富士山の東に“つるし雲” 雨が降る予兆
2023年9月21日(木)9時6分 ウェザーニュース
2023/09/21 09:17 ウェザーニュース
今日9月21日(木)の朝、富士山の東側の上空に滑らかな円形の雲が出現し、山梨から目撃されています。
上空の風に乗って流れる普通の雲と違い、いちど出現すると場所がほとんど動きません。その様子が山の風下に吊されているように見えるので「つるし雲」と呼ばれます。
つるし雲とは
つるし雲は「レンズ雲」と呼ばれる種類の雲の一種で、高い山の風下に出現します。特に、
・上空を一定の強い風が吹いている
・上空の空気が湿っている
という気象条件が重なった時に発生しやすくなります。
強い風が山にぶつかると風の流れが変わり、風下では上下に振動する空気の波ができます。これを山岳波と呼びます。空気が湿っていると、波の山の部分で空気が上昇することで雲が発生し、波の谷の部分で空気が下降することで雲が消える、という原理で波に沿って雲ができます。
波の上下する場所はほぼ一定なので、空気は入れ替わっていても同じ場所で雲が出現し続けるわけです。
富士山のような単独峰の風下では円盤状や手羽先状のレンズ雲になり、山脈の風下に出来る場合は山脈と平行な帯状のロール雲になります。
天気下り坂となる予兆
上空に湿った空気が流れ込んでいるときに発生するという条件から、つるし雲が見えると天気が下り坂に向かうことが多いといわれます。
今日は日本海に停滞する前線と並行して湿った西風が東日本や西日本の上空を吹いています。記事内の「つるし雲」の写真が撮影された時点では、山梨県内はまだ雨が降っていなかったものの、この後は雨の降りやすい状況が続く予想です。まさに天気下り坂の予兆だったといえそうです。
写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)