グアムへの北ミサイルは存立危機事態ではない! 安倍首相が支持率回復のために日本国民を危険にさらそうとしている

8月13日(日)22時40分 LITERA

自民党HPより

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 北朝鮮がグアム周辺へのミサイル発射計画を発表したことで、米朝開戦危機が再燃。日本のマスコミもまたぞろ「今度こそ米朝開戦か」「日本にもミサイルが」と大騒ぎを始めた。たしかに、「米朝開戦」の危険性はこれまで以上に高まっていると言えるだろう。


 だが、今回のチキンレースを仕掛けたのは、明らかにトランプ大統領のほうだ。8月8日、トランプ大統領が突然、北朝鮮が核開発と米国への威嚇を続けるなら「世界史に類をみない炎と怒りで報いを受けるだろう」と発言。これを受けるかたちで、北朝鮮が翌9日、グアム近海に中距離弾道ミサイルを発射すると発表。さらに10日には、その中距離弾道ミサイルが「火星12」であること、4発を同時に発射し、日本上空を通過させグアム沖30〜40キロの海上に着弾するなどという具体的な計画を突きつけた。


 しかし、トランプ大統領の北朝鮮挑発は止まらない。自らの「炎と怒り」発言を「厳しさが足りなかった」として、11日には「軍事的準備はすでに整っている」「グアムに対して何かすれば、誰も見たことのない事態が北朝鮮で起こることになる」と恫喝した。


 こうしたトランプの言動は、米国内でも厳しい批判を浴びている。当然だろう。金正恩と同じレベルに立った子どもじみた暴言は、北朝鮮を止めるどころか、逆にエスカレートさせるものでしかないからだ。しかも、その裏には、政権がまったく機能せず、支持率ガタ落ちの状況から目を逸らそうという意図がある。ようするに、トランプは自分の権力を維持するために、何十万人もの犠牲者が出る本物の戦争につながりかねない挑発を行っているのだ。


 ところが、案の定な反応を見せたのは日本の安倍首相だった。この暴走大統領をいさめるどころか「(北朝鮮への対応については)私たちもさらなる行動をとっていかなければならないとの認識でトランプ大統領と完全に一致した」と語ったのだ。


 こんな反応をした関係国首脳は、安倍首相だけだろう。中国やロシアが米国に慎重対応を呼びかけるのは当然としても、ドイツのメルケル首相も「米国と北朝鮮の対立に軍事的な解決策はない」「ドイツは軍事的でない解決策に積極的に関与する」と表明。当事者の韓国の文在寅大統領もトランプに対して「朝鮮半島で再び戦争の惨状が繰り広げられるのは決して容認できない」と毅然と申し入れた。


 そんななか、安倍首相だけが「トランプ大統領と完全に一致」「さらなる行動」などと、アメリカと一緒に戦争をすることを示唆するような発言まで行ったのだ。


 いや、そればかりではない。安倍政権はこの危機に乗じて、具体的に集団的自衛権行使に動き始めた。


●グアムへのミサイル発射を"存立危機事態"とするのは拡大解釈だ


 周知のように、10日の閉会中審査で、小野寺五典防衛相は北朝鮮がグアムに向かってミサイルを発射した場合、「存立危機事態にあたる」として、集団的自衛権を行使できると答弁したのだ。


 マスコミはさも当たり前のように報道しているが、こんなデタラメな解釈を許していいのか。安倍政権は一昨年の安保法制論議の過程で、集団的自衛権行使の要件のひとつ「存立危機事態」についてこう定義していた。


〈我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態〉


 いったいこれのどこをどう解釈したら、今回のグアムへのミサイル攻撃が存立危機事態になるのか。


 ミサイルが日本の上空を通過するのは由々しき事態だが、それだけで「ただちに国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるような事態」でないのは火を見るより明らかだ。また、小野寺防衛相は「(グアムが攻撃を受けて)米側の抑止力・打撃力が欠如することは、日本の存立の危機に当たる可能性がないとは言えない」と言い張ったが、北朝鮮が今回、ミサイルを撃ち込もうとしているのは、グアムから30〜40キロの距離にある海。そんなところに着弾しただけで米軍の抑止力が欠如するはずがないだろう。


 いや、仮にグアム基地に着弾したとしても、米軍は反撃能力をもった部隊や艦船を朝鮮半島に展開しており、抑止力や打撃力が欠如するなんてあり得ず「存立危機事態」には当たらない。


 実際、安保法制を強行採決した国会で、安倍首相が存立危機事態の具体例として挙げたのは、ホルムズ海峡が封鎖され電力不足に陥ったケースや、ミサイル監視を行っている米国の艦艇が攻撃を受けたケースのみだった。


