ』(著者/本間美加子、飛鳥新社)、『江戸 東京 職人の名品』(編集/TBS『お江戸粋いき!』制作スタッフ)、JR西日本「ブルーシグナル」(https://www.westjr.co.jp/company/info/issue/bsignal/09_vol_125/poet.html)

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