あまりにも無責任すぎる! 原子力規制委員会の正体 ——広瀬隆×田中三彦対談<中篇>

9月9日(水)14時0分 ダイヤモンドオンライン

広瀬 隆(Takashi Hirose)1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒。公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図的で衝撃な事実を提供し続ける。メーカーの技術者、医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家に。

写真を拡大

『原子炉時限爆弾』で、福島第一原発事故を半年前に予言した、ノンフィクション作家の広瀬隆氏。

壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた『東京が壊滅する日——フクシマと日本の運命』が第5刷となった。
本連載シリーズ記事も、累計171万ページビューを突破し、大きな話題となっている。

このたび、新著で「タイムリミットはあと1年しかない」とおそるべき予言をした著者が、元福島第一原発の原子炉設計者で、現在、翻訳家・サイエンスライターの田中三彦氏と対談。

田中氏は福島原子力発電所国会事故調査委員会の委員をつとめた。

避難にまったく責任を持たない原子力規制委員会の闇を追及する。

(構成:橋本淳司)


「新規制基準」の

おおいなる誤解とは?


田中 8月11日に川内原発が再稼働しました。原発周辺の人は、「新規制基準に適合し、安全な原発になったから再稼働した」と思いたいのかもしれません。しかしながら、それは大きな誤解です。


「新規制基準」とは、安全かどうかを見定めるものではないのです! 実際、この基準を策定しはじめたころ、規制委員会はそれを「新安全基準」と呼んでいた。しかし、やがて自分たちがつくろうとしているものが「安全基準」でないことに気づき、慌てて名称を「新規制基準」に変えている。


 新規制基準とは、あくまで、重大な原発事故が起きうることを認めたうえで、その対応ができているかどうかを見定めるものです。


広瀬 再稼働直前の検査段階で、九州電力が何をやりましたか? 大事故を想定した訓練をやったのですよ。要するに事故は起こると思いながら再稼働させているわけです。それをみんなが認識していないということですよね。


田中 おっしゃるとおりです。原子力規制委員会のホームページに、「新規制基準」とは何かということを説明する文書が掲載されていて、IAEAモデルの1〜3層に当たる部分が強化されています。 しかし本来は、以前からやっておくべきことばかりです。やらなかったから津波にやすやすと突破された。基本中の基本の第一層があまりにも脆弱だったということです。


広瀬 つまり、いままで日本の原発は事故対策が穴だらけだったので、今回どさくさに紛れて、当然やるべきことの、ほんのいくつかに手をつけただけですよね。


田中 そしてその1〜3層の上に、前回連載で触れた「シビアアクシデント」対策が記載されています。4層にあたる部分、格納容器の破損とか水素爆発の防止策などです。


おそるべき九電の正体!

約22分で原子炉炉心が溶融する!


広瀬 この新規制基準の審査はどのように行われてきましたか。


田中 2014年3月号の雑誌『科学』(岩波書店)に、「不確実さに満ちた過酷事故対策——新規制基準適合性審査はこれでよいのか」(井野博満、滝谷紘一)に、川内原発・伊方原発・高浜原発・玄海原発など、再稼働の対象になっている加圧水型原発(PWR)の審査のやりとりが書かれているのですが、この内容はかなり衝撃的です。


 原子炉に直結している大口径配管(一次冷却水配管など)が破断し、何らかの原因で交流電源(外部電源と非常用交流電源)が失われた場合、配管の破断で冷却水が失われてゆき、しかも電気がこないために緊急炉心冷却装置のポンプが動かず、格納容器スプレイ装置も動かないという最悪の事態になります。

 九州電力によると、佐賀県にある玄海3・4号機の場合、わずか約22分で原子炉の炉心が溶融するという事態に突入します。たった22分ですよ。




続きはこちら(ダイヤモンド・オンラインへの会員登録が必要な場合があります)

ダイヤモンドオンライン

「原子力」をもっと詳しく

「原子力」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