「稲妻」と「雷鳴」はどうしてできるの?

2018年9月9日(日)11時45分 ウェザーニュース


2018/09/09 11:34 ウェザーニュース

「ピカッ……、ゴロゴロ」と閃光と雷鳴を繰り返す雷。落雷で停電したり、ときには人を殺傷することもあり、雷はすさまじいエネルギーを放出します。雷が発生する仕組みはどうなっているのでしょうか?

積乱雲の中で起こっていること

雷を発生させる雷雲は積乱雲です。地表で大気が暖められることなどにより発生した強い上昇気流によってモクモクと湧いた雲で、雲の高さは10kmを超え、成層圏に達することもあります。

この積乱雲の中では、上部(高度8〜10km)に吹き上げられる水蒸気は飽和水蒸気量を超えて雨粒になり、さらに低温の上空では氷粒になります。

激しい上昇気流にあおられて氷粒同士がこすれ合い、摩擦を繰り返しているうちに積乱雲上部で静電気が蓄積されます。下敷きをセーターの袖でこするなどすると摩擦によって静電気が発生するのと同じです。これが雷の原因となります。

静電気がある程度蓄積すると蓄えきれなくなって放電します。雲の中で放電(雲が一瞬光る)することもあれば、稲妻を描いて地上に放電(落雷)することもあります。

稲妻と雷鳴の仕組み

落雷のときの放電量は、数万〜数十万A、電圧は1億〜10億Vとすさまじく大きく、稲妻の温度は3万℃前後にもなります。
3万℃の稲妻が通った部分の空気は瞬時に熱せられ、瞬間的に膨張します。爆発したのと同じですから、空気の破裂音は、近いと「パリパリ」、やや離れると「バリバリ」、遠くなら「ゴロゴロ」という雷鳴として聞こえるのです。

雷雲の寿命は30〜60分だけど…

雷はどのくらいで終わるのでしょうか。雷雲(積乱雲)の寿命は通常30分〜60分ですが、風に流されて移動すれば、それより短い時間で終わります。1つの雷雲は1時間足らずで寿命を迎えて消えますが、同じところに次々と雷雲が発生すれば雷が長時間続くことになります。
8月27日の夜に南関東で発生した雷は、複数の雷雲によるもので1時間以上続き、東京・世田谷区では21時までの1時間で110mmの降水もありました。落雷は2万回以上、東京電力によると停電が東京都で5600軒、埼玉県で2200軒、茨城県で200軒に及んだそうです。
雷は家の中から観測すれば安全なので、雷雲の中で起こっていることを想像しながら雷観測をしてみてはいかがでしょうか。

参考資料など

『雷の科学』(著:横山茂・石井勝、編:音羽電機工業株式会社/オーム社)


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