世界から見て、日本は“ヘンタイカルチャー”なのか。日本を愛するイスラム教徒アメリカ人が「残念」に思うこと

2024年11月11日(月)20時15分 All About

日本のアニメが大好きで、関西外国語大学に留学も果たしたバングラデシュ系アメリカ人のインフルエンサー、アクター・シャラニカさんにインタビューを行いました。イスラム教徒の彼女には一体、日本はどのように映っているのでしょうか。

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関西外国語大学への留学も果たし、バングラデシュ系アメリカ人で、ニューヨーク在住のインフルエンサー、アクター・シャラニカさん。今回はシャラニカさんにとって日本はどのような国かをうかがいました。

日本で働くのはあり?

——これまでに何度も日本を訪れ、留学も経験されていますが、また日本に住んでみたいと思いますか?
「1、2年なら働きながら、ぜひ住んでみたいですね! 日本留学が終わった後、しばらく日本に残って働く外国人もいますが、私は一度帰ることにしました。自分のキャリアをニューヨークで始めたいと思ったからです。
長いキャリアの中で、きっと日本で働ける日が来るだろうとも思っていました。しかしコロナのせいでその機会は訪れず……。さらに円安が続き、私の日本への移住計画はなかなか思うように進みません。でも諦めずに機会を探しています。日本で働く経験をしてみたいと思っています」
——世界的にも広まった「過労死」という日本語があるぐらいですが、それでも日本で働くことに興味がありますか?
「確かに日本の労働環境には明らかな問題がありそうです。私が選ぶとしたら外資系の会社で働きたいなと思います」

日本のインフラレベルの高さで驚いたこと

——日本で生まれ育つとコンビニなど当たり前に感じてしまいますが、外国人にとって日本での滞在は快適ですか?
「クオリティオブライフは高いと思いますね。コンビニも便利で大好きです。個人的に一番驚いたのは医療システムが整っていることでした。日本滞在中に体調を崩し、病院にかかったことがあるのですが、とても清潔な病院ですぐに診察してもらえて、薬代も5ドル(600円前後)ぐらいでした。アメリカの高額な医療費と比較すると信じられないような話です。
それから食べ物も安くてとても健康的だと思います。留学するために日本にやってきた時、肌荒れの状態でした。ですが日本で数カ月過ごすうちにニキビは消え、体は引き締まり、髪の毛のつやも出て、体重が自然と落ちました。これには『すごい!』と、本当にびっくりしましたね」

日本をよく知る外国人から見た日本社会とは?

——これまでのインタビューでアニメとの出会いや日本語の習得、日本旅行など多くのことを語っていただきました。日本に造詣の深いシャラニカさんがこれまでに日本や日本人について学んだことを教えてください。
「私の周りでも日本に旅行する人は多いです。日本旅行ははやっているし、SNSにもそういったコンテンツがあふれているので、興味を持つ人も当然多くなります。しかし、ほとんどの人は日本について私のようには勉強したことのない人たちです。
そういう人が日本旅行から帰ってくると、こんな感想を伝えてくることがあります。『日本人ってちょっと特殊な感じがした』『売春がごく普通に行われていてショックだった』『サラリーマンカルチャーってやばすぎる』『初音ミクと結婚した人がいる』などです。
日本文化の奇異な一面にだけ目を向けて、日本は変だ、変わっている、と言うのは、自分がこれまで見たことがないものを受け入れないことだと思います。個人的には日本が変だとは思いません。むしろそういう感想には心外しちゃいます。日本文化の価値を、例えば『ヘンタイカルチャー』として捉えて貶めているような気がするからです。
海外の人には変に見える日本独特の現象の裏側には、実はとても複雑な理由があることを知っています。そして解決の仕方がアメリカ人とは少し違うだけ。深く掘り下げていけば、私もあなたも同じ人間なんです。
日本人の行動には理由があり、私が尊敬することもたくさんあります。清潔さ、秩序、思いやり、他人への尊重。それらを日本を通じて学び、そして自分の日常の中にも採り入れています。もしかしたら私がイスラム教徒だということも関係しているかもしれません。イスラム教と日本の文化は相性が良いと思います。イスラームの教えでは、私たちは清潔にしなければなりませんし、他者に思いやりを持たなければなりませんから」

日本の社会の中に入ってみて思うこと

——とてもポジティブな考えを聞かせていただけて大変勉強になりました。こんなふうに歩み寄って理解しようとする外国人が増えると、とてもうれしいなと個人的には思います。逆に日本で生活してみて、自分とは合わないなと感じることはありましたか?
「他者を理解するという点では、もう少し学ぶ余地があると思います。日本でホームステイをしていた時、ホストマザーは日本人で私の母よりも年上の女性でした。彼女はずっと私のことを『アメリカ人』だと思い込んでいて、毎日ハンバーガーやパスタを食卓に並べました。
私は常々『私は「バングラデシュ系のアメリカ人」です』『バングラデシュでは毎日お米と魚を食べます。だから私は和食も大好きです』と伝えていたのですが、その次に食卓に並んだのはカレーでした。とうとう留学センターを通じてコミュニケーションを手伝ってもらうことにしました。その日、初めて和食が並びました。焼き魚、みそ汁、白米、煮物など。とてもおいしくて完食しました。
翌日、ホストマザーが娘さんに電話で話しているのを聞きました。『今ホームステイしている外国人の子、和食を出したらまるで猫が食べたみたいにきれいに魚を食べたよ』と。それを聞いて私はめちゃくちゃ笑いました。
だからバングラデシュ系だと言ってたのに! と思って。そこからは毎日魚の和食でした。とてもおいしくてありがたかったです。これは一例ですが、日本人は文化の異なる外国人のことを知る機会がもっとあってもいいと思います」

日本は「最もイスラム教徒をリスペクトしてくれる国」

「その一方で、日本はイスラム教の人口がとても少ないにもかかわらず、私がこれまでに旅した場所の中で最もイスラム教徒をリスペクトしてくれる国だとも感じてます。
日本の空港やショッピングモール、また東京駅や梅田駅の中には、お祈りのための部屋があります。これって素晴らしい気遣いだと思うのです。現地の大多数の人は必要としておらず、主に外国人観光客向けに作られていることを理解し、感謝しています。ニューヨークにはそういう設備はありません。
そして日本にあるハラール料理のレストランは、戒律に厳格に従って料理を作ってくれます。イスラム教徒として、尊重されていると感じられ、とてもありがたく思います」
——最後に、日本に暮らす人たちに向けてのメッセージなどあればお願いします。
「今の日本にはうつや自殺がまん延していることをよく耳にします。もしどこかに希望を探している人がいるのなら、イスラム教をちょっとのぞいてみてもいいかもしれません。日本の文化と相性が良いし、また違った角度から物事を見せてくれるかも。お酒と豚肉は厳禁ですが(笑)」
この記事の筆者:Gena プロフィール
ドイツ在住3年目のライター、ボディポジティブモデル。個人ブログをきっかけに執筆活動を開始し、現在はヨーロッパのモデル事務所に所属しながら、「ヨガジャーナルオンライン」にてエッセイを連載中。学生時代にはアメリカ・ニューヨークにも留学経験あり。日本と欧米における視点の違いに関する情報を発信する。
(文:Gena)

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