秋の夕方は運動に最適 「1日8000歩」で生活習慣病予防

2021年10月4日(月)5時0分 ウェザーニュース

2021/10/04 05:54 ウェザーニュース

暑さも落ち着いて、外を歩くにはちょうど良い季節になってきました。しかし、長引くコロナ禍によって、仕事はテレワーク、授業はオンライン、買い物は回数を減らすなど、外出の機会が激減し、コロナ禍の前と比較して歩く量が減っている人も多いようです。
ウェザーニュースでアンケート調査を実施したところ、歩く量が「減った」と回答した人は「増えた」と回答した人に比べて約3倍も多い結果となりました。

運動不足になりがちですが、適度な運動は心がけたいものです。
歩くことは健康維持を図るうえで効果的だとされていますが、歩く「量」「質」「タイミング」を意識して行うことで、大きく健康寿命に差が出るという研究があります。詳しい話を、東京都健康長寿医療センター研究所 老化制御研究チーム副部長の青栁幸利さんに伺いました。

健康維持の秘訣は「中強度運動」

青栁さんは、故郷である群馬県中之条町の住民約5,000人を対象に、加速度センサーでのデータ収集や問診を20年間続け、理想的な歩き方を導き出した「中之条研究」で知られる研究者です。さっそく世界中から称賛を浴びた研究結果を教えていただきましょう。
「結論から申し上げると、あらゆる病気を予防する最良の歩き方は“1日8000歩”、“そのうち20分間は速歩き”というものでした」(青栁さん)
歩数は自分で計測することもできますが、速歩きはどの程度の速さがいいのでしょうか。
「運動の強度を示す指標にMETs(メッツ)があります。1メッツは1分間に体重1㎏あたり3.5mlの酸素を消費する運動量です。安静時が1メッツ、トイレに行くなどゆっくり歩くと2メッツ、速歩きはゆっくり歩きの2〜3倍の運動強度と考えてください。歌は歌えないが会話はできる程度の速さです。これが“中強度運動”で、1日20分行うと健康長寿につながります」(青栁さん)
(1)歩きながら歌が歌える……低強度運動
(2)歌は歌えないが会話はできる……中強度運動
(3)会話もままならない……高強度運動
と青栁さんは説明してくださいました。(2)の中強度運動を1日8,000歩の中に20分間組み込むのが理想的……とてもわかりやすいですね。

病気予防にベストな歩数は?

青栁さんは、1日あたりの歩数と速歩き時間によって、どのような病気が予防できるかも研究成果として発表しています。
この表を見ると、1日あたり2,000歩(速歩き時間0分)未満だと寝たきり、5,000歩(速歩き時間7.5分)未満だと要介護、認知症、心疾患、脳卒中のリスクがあることがわかります。
「一方、1日あたり7,000歩、そのうち速歩き時間15分達成で、がんの予防になります。女性の死因第一位は大腸がんですが、便秘ぎみの女性に多いとされます。毎日15分の速歩きを続ければ腸が刺激を受けて便秘が解消し、がん予防が期待できるのです」(青栁さん)
ところで青栁さんが1日8,000歩(そのうち速歩き20分)をいちばん推奨するのは、なぜなのでしょうか。
「その程度運動すると、体内にある長寿遺伝子が活性化し、健康長寿効果が最大限に発揮されるからです。それ以上は頭打ちになるので、あまりお勧めしていません」(青栁さん)

運動に最適な季節と時間帯

では、運動に適した季節や時間帯はあるのでしょうか。「量」「質」に次ぐ「タイミング」についても伺いました。
「運動に最適な季節は秋です。平均気温17℃くらいが、いちばん体を動かしやすいことが証明されています。また、運動に適している時間帯は夕方です。人の体温は朝起きる直前がいちばん低く、だんだん上がって夕方にピークを迎え、夜になると再び下がります。夕方に歩いて体温を上げておくと、寝つきが良くなり眠りも深くなるのです」(青栁さん)
「中之条研究」は、代表的な生活習慣病の発症を10分の1以下に抑え、中之条町の医療費を1人あたり年間10万円削減するという目覚ましい成果をあげました。
世界中から「中之条の奇跡」と称賛されたこの方式を、みなさんの生活にも取り入れてはいかがでしょう。

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