「経団連会長に年金が要るのか」「政治家は選挙を気にして改革ができない」橋下氏と竹中平蔵が語る経済政策

10月13日(日)9時0分 AbemaTIMES

 今月1日から消費税率が10%に増税され、同時に軽減税率などの負担軽減策が導入された。10日放送のAbemaTV『NewsBAR橋下』では、経済財政担当大臣・金融担当大臣を歴任した経済学者の竹中平蔵氏と橋下氏が、増税から財政の話まで議論した。

竹中:軽減税率はどこの国でもあるし、所得の低い人のことを考えれば必要だが、そもそも食品とは何だ?という話が出てきてしまっている。例えば水道水の消費税率は"サービス"ということで10%だが、お店でエビアンを買えば8%。オロナミンCとリポビタンDも税率は違う(笑)。おそらく、当局の担当者もバカバカしいと思いながら決めていったんだろうと思う。財務省はマイナンバーを使った還付など、良い案を出したが、政治がそれを否定してしまい、こんな変な制度ができた。軽減税率は住宅などの高いものに対しても必要だし、付加価値税の話も含め、そういうことがまるで議論がされていない。

橋下:自民党はやりたくなかったけど、やはり公明党がお金の還付よりも軽減税率の方が有権者にアピールできるからと"ゴリ押し"した。安倍官邸も自民党の考えひっくり返し、公明党との強固な関係を選んだ。時と場合によっては、そういうことを重視しないといけないのが政治家。これによって安倍さんは政権を維持しながら、憲法改正に向かっていく。

ただ、今になって外から言っても仕方ないが、僕はタイミング的に増税すべきではないと思っていた。もっとも、根本のところでは日本の借金が膨らんで大変だ、だから消費税を上げないといけないという意見があるが、それとは違う考えの人も多い。僕も借金だけを見るのではダメじゃないか、という考え方はストンと落ちていた。民間企業だって、借金の額だけを見て判断するわけではない。

竹中:資産と借金の差がどれくらい深刻化なのかが重要なのに、財務省が借金のことばかり主張するので財界も洗脳されてれてしまった。実は日本政府にはたくさんの資産があるし、しかも日銀が国債の半分近くにあたる500兆円を持っている。もちろん意見は分かれているが、日銀を政府の一部と見て連結財務諸表的なものを作れば、実は借金はそんなにないよ、ということも言える。

橋下:資産にプラスして、売上を上げる力が民間では信用力になる。政府では徴税力がそれに当たると考えれば、借金が1000兆円もあると大騒ぎすることはないと。一方、皆が言うのは円の信用がなくなってハイパーインフレが起きるというが、その裏付けも結局は政府の借金が多いからという話。でも、それだけではないと思う。

竹中:最も重要なのはGDPの伸びと借金の伸びのどちらが大きいのか、ということ。もし借金の伸びが大きくなっていけば、ワニの口が開いているようなグラフになるが、GDPが伸びていけば、私たちの生産力に対する借金の比率が下がる。日本の場合、このワニの口が開いていっているので、これは直していったほうがいい。それなのに借金が大変だからと増税してしまうと、前回のようにGDPが伸び悩み、ワニの口がますます開いてしまう。だから本音では安倍総理も菅官房長官も、増税はしたくなかったと思う。ただ、スケジュールを2012年の民主党政権当時に野党だった自民党と公明党が賛成して決めてしまっていたし、すでに二度も延期しているし、合意したのをまたとなれば政治的に問題があるから。

橋下:日銀が抱えている国債を資産と見て、政府が持っている負債と会計上"帳消し"にしてしまえばいいと僕は思っていた。反対の声もあるだろうが、それくらい狡賢いことを、政治家が経営者としてやればいいのにと思う。

