【横浜患者殺害】捜査は依然難航 入院患者受け入れは再開へ 大口病院事件18日で1年

9月17日(日)20時55分 産経新聞

昨年9月、点滴を受けた入院患者2人が中毒死した「大口病院」=15日、横浜市神奈川区

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 横浜市神奈川区の「大口病院」で昨年9月、点滴を受けた男性入院患者2人が中毒死した連続殺人事件は、1人目の死者が出てから18日で1年。神奈川県警神奈川署捜査本部は、病院関係者が関与した可能性が高いとみているが、物証の乏しさなどから依然として絞り込みは難航している。一方、病院側は事件後から停止していた入院患者の受け入れを再開する方針を明らかにした。未解決のまま再生への歩みが着々と進む現状に、関係者からは戸惑いの声も上がる。

職員を刷新

 「これからもこの病院を愛していただければ」

 今月9日、「認知症について」と題された市民講座で、病院1階のロビーに集まった約30人の地域住民に、鈴木峻院長は笑顔でそうあいさつした。市民講座は病院として初の取り組み。病院側は「地域医療の担い手として、より身近な存在になっていこうということ」などと意義を説明する。

 同病院は昨年度末までに、事件当時在職していた医師や看護師らを全員解雇。鈴木院長らに職員を刷新し6月には新規患者も含めて外来診療を全面再開した。病院関係者によると、年内にも入院患者の受け入れを再開し、病院名の変更も検討しているという。

乏しい物証

 これまでのところ捜査に大きな進展はみられない。

 殺害された八巻信雄さん=当時(88)、西川惣蔵さん=同(88)=は4階の同室に入院。点滴に注射器のようなもので消毒液を混入されて中毒死した。使われた点滴袋は4階の無施錠のナースステーションに置かれていた。誰でも触れられる状態で、特定の人物の指紋が検出されても証拠能力に乏しい。

 同じ場所にあった未使用の約50袋の一部からも同種の消毒液が検出され、入院患者を無差別に狙った疑いが浮上。動機による絞り込みも難しくなった。

 捜査本部は事件当時はいなかった元職員らにも聞き込みの対象を広げるなど地道な捜査を続ける。当時院内に防犯カメラがなく、人の出入りを調べるために足跡の解析も進めているが、ある捜査関係者は「数が多く、容疑者の割り出しにつながるかは不透明だ」と苦しい胸の内を明かす。

複雑な思い

 入院患者の受け入れ再開方針に元利用者らの思いは複雑だ。事件発覚の約2カ月前、入院していた母親を亡くした男性(65)は「解決まで待つべきだ」と訴える。八巻さんらが殺害されるまでの昨年7〜9月、4階に入院していた患者48人が死亡。事件との関連が疑われている。男性の母親は病死と診断されたが「本当にそうだったのか今も疑問は残る」と話す。

 同病院では事件前、看護師の飲み物に漂白剤のようなものが混入されるなどのトラブルが相次いでいた。職員間の人間関係が事件の遠因となった可能性もある。元職員の男性は「人を変えても、もともとの体質のようなものを変えないと、また同じことが起きかねない」と話した。

 大口病院連続殺人事件 横浜市神奈川区の大口病院で昨年9月、4階の同室に入院していた西川惣蔵さんと八巻信雄さんの点滴に薬品が混入され、同18日と20日に相次いで中毒死した事件。薬品は院内で医療器具の消毒用などに使われていた「ヂアミトール」とみられる。神奈川県警は同23日、神奈川署に捜査本部を設置。一部の点滴袋のゴム栓部分から小さな穴が見つかっており、混入に注射器のようなものが使われた可能性が高い。こうした手口などから、捜査本部は医療知識がある内部犯の疑いがあるとみている。

産経新聞

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