61億円の赤字に転落! 不振のヤマトHDを救う「宅配に替わる次の一手」とは?

8月22日(木)5時30分 文春オンライン

 7月31日、宅配事業最大手・ヤマト運輸を傘下に持つヤマトHD(ホールディングス)の2019年4月〜6月期連結決算が発表された。


 前年同期の営業損益が95億円の黒字だったのに対し、今期は61億円の赤字に転落。ヤマトHDは人手不足を前に値上げや働き方改革に取り組んできた。ところが、荷物の取り扱い数が思うように伸びず、赤字転落となったのだった。その背景には、これまでヤマトをはじめとした宅配会社を利用してきたアマゾンや楽天、ヨドバシカメラなどの小売業者の“自社配達網”によるサービスの開始があると見られる。



©AFLO


 宅配事業は、ヤマト運輸のような事業にとっては文字通りの「命綱」だ。近年は、人手不足などから「宅配クライシス」などと言われ、宅配業界の過酷な労働環境などが注目されている。それに加え、収益率も落ちるとなれば、業界の将来は厳しいのだろうか——。


“宅配を知り尽くす男”が語った


 しかし、ヤマトHDの長尾裕社長(53)はそれに異を唱える。長尾社長はヤマト運輸のアルバイトから社長にまで上り詰めた“宅配を知り尽くす男”。業界の厳しさを踏まえた上で、次のように述べる。


「今まで通り、ただ荷物を運ぶだけでは時代の変化に取り残されてしまうでしょう。これから大切になってくるのは、従来の宅配サービスに“+α”の付加価値を提供することです。宅配事業と隣接する領域で何ができるかを、常に考えていかねばなりません」



長尾裕ヤマトHD社長


 長尾社長が「“+α”の付加価値」として挙げるのが、ヤマトHDの総合物流ターミナル「羽田クロノゲート」だ。東京・羽田空港に隣接する、東京ドーム2個分の敷地面積を有する巨大な施設である。


「羽田クロノゲート」では、いったい何が行われているのか。 



 長尾社長が明かす。


「注目してほしいのは3階から7階。ここが『付加価値機能エリア』です。ヤマトグループの社員が『物流の付加価値』となるべき新しい仕事を行っています」


 そこで、実際に「羽田クロノゲート」を訪れてみた。


「ネスプレッソ」との意外な関係


 ヤマトの社員といえば、緑色のジャンパーにカーキ色のズボンを履き、荷物を運んでいるドライバーを想像する人が多いだろう。しかし、ここで働いているのは、一見するとヤマトの社員とは思えない多種多様な人々だ。


 例えば、あるフロアでは、有名なスイス製のコーヒーマシン「ネスプレッソ」を熱心に修理・点検している社員がいた。一体、何をしているのか?



巨大な物流拠点「羽田クロノゲート」


「実は、私たちは『ネスプレッソ』が日本で故障した場合の回収、修理、発送を一貫して代行しています。


 普通であれば、ユーザーが故障した製品をメーカーに送り、メーカーは代替機をユーザーに送る。そして、修理が終わった製品をユーザーに送り、ユーザーは代替機を返送する。これが一般的な流れです。


 しかし製品と代替機を送るのには、時間もコストもかかります。(略)これらを全て私たちが代行し、羽田クロノゲートに集まってくる製品をその場で修理して返送してしまえば、(略)ユーザーはすぐ修理品が届いて嬉しいし、メーカーにとっても大幅なコスト減になるわけです」(長尾社長)


パソコンの初期設定や医療用器械の洗浄も請け負う


 ネスプレッソだけではない。羽田クロノゲートでは、ケータイやパソコンの初期設定、医療用器械の洗浄・メンテナンス代行、3Dプリンターを使った医療用の模型の作成など、多種多様な業務を請け負っているのだという。



医療器具を洗浄するヤマト社員


 長尾社長はこう語る。


「物流業界は他業種にはない無限の可能性を秘めていると私は信じています。価値を生み出し、働く人もお客様も皆を幸せにする。これから、私たちの手でそんな新しい物流業界を作っていきたいと思います」



「文藝春秋」2019年9月号


 はたして、このような新たな取り組みは、ヤマトHDを救う一手となるのか——。長尾社長が描く宅配業界の未来の全貌は、 「文藝春秋」9月号 に掲載の「ヤマト社長 日本の配送網を立て直す」に詳述されている。



(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2019年9月号)

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