【六本木鉄パイプ落下1年】落下物による労災事故年間1400件、通行人被害も相次ぐ…背景に人材不足も

10月13日(金)21時55分 産経新聞

 東京都港区六本木のマンション工事現場で鉄パイプが落下し、歩行者の男性が死亡した事故は14日で発生から1年を迎えた。警視庁は業務上過失致死容疑を視野に捜査しているが、その後も同様の事故は続発。2020年東京五輪・パラリンピックに向け建設需要の高まりが想定される中、業界関係者からは抜本的な対策を求める声が上がっている。

 事故は昨年10月14日、11階建てマンションの外壁工事現場で発生。解体中の足場の鉄パイプ1本が落下し、頭に直撃を受けた通行中の新宿区東五軒町、飯村一彦さん=当時(77)=が死亡した。鉄パイプは留め具が外れて落下した可能性があるが、目撃者の証言と矛盾もあり、警視庁は慎重に捜査している。

 厚生労働省によると、工事現場で足場から資材が落下するなど「飛来・落下」により作業員が負傷した労災事故は昨年1年間で1457件あった。過去5年間では減少傾向にあるが、死亡者数は10〜20人台と横ばいのままだ。

 歩行者など第三者が巻き込まれるケースも後を絶たず、平成23年10月には、都内のマンション10階から足場用の鉄パイプが落下し、歩行者の男性が頭を負傷する事故が発生。今年6月には大分県で足場用の板が落下して女性が負傷した。「たまたま下に人がおらず、報告しないケースも無数にある」(建設関連業者)という。

 落下事故防止をめぐっては、主に作業員の安全の観点から法規制が強化されてきた。21年改正の労働安全衛生規則では、作業開始前に毎回、落下防止設備を点検することを義務づけた。今年7月からは、足場の組み立てや解体の作業は、有資格者や特別教育を受けた作業員に限定している。

 それでも事故が相次ぐ背景には、好況時に建設されたマンションなどが一斉に改修時期を迎え、建設業界が慢性的な人手不足に陥っていることもある。

 仮設足場の関連事業者約200社でつくる「全国仮設安全事業協同組合」の杉森岳夫安全監理部長は「安全な足場の設置や必要な点検が、コストや工期の関係から軽視されている現状もある」と指摘、「来年以降は東京五輪の建設ラッシュも本格化し、経験の浅い人も即戦力扱いせざるを得ない状況が続く。工法そのものを見直すなど、事故を起きにくくする工事環境を整備すべきだ」と訴える。

産経新聞

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