 それが、いきなりグアムへの攻撃まで「存立危機事態」に当たるというのである。こんな論理がまかりとおったら、とにかく米国が他国から攻撃された場合はどんなケースでも集団的自衛権を行使でき、いっしょに報復戦争に参加できるということになってしまう。


 実はこうした拡大解釈は安保法制成立前の国会論戦時から懸念されていた。というのも、安倍政権は具体例としては前述のように「米国艦船に攻撃が加えられた」ケースなどしか口にしなかったが、その後、「相手国が我が国にミサイル攻撃をしてくるリスクがない場合はどうか」「相手国が我が国に攻撃の意思を示していない場合はどうか」といった質問を受けると、安倍首相も中谷元防衛相(当時)も「危機はミサイルだけでない」「攻撃意思が示されなくても総合的に判断する」などと答弁。存立危機事態になる可能性を排除しなかったからだ。


 おそらく、この時点から、安倍政権は米国に攻撃が向いたら、即、米軍の一部隊として報復戦争に加担できるようにするという意図をもっていたのだろう。そして、今回の危機に乗じて、さっそくその企みを現実化しようとし始めたということだろう。


 しかも、この拡大解釈による集団的自衛権行使がもたらすのは、日本の憲法や平和主義の危機だけではない。現実問題として、国民の生命や財産を危機にさらしかねないのだ。


●政権浮揚のため逆に"存立危機事態"を起こそうとしている安倍政権


 防衛省は島根、広島、愛媛、高知の4県にPAC3を配備。さらに、政府関係者や自民党議員はこぞって、集団的自衛権行使によって日本上空を通過する北朝鮮のミサイルを自衛隊のイージス艦で迎撃する計画を口にし始めている。


 しかし、考えてみてほしい。もし、北朝鮮からグアムに向けて発射されたミサイルを日本が迎撃すれば、北朝鮮は「日本が攻撃をした」とみなし、日本に向けてミサイルを放ってくるのは確実だろう。グアムへの威嚇発射がいつのまにか、日本へのミサイル攻撃になり、日本国民の生命や財産が奪われる事態に発展しかねないのだ。


 しかも、安倍政権は迎撃などと勇ましいことを言っているが、イージス艦搭載の迎撃ミサイルSM3は飛距離や精度が十分でなく、グアムに向かうミサイルを撃ち落とすのはほとんど不可能といわれている。PAC3も上空を通過しているミサイルにはなんの役にも立たない。


 ようするに、安倍政権はありもしない存立危機事態を煽り、できもしない軍事作戦を声高に叫び、逆に、日本に本物の存立危機事態を招き寄せようとしているのだ。


 いったいなぜか。それは、森友、加計疑惑がまったく晴れず、支持率と求心力低下で最大のピンチに陥っている安倍政権にとって、北朝鮮有事が疑惑隠しと政権浮揚の最大のチャンスだからだ。有事になれば、アベノミクスの失敗も森友・加計疑惑もみんな吹っ飛ぶ。そして、集団的自衛権をはじめて行使し、再び改憲の機運をも盛り上げることができる。安倍首相はそう思っているのである。


「これまでも、北朝鮮危機を政権浮揚につなげてきた安倍政権ですが、今回はギアがさらに一段上がっている感じですね。小野寺防衛相がこの時点で『集団的自衛権行使』を口にするなんて普通ありえない。しかも、自民党や政府関係者からは、敵基地攻撃なんていうこれまたまったく現実的に能力をもっていない作戦をわめく声まで出ています。ようするに、安倍政権にとって、現実にできるかどうかなんて、関係ない。とにかく国民に危機を煽り、安倍政権が強い姿勢で臨むとアピールして、疑惑を隠し、政権を浮揚させたいんですよ」(防衛省担当記者)


 まさに、安倍首相の狙いはトランプとほとんど同じ、自らの失政隠しと支持率回復だったというわけだ。


 しかし、懸念されるのは、安倍首相がこの戦争加担をこれまたトランプ同様、ポーズではなく本当にやりかねないことだ。それこそ、北朝鮮とアメリカが交戦状態になれば、後方支援の名目で海上自衛隊を近海や朝鮮半島に送り込む、邦人保護の名目で韓国にも派兵する、そして北朝鮮軍と交戦するということさえ想定しているのではないだろうか。そして、失敗覚悟でミサイル迎撃して、日本がターゲットにされれば、むしろ心おきなく戦闘に参加できると考えているのかもしれない。


 いずれにしても、安倍首相やこの内閣の閣僚たちは国民の命や財産を守ることなどつゆほども考えていない。日本国民はこんな政権の扇動に惑わされてはならない。
(編集部)


LITERA

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