50代フリーライター「タクシー運転手」副業は意外とウハウハだった!(4)「新人が横綱になれる」仕事

10月28日(金)5時55分 アサ芸プラス

 客から「運ちゃん」呼ばわりされて怒るドライバーもいるが、私に言わせればそんなのどうってことない。それ以上に嫌な客はゴマンといるからだ。中でも嫌なのが酔客。それも会話ができないくらい酔った客だ。吐かれると仕事にならないので、私は乗車拒否している(行き先も言えない場合は乗車拒否できる)。

 吐かれた場合、洗車に3時間ぐらいかかる。花金にやられようものなら売り上げはパーだ。万が一乗せちゃった場合、コンビニ袋をいつでも渡せるように手に持ち、さらに窓を開けて客の様子確認を繰り返す。ヤバそうだったら車を止め、ドアを開けて「外でやれ!」と大声で叫ぶ。ぎりぎりセーフ、というケースも何度かあったが、かくいう私も被害者だ。

 新宿から乗せた若い男が流山インターを降りたとたん、やってくれた。私は「お客さん、困りますよ、仕事になりませんよ〜」と言って相手の出方を見た。すると男は「すいません、これで許してください」と1万円を出してきた。

 ただ、これは「不幸中の幸い」だ。先日、親子を乗せた同僚が息子に吐かれた。同僚は親に不始末の請求をするも、親は「タクシーは吐かれるリスクなど承知の上だ!」と強気になり、メーター分の料金しか払わない。「お客さん、わかりました。いちおう、この会話は(ドライブレコーダーに)録音されております。警察に行きます? それとも弁護士に電話しましょうか?」などと言ったが、ラチがあかなかったとか。

 車内を汚されても請求できない、というか、しづらいケースもある。別の同僚の話だが、指定の病院に行く間、車内で「産まれて」しまったのだ。さすがにめでたいことであり、その運転手は洗車をしながら「タクシーで産まれたから卓子、なんてどうだ」と名付け親気取りで笑っていた。

 その他、大や小を漏らす人もいれば、女の子がシーツを真っ赤にすることも。これらを思えば、乗客に放屁されて臭くなるぐらい、どうってことない。

 私は客としてもタクシーをよく利用し、客になると必ず景気を尋ねる。ほとんどの運転手は「よくないね〜」とこぼすが、私の実感は「決して悪くはない」だ。バブル当時のようなチケット客は減ったが、東京五輪を控え景気は上向いている感じがする。街に立つ客は増えており、“粒”もよくなっている。乗車率も5割を超すことがたまにあり、建設業界で働くニッカポッカのあんちゃんがキャバクラ帰りに乗ったり、太い客からタクシー代をもらうキャバ嬢、というシーンも増えてきた。

 どんな仕事にも長所と短所があるが、タクシーのよさは「自分で稼ぎや労働時間を決められる」「一般企業にありがちな人間関係でのトラブルが少ない」点だ。新人はやる気もあり、長時間走って稼いでくるが、慣れてくるとマイペースとなり、労働時間も稼ぎもソコソコにとどめる。

 逆に言えば、やる気しだいで「新人が横綱になれる」仕事なのだ。

後藤豊(ライター)

アサ芸プラス

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