「ダイエット症候群」に陥っていませんか?

2018年10月17日(水)4時30分 ウェザーニュース


2018/10/17 06:26 ウェザーニュース

食欲の秋に体重増加を気にしている人も多いでしょう。しかし、気軽にダイエットを始めたところ、体重計に乗るたびに落ちていく数字に「もっとやせて、きれいになりたい」とのめり込んだりしていませんか?
それは命の危険さえあるダイエット症候群の入り口かもしれません。

ダイエットが止まらない!

「ダイエットは本来、食事療法という意味で、たとえばタンパク質が不足していれば肉類や乳製品を摂るというのがダイエットです。しかし、日本では減量のための減食という意味で使われています」と語る横浜相原病院(神奈川県横浜市)の吉田勝明院長は、こんなダイエット症候群の実例を紹介します。
最近太り始めたKさん(当時25歳)は154cmの身長で60kg。太る前の写真と現在の姿を見比べてダイエットを決意しました。1日に1食か2食にしただけでなく、連日エアロビクスの教室に通い、週末は自宅周辺をジョギング。10kg減を目標にしましたが、結果的に12kg減の48kgになりました。
ふつうならこれで一段落なのですが、ファッション雑誌やテレビの女性タレントを見ているうちに、「もっとやせて、もっときれいになりたい!」と考えるようになり、口に指を入れておう吐したり下剤を常用しました。少しでも体重が増えるとイライラしたり不安な気持ちになり、うつ気味になって生理も止まりました。

典型的な栄養失調に

Kさんは体調も崩したので病院で検査を受けると、総タンパク・アルブミン値が低下、肝機能障害、電解質バランスの障害、尿中ケトン体陽性など典型的な栄養失調のデータが見られました。
「たんなる栄養失調ではなく摂食障害と診断され、精神科医の私が診ることになりました。体重は30kg台半ばまで落ちていたので、1週間ほど入院してもらい、母親を交えてカウンセリングを行いました。若い女性の摂食障害は、母親との葛藤が背景にあることが多いからです。退院後は外来治療で週に1回のカウンセリングを続けました」(吉田院長)
結論から言えば、母親と娘は時間をかけて和解し、Kさんは1年ほどで摂食障害から回復したといいます。

ダイエットを契機に現れる心の問題

吉田院長によると、「心の問題を抱えた人はダイエットにのめり込む傾向があります。Kさんは母親との葛藤でしたが、自分に自信がなくて他人の目を気にする、何事も完璧でなくては気がすまない、1人前の大人になりたくない、などさまざまです。そうした心の問題が背景にあるためダイエットにのめり込んでしまうのです」
過度に痩せた状態が続くと、寝ているときに段々と脈が遅くなり(徐脈)、正常なら1分間に72回前後ある脈拍が30回を切るくらいまで減少し、やがて呼吸回数も減少して無呼吸状態が続きます。それはすなわち、命の危険があるということです。
『人口動態調査』(厚生労働省)によると、2017年に摂食障害で死亡した人は男性28人、女性159人の計187人ですが、吉田院長は「実際はその10倍以上」と見ています。
度を越したダイエットがやめられないと命の危険があるのです。やめたくてもやめられない人は、精神科や心療内科などを受診してください。


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