台風19号で浸水したラグビーW杯の横浜会場 驚きの治水の仕掛けとは?

10月19日(土)15時0分 ウェザーニュース


2019/10/19 16:08 ウェザーニュース

10月13日(日)にラグビーW杯の横浜会場(横浜国際総合競技場)で行われた日本対スコットランド戦。前日上陸した台風19号が関東を直撃したため、会場周辺は試合開始直前まで浸水していました。
試合中止も懸念されましたが、予定通り無事に開催されました。台風の影響を感じさせない感動的な一戦の裏側に、横浜国際総合競技場を含む新横浜公園と隣接する鶴見川の氾濫を防ぐ素晴らしい仕掛けがあったのです。

昔から暴れ川だった鶴見川

鶴見川は昔から暴れ川として知られていました。戦後も1948年のキティ台風で2000戸以上の浸水被害、52年のダイナ台風で160戸の床上浸水、56年には豪雨で120戸が浸水、58年の狩野川台風では約1万7000戸が床上浸水、約5万戸が床下浸水などたびたび氾濫してきました。


そこで建設省(国土交通省)は1980年に、鶴見川が鳥山川と合流する付近を多目的遊水地とする計画を立て、用地買収や住民の同意などを経て94年に造成工事が始まります。施設建設を含む工事は3年あまりかかり、97年に「鶴見川多目的遊水地」が完成しました。

横浜国際総合競技場は高床式

遊水地の面積は84ha。ここに横浜国際総合競技場、野球場、テニスコート、駐車場などができました。横浜国際総合競技場の一番の特徴は、1000本以上の柱に支えられた人工基盤の上に立つ高床式のスタジアムです。そのため、3階がフィールド、4階より上が客席で、1階は駐車場になっています。
高床式にしたのは、スタジアムがある新横浜公園が鶴見川の流水を一時的に貯める遊水地だからです。川の水が流入すれば1階の駐車場は浸水しますが、会場ゲートは2階に相当する高架式通路(ペディストリアルデッキ)で遊水地外の道路と結ばれているため出入りに支障はありません。
10月13日(日)に会場周辺が浸水したことについて、管理する横浜市体育協会の担当者は、「前日は台風19号による豪雨で鶴見川の水位が上がったため、堤防の一部(可動式)を下げて川の水を遊水地に流し込みました。流入量は93万m3に達しました」と話します。

可動式の堤防を下げて鶴見川(写真左)から新横浜公園(右)に水を流入させた(10月12日)

水を流し込んだことで、横浜国際総合競技場の1階は浸水します。
「日付が変わると鶴見川の水位が下がったので、排水門を開けて排水を開始しました。夕方には排水を終えて1階の駐車場を使うこともできました。しかし、もし排水が間に合わなくて駐車場が浸水していても、日本対スコットランド戦に支障はありませんでした」(横浜市体育協会)

スタジアム1階駐車場の浸水状況(10月13日3時54分)

遊水地に貯められる水量は最大で390万m3、東京ドーム3杯分に相当します。10月12日に鶴見川から流入した水量(93万m3)は十分に余裕がありました。鶴見川多目的遊水地は2003年から運用を始めて16年になりますが、鶴見川の水の流入は今回で21回目になるそうです。
横浜国際総合競技場では、10月26日・27日にラグビーW杯の準決勝戦が2試合、11月2日には決勝戦が行われます。試合だけでなく、川の氾濫を防ぐ日本の“治水の知恵”にも注目してはいかがでしょうか。

参考資料など

取材・写真提供/横浜市体育協会


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