「9月からJOC理事会は非公開」問題 竹田恒和前会長が辞めた理由を忘れてないか?

8月30日(金)5時30分 文春オンライン

 今週の月曜、テーマが同じ記事を興味深く読んだ。


 毎日「JOC 理事会を非公開に『議論活性化のため』『時代に逆行』批判も」


 朝日「JOC理事会 議論閉ざして失う信頼」(社説)


 である。


 今月8日のJOC(日本オリンピック委員会)理事会のニュースにザワザワした人は多いと思う。9月の理事会から報道陣へ非公開にすると決めたというのだ。新会長になった山下泰裕氏が提案した。



山下泰裕JOC会長 ©AFLO


「表には出せない情報も共有して話し合いたい」


 非公開にした理由を山下氏は「(公開では)話せないことが多く、議論が低調だった。表には出せない情報も共有して話し合いたい」と説明。


 この件、新聞はどう論評したか。いきなりですが毎日新聞の読みどころを紹介します。


 記事によると山下会長の提案に対し、採決で反対したのは「4人」。


 その4人の名前は、


 ・小谷実可子(シンクロナイズドスイミングの88年ソウル五輪銅メダリスト)

 ・高橋尚子(マラソンの00年シドニー五輪金メダリスト)

 ・山口香(柔道の84年世界選手権金メダリスト)

 ・山崎浩子(新体操のロサンゼルス五輪代表)



 毎日はこう書く。


 《いずれも女性。普段の公開の理事会でも積極的に発言する顔ぶれだった。》


 ああ!


 そうなのである。「普段の公開の理事会でも積極的に発言している人」からすればなぜ非公開にしたがるの? という疑問があるに違いない。



山下会長が理事会を非公開にしたい理由


 山下会長が理事会を非公開にしたい理由をあらためて抜粋する。


・「本音で話し合い、表に出せない情報も共有し、スポーツ界の発展のためにしっかり役割を果たす組織になっていかないといけない」

・山下氏にとって、理事会は報告事項ばかりで運営が形式化していると映っていた。

・「理事会の非公開はJOCが変わるための生命線だ」と譲らなかった。



 いかがだろうか。反対した女性4名と比べてみると対照的な構図が浮かぶ。


「本音で話し合うためには非公開が必要」という重鎮のおじさんに対し「大事な話もオープンに」という女性4名という図。


 JOCの理事経験者のコメントが載っていた。「おかしいと思ったことは、公開でも非公開でも発言すべきだ。非公開なら話すというのはいかがなものか」。


 理事会の出席者からは「(何を望まれて)竹田さんの後任になったのか分かっていますか。非公開はありえない」という声も上がったという。


竹田恒和前会長はなぜ辞めたのか?


 ここで思い出したいのは竹田恒和前会長はなぜ辞めたのか? だ。そして山下泰裕さんはなぜJOCの新しい会長になったのか?



 思い出した。竹田前会長に東京五輪招致をめぐる贈賄疑惑が浮上したからだ。


 あのときの騒動を朝日の社説は丁寧にほじくり返した。



「何をかいわんやだ」 朝日師匠の小言が爆発!


《JOCはおざなりの調査をしただけで、説明責任を果たそうとしない竹田氏をいさめることもしなかった。結局、社会の信頼を失い、五輪直前の会長交代という異例の事態を招いた。かわって登場した山下氏の「改革」の初めが理事会の非公開とは、何をかいわんやだ。》(8月26日)


 出ました「何をかいわんやだ」。今どき社説でしか出会えない用語である。たまらない。


 竹田前会長の贈賄疑惑の大事な点は「公共性の高い組織や人物が裏で何をしていたのか」ということである。



 それなのに、《公益性の高い組織と「公人」というべき理事らが、密室でなければ議論ができないという。そんな旧態依然とした意識で、人々の理解を得られると思っているのだろうか。》(朝日社説)


 朝日師匠の小言が爆発。


公文書管理に取り組んでいるかと思いきや


 それにしても今回の山下会長の「改革」って何かに似てるなと思ったら、例えばこれだ。


「経産省 議事録不要 『国民向いていない』身内から批判」(毎日新聞2018年8月30日)


 これは去年の記事だが、《経済産業省内で「議事録不要」を呼び掛ける文書が配布されていた》というスクープである。誰がどんな発言をしたのか。核心部分が公文書から消えようとしていると。


 文書を受け取った経産省職員の声も載っていた。


《「官僚は業務慣行として、政治家が何を言ったか、正確に記録してきた。『議事録を残すな』という指示はそれをやめろ、という意味。強力な圧力だと感じる」と話す。(略)国民の方を向いていない証拠だ」と嘆いた。》


 毎日新聞は「公文書クライシス」というシリーズを組んで昨年の年明けから追っている。


 最近だと「年200回面談記録作らず 内閣官房、首相・長官と」(8月21日)というのもあった。



 これらを読んで感じるのは、モリカケ問題を反省して公文書管理に取り組んでいるかと思いきや「モリカケで後悔したからその教訓を生かそう。ますます秘密に」という方向になってるとしか思えないことだ。


 そして今回はJOCである。竹田前会長の件で反省してるようで、実はさらに密室を欲しているように見えてしまう。


 もう昔ながらの「本音は密室でこそ言えるおじさん」ではなく、オープンな女性4名に改革してもらったらどうでしょうか。



(プチ鹿島)

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