香港デモはリーダー不在で泥沼化 ジャッキー・チェンは若者の心を動かせるか

8月28日(水)5時30分 文春オンライン

「逃亡犯条例」改正案に端を発した香港のデモは約3カ月近くが経つが、一向に収まる気配はない。


 香港メディアの記者は、「14年の民主化デモ『雨傘運動』との決定的な違いは、絶対的リーダーが不在のまま緩やかに連帯する〈アメーバ方式〉であることだ」と解説する。


 もっとも今回、中核を担う組織はいくつか存在する。


 その代表格は、民主派団体「民間人権陣線(民陣)」。最大規模となった200万人(主催者発表)が参加した6月16日のデモを呼びかけたのも、この団体だ。02年設立の同団体は、返還間もない頃から民主化を訴えてきた筋金入りの反共団体でもある。



激しいデモが起きた香港国際空港 ©共同通信社


 雨傘運動を率いた「香港衆志」も健在だ。22歳の共同設立者の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)は、禁錮2カ月の刑を終えて6月に出所。早速、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官の辞任を要求した。今回、黄らはメッセージを暗号化できるSNSアプリなどを通じてデモ参加を呼びかけ、勢力拡大に繋げた。


「8月8日には米国の政治担当外交官が黄に接触したことを親中派メディア『大公報』が写真付きで報道。他メディアも『黄は香港をかき乱す外部勢力とつるんでいる』と糾弾した。米国が支援に動くのは、もちろん彼の影響力を見込んでのことです」(同前)



 だが、全体をまとめるリーダー不在の弊害も露わになっている。その象徴が7月1日に暴徒化したデモ隊が、立法会(議会)を占拠し、建物を破壊したことだ。


「彼らは香港独立を志向する『本土民主前線』出身の運動家・梁天(エドワード・レオン)を信奉している。梁は現在、暴動罪で収監中だがカリスマ性がある。過激化したデモ隊は、彼の主張を代弁するかのように『光復香港、時代革命(香港を取り戻せ、革命の時代だ)』のスローガンを繰り返している」(同前)


大御所俳優の呼びかけは若者に届くか


 一方、事態の沈静化にむけて動き始めたのが香港映画界の大御所・ジャッキー・チェンだ。


 当初は「デモなど知らない」とシラを切り続けていたが、8月15日に突如、中国中央テレビに登場。「安全と安定は空気みたいなもので、失って大切さに気づく。香港は僕のふるさとで中国は祖国だ。どちらも愛している」と呼びかけた。


 だが、中国の国政助言機関、人民政治協商会議のメンバーでもあるジャッキーが本土寄りであることは周知の事実。18日には世界各地で開かれた五星紅旗のイベントにも参加するなど、共産党政権の広告塔としか見られていない。


 往年のカンフースターでも、デモに身を投じる若者の心は動かせそうにない。



(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年8月29日号)

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