【出口治明】 「プラトン」と「アリストテレス」は なぜ対立したのか?

10月13日(日)6時0分 ダイヤモンドオンライン

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世界1200都市を訪れ、1万冊超を読破した“現代の知の巨人”、稀代の読書家として知られる出口治明APU(立命館アジア太平洋大学)学長。歴史への造詣が深いことから、京都大学の「国際人のグローバル・リテラシー」特別講義では世界史の講義を受け持った。

その出口学長が、3年をかけて書き上げた大著が、なんと大手書店のベストセラーとなり、話題となっている。BC1000年前後に生まれた世界最古の宗教家・ゾロアスター、BC624年頃に生まれた世界最古の哲学者・タレスから現代のレヴィ=ストロースまで、哲学者・宗教家の肖像100点以上を用いて、世界史を背骨に、日本人が最も苦手とする「哲学と宗教」の全史を初めて体系的に解説した本だ。なぜ、今、哲学だけではなく、宗教を同時に学ぶ必要があるのか?

脳研究者で東京大学教授の池谷裕二氏が絶賛、小説家の宮部みゆき氏が推薦、某有名書店員が激賞する『哲学と宗教全史』が、発売後たちまち第4刷となり、「日経新聞」にも大きく掲載された。

9月7日土曜14時、東京・八重洲ブックセンターに約80名が集結。満員御礼で行われた出版記念講演会の最終回を特別にお送りしよう。



なぜ、プラトンは異質か?



 ギリシャの哲学者の中でも、プラトン(BC427−BC347)はものすごく異質です。


 ソクラテス(BC469頃−BC399)もいるのですが、ソクラテス直伝の書物はなく、すべてプラトンなどが書いたものしか残っていない。

 プラトンがどこまで正直に、ソクラテスの本当のことを書いたかどうかはわからないのです。


 プラトンがなぜ異質かといえば、プラトンが哲学者として初めて精神的、観念的な問題を取り上げたからです。


 ギリシャの哲学は「自然科学」に根ざしているので、物事を徹底的に見るわけです。

 これはなんでできているのだろう?

 なんでできているかと考えて、タレスは「万物の根源は水」と答えた。


 でも、これは今から2500以上前の話ですから、驚くべき洞察力ですよね。


 みなさんの体も70%が水でできています。

 今の自然科学でわかっていることを、タレスは直感で知っていた。

 水から始まって、最後は原子(アトム)まで行き着く。

 人間はもともと小さい粒子からできていると。

 驚くべき頭の鋭さですよね。


 でも、プラトンはそうは考えなかった。

 物事を突き詰めていったら何があるかといえば、水やアトムのような物質ではなく「イデア(理念、理念形)」があると考えた。


 ここにコップがある。他の場所にもコップが山ほどあるとします。

 コップの形はみんな似ている。

 なぜ似ているかといえば、コップの「イデア」があるからだとプラトンは考える。

 コップというもののどこかに原型(イデア)がある。

 そのイデアを見て、みんながコップをつくるから、みんな同じような形になるのだと。


 どこかにある原型(イデア)と現実にあるものの「二元論」で世界を理解するのです。


 机も、丸い、四角いなど、形は違えど、みんな平面の下に脚が付いている。

 どこかに机の理念形(イデア)があって、それを真似しているだけだという考え方です。


 でも「二元論」は、実はギリシャにはない考え方で、現在ではインドに生まれた考え方、「輪廻転生」といって、どんどん物事が移っていく。この考え方から生まれたといわれています。


 でも、輪廻転生も、みなさんも小さい頃、いわれたことはありませんか。

 僕なんか田舎の出身だったので、何か悪さしたら、来世はゴキブリに生まれ変わるぞ〜などといわれた記憶があります。

 今、悪さしたら、次に生まれかわってくるときは、ゴキブリになって踏まれて辛い目にあうぞと。


 この考えは、みなさんの魂を一定に、つまり不変なものとして前提しています。

 みなさんの魂、心が不変でなかったら、何に生まれ変わろうとわからないわけですから、別にゴキブリに生まれ変わっても辛くない。


「来世は王様に生まれたい」と考えるのは、みなさんの魂が常に残っていることを前提にした考え方で、だからゴキブリになるのが嫌なんですよね。魂の肉体の二元論です。


 こういう輪廻転生の考え方はインド特有です。というか、もともとインドで生まれたのです。





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