人質・捕虜を残忍な方法で“処刑”してきたIS最高指導者は、なぜ身内に裏切られたのか

11月13日(水)6時30分 文春オンライン

 最後は軍用犬に追い詰められ、トンネル内で自爆したという。


 過激派組織「イスラム国」(IS)の最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者(48)が死亡したと、米政府が10月27日発表した。



04年に米軍に拘束されたことも ©共同通信社


 その4日後には、ISもバグダディ容疑者の死亡を公表。「アブイブラヒム・ハシミ・クラシ」なる人物が、後継の指導者に就いたと明らかにした。


 ISはイラクとシリアで、最盛期にイギリスほどの面積を支配。忠誠を誓わない市民や、日本人を含む人質、捕虜たちを斬首や焼殺などの残忍な方法で続々と“処刑”し、世界を震撼させてきた。


 当然ながら、トップのバグダディ容疑者は世界ナンバーワンの“お尋ね者”だった。米政府は2500万ドル(約27億円)という最高額の懸賞金をかけて追跡。だが10年近く、居場所を突き止められなかった。


 それが今回、なぜ見つかったのか。


 欧米メディアの報道から浮かぶのは、バグダディ容疑者の妻も含む、最も身近にいた人たちの裏切りだ。



腹心はなぜ寝返ったのか、そして懸賞金の行方は……


 中でも、腹心の警護担当が大きな役割を果たした。この人物が、クルド人が主体の武装組織「シリア民主軍」(SDF)のスパイとなって情報を収集。自国の手柄を誇りたいトランプ政権はSDFの役割を極力小さく見せようとしているが、SDFは情報を米中央情報局(CIA)に提供し、今回の米軍の作戦に結実した。



 SDFのアブディ司令官に対する米放送局NBCのインタビューによると、このスパイはバグダディ容疑者の隠れ家に行くとき、車窓の風景から場所を特定できないように、移動の車中で寝そべるよう命じられた(彼のような腹心以外には厳重な目隠しがされた)。しかし何回か繰り返すうちに、複数の隠れ家の位置を把握できた。


 隠れ家の中は自由に歩き回ることができ、スパイはバグダディ容疑者が脱ぎ捨てた下着と血液を持ち帰ることに成功。SDFがDNAを調べ、本人だと確認した。「それをCIAに伝えたら、米政府はがぜん本腰を入れ出した」という。


 この腹心が寝返ったのは、「親族がISにひどい仕打ちを受けたことへの復讐心からだった」。


 一方、英紙ガーディアンによると、バグダディ容疑者の複数いる妻の一人と姪も、居場所の特定につながる情報をイラク当局とSDFに伝えていたとされる。


 先述のスパイは、今回の米軍の作戦の際にも隠れ家にいて、米軍と共に脱出したという。米紙ワシントンポストは、彼が懸賞金の全額または一部を受け取る見通しだと報じている。



(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年11月14日号)

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