竹中:私もそれくらいドラスティックにやってもいいと思っているし、"そんなに心配することではない"ということくらいは言ってもいいと思う。ノーベル経済学賞を受賞したシムズもスティグリッツも、極めて常識的な二点を指摘している。つまり、日本の財政赤字は言われているほど大きくないということと、少なくともデフレをちゃんと克服するまでは増税はしないほうがいいということだ。

橋下:僕も経済学科を出てはいるけど、経済学を極めているわけではない。やっぱり政治家は専門家じゃないから、いろいろな人の話を聞いて、どれが一番ストンと腹に落ちるかだと思う。だから僕も色んな考えの人の話を聞いた。竹中さんにもわざわざ大阪まで来てもらい、意見が真逆の人をぶつけて大激論してもらった。僕はそれをじっと聞かせてもらって。日本の借金というのはどうなんだ、という話は、難しい内容かもしれないけれど、もっと国民の前で議論しないといけないと思う。

竹中:それがリーダーの姿だ。不良債権処理問題の時に小泉元総理が面白いことを言っていた。"昔のお殿様も、必ず家老の間で意見が食い違ったはずだ。でも、それを聞いて判断するのがお殿様だよな"と。だから経済財政諮問会議ができた。財務大臣や経済再生担当相、そして専門家たちが出てきて情報を並べ、そしてお奉行が裁定する。だから私は"お白州だ"と言っていたし、担当大臣をしていた頃はとにかくガチンコ。そして議事録は3日後に出させた。読むと面白いし、総理のリーダーシップも見える。ただ、それがだんだん変わってきて、今は予定調和的になってしまった。

そして、当面は消費税を上げないと総理は言っているが、財務省は上げたいと言っている。しかし税金だけに頼ってはいけないし、歳出には改革の余地大きい。典型的なのは、今もこの瞬間、経団連会長にも、この私にも年金が出ている。要らないだろうと思う。今の年金制度は1961年にできたが、当時の日本人の平均寿命は66歳。いまや男性が81歳、女性は87歳だ。普通、年金をもらう期間は10〜15年で考えないといけないし、日本のような国はない。このまま気前よく年金を出し続け、後期高齢者の医療費負担1割を続けていたら、消費税を30%にしても足りない。

橋下:政治家は選挙を気にしてそこの改革ができない。年金制度に関していえば"マクロ経済スライド"と言って、自動的に給付額を計算していくような仕組みが不完全ながらも導入されているが、受給開始年齢を1歳ずらすだけで大騒ぎになってしまうのを見ると、やはり社会保障関係の制度は自動計算にしていくべきだと思う。大阪でもそのようにした結果、議会も"文句を言ってもしょうがない"となった。そうでないと民主主義では難しい。政治家も高齢者の支持を得ようとしている方が楽だし、若者が入ってきたら当選できるかもしれないから。子どもにも一票を与えて、親が代理行使すればいいと思う。うち7票ももらえるから。今の高齢化した政治家では期待薄なので、僕は30代、40代前半の政治家を、と思うけど、なかなか見えてこない。

竹中:高齢者の意見ばかり採用していると、若い人はますます政治に興味を持たなくなって、投票に行かなくなってしまう。残念ながら民主主義の悪循環が起きている。イギリスでは次の世代の声を聞くための組織を作った。そこで"本来、こうあるべきだ"というのが示されれば、国民も"仕方ないな"となる。実はヨーロッパではEUの指令がその役割を果たしてきたし、政府が国民を説得する材料に上手く使っていた。それが嫌だとなったから、ブレグジットが起きてしまった。クロ経済スライドは小泉さんのときに入れたわけだし、リーダーの責任でやらないといけない。やはり衆議院は地域の代表、参議委員は年代の代表として選ばれるようにし、人口に合わせて議席を配分するとか、シルバーデモクラシーを打破するためにも、そういう憲法改正を真面目に議論したらいいと思う。(AbemaTV/『NewsBAR橋下』より)
 

▶映像:橋下氏と竹中氏の対談(期間限定)

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