人はなぜ「あおり運転」を繰り返すのか? 中野信子が脳のメカニズムを読み解く

9月15日(日)9時0分 文春オンライン

 最近、自動車の「あおり運転」による死亡事故やトラブルが大きな話題となっています。


 2017年6月5日、神奈川県の東名高速道路(下り線)上で、あおり運転によって道をふさがれた自動車に乗っていた夫婦が、後続トラックに追突され、死亡するという痛ましい事故がありました。


 今年8月10日には、茨城県の常磐自動車道で、あおり運転の末に男性を殴ってケガをさせたとして、宮崎文夫容疑者(43)と同乗者の女性(51)が逮捕されました。ドライブレコーダーに記録されていた凄まじい暴行の模様は、メディアに繰り返し取り上げられています。



常磐道のあおり運転後、逮捕された宮崎文夫容疑者 ©共同通信社


「怒り」の感情は私たちのDNAに刷り込まれている


 よく「ハンドルを握ると人格が変わる」と言われますが、いったいなぜ人は「あおり運転」に走るのでしょうか?


 あおり運転を含め、暴力行為の背景には、「キレる」という感情——瞬間的に喚起される強烈な怒り——があります。



「じつは怒りの感情は、私たち人類を含む多くの生物が進化の過程で獲得した、生存に必要不可欠な感情のひとつです」


 脳科学者の中野信子氏は、そう指摘します。


 天敵や縄張り争いをしているライバルに出くわした時、瞬時に血圧や血糖値を上げ、集中力を高めることによって、いつでも攻撃や全力疾走に移れるようにしておくことが、生存に適応的だったのです。


 長い進化の過程で獲得した「怒り」の感情は私たちのDNAに刷り込まれ、いまだに私たちを突き動かしているのだと言えます。



「正義」という名の快楽


 もうひとつ、あおり運転について見逃せない要素があります。


 それは、「自分は正しいことをしている。アイツはケシカラン」という“正義感”に駆られている人が多いということです。そして、ケシカラン相手を正そうと、制裁行動に出るのです。


“正義感”に駆られている人の脳では、ある脳内物質が放出されています。その脳内物質によって攻撃性が増し、さらに快楽も与えられます。そのため、相手を制裁すればするほど快楽が得られることになり、ますます制裁行動がエスカレートしてゆくのです。



“正義の革命”を標榜する集団のなかで暴力行為がエスカレートし、ときには凄惨な殺人にまで至るのも、このメカニズムが働いているせいだと考えられます。


「相手の運転が間違っているから、懲らしめなくてはならない」という感情に駆られた経験のある人もいるかもしれませんが、じつは非常に危険な要素を内包しているのです。



 キレるドライバーの脳内では何が起きているのか?


 ……より詳しく、知的刺激に満ちた内容は、 「文藝春秋」10月号 の「人はなぜ『あおり運転』に走るのか」(中野信子)をご覧ください。



(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2019年10月号)

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