そういえば、小池都知事が語っていた“アウフヘーベン”の本当の意味って?

8月13日(月)7時0分 文春オンライン


 池上彰さんの新連載「WEB悪魔の辞典」では、政治や時事問題に関する用語を池上さん流の鋭い風刺を交えて解説します!



【アウフヘーベン・あうふへーべん】


 より高い極みを実現することだが、単に「あっちもこっちも」というレベルに堕することも。


【池上さんの解説】


 ドイツの哲学者ヘーゲルが自身の弁証法の中で使用した概念。日本語では「止揚」や「揚棄」と訳されます。


「止めて揚げる」や「揚げて棄てる」とはどういう意味だ、と言いたくなりますね。


 いったん「止める」とは、古いものを否定し、新しいものにする際、古いものに入っているプラスの要素を抽出して高い次元に持っていく、という意味です。


 弁証法では「正・反・合」という三段階の思考法が登場します。最初の命題が「正」で、その否定が「反」、その両方を包含して、より高い次元で解決するものが「合」となります。これがアウフヘーベンです。


 日本では1960年代後半に学生活動家がしきりに使用したものですが、2017年に小池百合子都知事が、築地市場を豊洲に移転する計画について、「豊洲に移転するが築地も衣替えして残す」と説明する際に使ったので話題になりました。



小池百合子都知事 ©文藝春秋


 最近の若い人には初耳の言葉だったようで、早速テレビのワイドショーでは、いろいろな例を挙げて概念を説明しました。私が見た中での傑作は、「イチゴが食べたいという人と大福が食べたいという人がいたら、イチゴ大福という解決策がある」という説明でした。


 これでは、2つの要素を一緒にしただけだろうと突っ込みを入れたのですが、考えてみると、小池知事案も、「築地も豊洲も」ですから、「小池流アウフヘーベン」の説明としては、案外的を射ていたのかもしれません。




(池上 彰)

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