信号機の「庇(ひさし)」、近年はなぜ付いていない? 大手信号機メーカーが明かしたその理由
2024年9月15日(日)12時0分 J-CASTニュース
「ちょっと前の信号機にはついてたコレ(傘みたいなの)、最近のには付いてないな」——。こうした疑問がXで話題となっている。「コレ(傘みたいなの)」とは、庇(ひさし)の部分を指している。
近年設置された新しい信号機に庇がついていない印象があるが、その理由は?大手信号機メーカーに話を聞いた。
LED化で「疑似点灯現象」なくなる
発端となったのは、名古屋市にある自動車学校「城北自動車学校」の公式Xの投稿だ。新旧の信号機の写真とともに、「ちょっと前の信号機にはついてたコレ(傘みたいなの)、最近のには付いてないな。。いらなくなったの?」と呼びかけた。
これにさまざまな意見が寄せられたが、実際はどうなのか。J-CASTニュースは交通信号機大手の京三製作所(横浜市鶴見区)に話を聞いた。
取材に応じた経営企画・IR部の担当者は、交通信号機は警察庁が仕様を決めており、その仕様に基づいて納品していると断ったうえで、以前の信号機に庇がついていた理由を次のように説明した。
「以前の電球式灯器はレンズ自体に赤、青、黄色の着色がなされていました。このため、レンズに西日が当たると、どの灯色が点灯しているか判別しにくくなります。本現象を防ぐため、庇がついていました」
その後、17年頃から庇なしのLED灯器が設置され始めた。「LED式灯器はLED自体が各色に発光するため、疑似点灯現象が無くなり、庇が不要となりました」と説明する。
なお、「LED式灯器は、2017年以前から設置されていましたが、この時期に庇のない灯器を警察庁が正式採用しました」という。
積雪で見えなくなること防いでいたのでは?
Xでは、庇は雪が積もって見えなくなることを防ぐ役割があるのではないかとする意見もあった。庇がない信号機には、こうした懸念はないのか。
前出の担当者は「懸念はあります」と明かす。なお、これは庇の有無よりも「むしろ電球式からLED式に変更された影響のほうが大きい」と言われているという。「電球の発熱が着雪防止に寄与していた」とされているためだ。
対策として、17年以降の庇のない信号機は斜めに取り付けられているが、「それでも着雪問題は解消していません」と担当者は明かした。