各紙「新閣僚の顔ぶれ」から見えてくる“やらかしそうな大臣”は誰だ?

10月12日(金)7時0分 文春オンライン

 新聞の論調の違いを味わうとしたら、社説だろうか? 天声人語のようなコラムだろうか? 政治面だろうか?


 これらも当然そうなのだが「ある時期」になると登場する記事がある。これが新聞の読み比べとしてたまらないのだ。


 それが「閣僚の横顔」である。


各新聞、麻生太郎財務相をどう書いたか?


 内閣改造などで新しい布陣になると各大臣を紹介するコーナー。似顔絵もついてるアレだ。政治面の記事だが、ふだんよりもっと論調の違いが出る。



官邸HPより 新閣僚の記念撮影


 たとえば麻生太郎財務大臣はどう書かれているか。各紙10月3日付から目立った箇所を抜粋してみる。


 朝日新聞。


《森友学園の公文書改ざんや前事務次官のセクハラ問題では、身内をかばい続けたうえ、自ら問題発言を連発。自民党の第2派閥を率い、「安倍政権をど真ん中で支える」と語っているものの、政権の足を引っぱり続けた。》


「政権の足を引っぱり続けた」。麻生氏からよく名指しで批判される朝日はこう紹介した。これを読んだ麻生氏がまたカチンときて朝日を何かのついでに批判するという無限ループを予想しておきたい。新聞を読まないという麻生氏だが、なぜか朝日には詳しいのも頭に入れておきたい。



 読売新聞の麻生評。


《学校法人「森友学園」の問題に絡む財務省の不祥事では進退も取りざたされたが、首相との厚い信頼関係で乗り切った。》


 あれは「乗り切った」のか。「押し通した」ように見えたのだが……。読売と朝日では見方が異なる。だから新聞は面白い。


 読売は最後に《べらんめえ口調と、軽口から来る失言癖は相変わらずだ。》とし、どこかあきらめた感じも伝わってくる。



産経新聞の麻生評 3年前と読み比べてみると……


 毎日新聞は、麻生氏のキャッチコピーが「政権支える毒舌家」。文章のなかでは《失言の多い毒舌家》。


 これ、短い表現だけどよく表していると思う。「政権支える」が「失言の多い」ってかなりリスキーな存在であることがわかるからだ。


 産経新聞を見てみよう。麻生氏の失言癖をどう紹介しているか。


《聴衆を楽しませようとするあまり、名言のつもりが失言となるリスクも抱える。》


 とても気を使っている。



 実は、産経の麻生評のこのくだりは3年前はもっと長かった。


《直接会った人物がいっぺんに魅了されるという気さくな人柄は、かつて「半径2メートルの男」と称されたが、聴衆を楽しませようとするあまり、講演などでの発言が時にリスクとなる。》(2015年10月7日)


 長い。


 失言や放言という言葉を慎重に避けて、一生懸命頑張った産経師匠。「麻生太郎を気持ちよくさせる紹介をせよ」という問題があったら100点の解答ではないか?


 しかし3年前に比べると今回はあっさり。麻生氏の問題発言が多すぎてフォローするのがめんどくさくなったのだと思われる。


読売が「ポスト安倍」とまで書いてきた人物


 さて新聞を読んでいると気づくのだが、今回の内閣改造&党人事が発表されて以降、紙面で注目されだした人物がいる。


「ポスト安倍 加藤氏急浮上」(読売 10月5日)


 自民党の総務会長に就いた加藤勝信氏の記事が急に増えたのだが、読売はなんと「ポスト安倍」とまで書いてきた。



《「首相は加藤氏を首相候補に育てるつもりだ。任期を終えたら派閥会長となり、支援に回るかもしれない」(首相に近い議員)という観測が出ている。》(同)


 首相と加藤氏は父親同士も関係が近かったので安倍家とは家族ぐるみの付き合いをしているという。


 急浮上の加藤氏だが、顔と名前が一致しない方も多いだろう。そんなときは「閣僚の横顔」を読もう。


 日経新聞の書く加藤氏は、


安倍晋三首相の父、晋太郎氏の側近だった加藤六月氏の女婿となり政界に転じた。》


《第2次安倍内閣で官房副長官に就任。初代の内閣人事局長を務めた。一億総活躍相、働き方改革相、厚生労働相と政権の看板政策を担った。15年の初入閣から一貫して拉致問題担当相を務めた。》


 こうしてみると加藤氏は安倍政権が掲げる政策の長にことごとく就いていることがわかる。



「ご飯論法」の人は炭水化物を控えている


 ああ、そういえば、働き方改革の答弁で「ご飯論法」してた人ね、と思い出した方もいるだろう。ご飯論法とは、「朝ごはん食べたか?」「いや食べていない(パンは食べたけど、ごはんは食べていない)」というようなごまかしの論法のこと。厚生労働大臣時代の加藤氏の“追及かわし“が、そのように言われた。


 朝日新聞の加藤氏の「横顔」見出しは、「質問かわす『ご飯論法』」


《質問に真正面から答えない答弁姿勢も「ご飯論法」と指摘された》



 そのあとに続くのはプライベートの横顔なのだが、私が注目したのはここ。


《健康維持のために続けていた庁舎10階までの階段上りは多忙により休みがち。炭水化物の摂取を控えめにしている。》


 朝日自身は気づいていないかもしれないが、「ご飯論法」の加藤氏が「炭水化物の摂取を控えめにしている」というギャグになっている。これぞ「閣僚の横顔」の読みどころである。


いかにもやらかしそうな人


 さて、あともう一人挙げておこう。桜田義孝五輪相である。


 この方の「横顔」を読むと過去の発言が紹介されているものが多く、「何かやらかすのではないか」という意味では麻生氏のライバルかもしれない。


 東京新聞は《原発事故で発生した指定廃棄物を「福島に置けばいい」と発言。舌禍への懸念は消えない。》



 毎日新聞は《原発事故で発生した指定廃棄物を「福島に置けばいい」と発言。慰安婦を「職業としての売春婦」と述べたこともある。いずれも撤回したが、舌禍への懸念は消えない。》


 読売は《慰安婦問題に関連し、「職業としての売春婦だった」と語るなど物議を醸す発言も少なくない。》


 タブロイド紙ではさっそく「シドロモドロ答弁必至 桜田五輪相 “辞任ドミノ“第1号に浮上“」(日刊ゲンダイ 10月8日付)。


 ゲンダイ師匠の予想はさておき、新聞の「閣僚の横顔」は面白いので読んでみてください。私は今も眺めています。



(プチ鹿島)

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