付属病院の背任事件で注目を集める、日大・田中英寿理事長の不都合な話 (下)

10月15日(金)17時18分 財経新聞

 各社の報道によると、日大医学部付属板橋病院建て替え設計料の着手金、約7億3千万円のうち2億2000万円が籔本容疑者の関係する都内のペーパーカンパニーに送金され、籔本容疑者側に約1億円、井ノ口容疑者に2500万円が配分された(一部の報道では田中寿英理事長に3000万円というのもある)という。だが未だに6500万円〜9500万円の行方が不明だ。だいたいカネの出所が日大なのに、日大側の取り分が随分少ないという違和感がある。もう少し裏があると考えてもうがち過ぎではないだろう。

【前回は】付属病院の背任事件で注目を集める、日大・田中英寿理事長の不都合な話 (上)

 日大の背任事件に関連して実施されている家宅捜索の対象が、田中理事の自宅が含まれていることの意味は大きい。しかも2度に渡って家宅捜索の洗礼を受けた。

 田中理事長に重用されていた井ノ口容疑者が、恩顧に応えて田中理事長にアドバイスしていたことの中には、「後ろめたいカネは現金で受け取って、帳簿等に残さない」という小工夫もあったかもしれない。自宅に用心深く特大の金庫でも備え付けておけば帳簿等から足が付くことはないが、家宅捜索を受ければ一発だ。

 山のような現金の出所を尋ねられて、理路整然と作り話で済ませることは難しい。説明したことの裏取りがされることを考えると、現金を手元に置いておくこと自体がリスキーになる。もっとも捜査の手が身辺に及んでいなければ、取り越し苦労で終わる話でもある。

 田中理事長宅の初回の家宅捜索で押収されたものを分析しているうちに、別件の疑惑が浮上したため裏取りの必要に迫られて、2度目の家宅捜索に及んだ可能性もあるだろう。

 9月8日に家宅捜索を受けた田中理事長は、12日に検察に診断書を提出して入院した。医師の診断書には「長時間の取調べは受けられない」と記載されているようだが、入院先が「日大病院」と聞けば素直に同情する人は少ない。

 その後、「俺が逮捕されたら、過去から今までの間に政治家に渡した裏金を全てぶちまける」と言っているとの報道もある。この言葉自体が田中理事長の人物像を象徴するかのようで、「何をか言わんや」と呆れるほかないが、背後に潜む大きな「闇」の存在を感じさせるどす黒さに満ちている。窮鼠から出てくる言葉が真実であれ、出まかせであれ甚大な影響力を持つことは間違いない。

 田中理事長が自ら進んで「ぶちまける」ことは有り得ないだろうから、主導権は特捜部側にある。10月31日の投開票日前に政治スキャンダルが発生という波風を特捜部が嫌うとすれば、月が変わってから田中理事長を主役に据えた新しい局面の展開が想定される事態だ。

財経新聞

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