初心者もプランターで手軽にできる!イチゴの育て方のコツ
2023年11月4日(土)5時15分 ウェザーニュース
2023/11/04 05:00 ウェザーニュース
イチゴの秋苗の植え付けは、11月中旬までと言われています。今植えれば、来年5〜6月には収穫できるのです。ぜひ今年、チャレンジしてみませんか。
初心者でもプランターで手軽にイチゴを植える方法を、種苗や園芸製品の大手メーカー、サカタのタネ(本社・横浜市)に伺いました。
初心者におすすめのイチゴの種類
家庭菜園に不慣れな人でもイチゴの栽培ができるそうですが、まず何から始めたらいいのでしょうか。
「まずは、収穫時期と品種を決めましょう。イチゴには大きく分けて<一季なり>と<四季なり>の2系統があります。これは、収穫時期の違いによる分け方です。
一季なりは1年に1時季、イチゴの旬と呼ばれる5〜6月に収穫します。四季なりは冬以外の春〜秋に収穫できますが、こまめな追肥の手間がかかるというデメリットがあります。
初心者であれば、一季なりのイチゴがおすすめです」(サカタのタネ)
事前準備のポイントと注意点
11月の中旬までに苗を買って植えればいいのですね。そのほか、事前準備としてはどのようなことが必要でしょうか。
「苗と一緒に容器を選ぶ必要があります。容器には1本の苗を植える<鉢>と、複数の苗を並べて植える長方形の容器<プランター>があります。
ガーデニングとして楽しむ場合は、イチゴ専用の鉢である<ストロベリーポット>を購入するといいでしょう。つるのように伸びたランナーの先にできる子苗を下のポケットに受けて育てられるので見た目が楽しく、垂れ下がった果実が地面に着かないので病気になりにくいという利点があります。
次に土が必要です。鉢やプランターに植える場合は、市販の野菜用培養土(肥料入り)を用意してください。畑にじかに植える方法もありますが、苦土石灰、完熟堆肥、有機入り肥料などを用意し、植え付けの2週間以上前から土になじませる必要があるので、初心者にはおすすめできません」(サカタのタネ)
イチゴの栽培スケジュール
植え付けから後は、どのような流れになるのでしょうか。一季なりの苗を3株ほど買って、野菜用培養土を入れた標準プランター(長さ65cm)で育てる流れを教えてもらいました。
▼苗を植え付ける
苗の株元には、親株とつながっていたランナーと呼ばれるつるのようなものを切り離した跡があります。イチゴの花や実はランナーの反対側にできるので、花や実がなる方を手前に向けて苗を植えます(ランナーを切り離した跡がわかる苗を買っておくといいでしょう)。
植える深さは、クラウン(株元の茎にあたる膨らんだ部分)が土に埋まらないように植えてください。
▼水やり
畑に植える場合は雨まかせでいいのですが、プランターに植える場合は、土が乾いたら水やりが必要です。
▼越冬の準備
寒さと泥はね防止のため、株元に敷き藁をします。
12月頃からランナーが出てくることがあります。年内に出たランナーはまだ早いので、元からハサミで切ってください。
▼寒さ対策
1月になると寒さ対策が必要ですが、イチゴは寒さに強いのでマイナス5〜6℃までなら大丈夫です。春に花を咲かせるためには寒さを認識させる必要もあるので、必要以上に苗を温めないでください。
▼開花の準備
2月になったら傷んだ葉や枯れた葉を取り除き、株元をきれいにしましょう。軽く追肥をあげることも忘れずに。
▼授粉を行う
3月になって花が咲いたら授粉をします。授粉ができる気温の目安は15〜25℃です。プランター栽培の場合は、筆や綿棒など柔らかな素材に花粉を付け、中心部の雄しべに、やさしく均一に花粉が行き渡るように塗ってあげてください。
▼病害虫対策
花が咲いてから収穫までの期間は、害虫対策が必要です。アブラムシ、ハダニ、コガネムシの幼虫、ナメクジなどに食害されないよう薬剤で守りましょう。灰色かび病などの病気にかからないように、風通しを良くすることも大切です。
▼葉かきをする
葉が茂りすぎると良くないので、適宜葉かきをして枚数を減らしましょう。花の下の古い葉を中心に行います。
▼イチゴを収穫
実が赤く色づいて食べられる大きさに育ったら収穫します。受粉後40〜50日が目安です。
▼来年の苗づくり
収穫が終わる6月頃から、新しいランナーを親株になるまで育てて来年の苗づくりを行います。収穫が終わった苗は処分し、新しい親株は苗床に植え替えて秋まで保管します。
初心者でも成功させるコツ
植え付けから収穫までの流れがよくわかりました。いちばん気をつけなければならないこと、初心者がやりがちな失敗を防ぐコツを教えてください。
「家庭菜園でイチゴづくりにチャレンジした方からよくいただく問い合わせは、花が咲かないというものです。その原因は、肥料のやり過ぎにあります。肥料の多用は避けてください。
人工授粉はイチゴの形がいびつになりますが、これは失敗ではありません。お店に売っているようなきれいな形のイチゴは、ミツバチなどによる自然受粉でないとできないのです」(サカタのタネ)
イチゴの栽培方法と育て方のコツを伺いました。自分で育てたイチゴは、多少形が悪くても、味は格別に感じるものです。
初心者にもプランターで育てるイチゴはハードルが低そうです。家族でイチゴの成長を楽しみながら「我が家のイチゴ」を収穫してみませんか。
取材協力
サカタのタネ「園芸通信」(https://sakata-tsushin.com)