心身の健康を保つために日本食が素晴らしい、3つの理由

2019年11月17日(日)5時0分 ウェザーニュース


2019/11/17 05:11 ウェザーニュース

秋たけなわ、私たちの周りには豊富な食材が色とりどりにあふれています。しかし、発酵学者として名高い小泉武夫さん(東京農業大学名誉教授)は、いまの食生活が本来の日本人とかけ離れてしまっていると警鐘を鳴らしています。
心身の健康を保つために、日本人は伝統的な和食に立ち返る必要があるというのです。
一方、世界は和食に注目しています。2013年12月、「和食:日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。
小泉先生は、「一汁一菜(いちじゅういっさい)で成立するのが和食です。みそ汁と漬物にご飯です。つまり発酵食品とコメなのです。世界的に見ても和食が良い理由は大きく3つあります」と話します。具体的に何が良いのか教えてもらいました。

(1)水に恵まれた国

一つが水です。昔から山紫水明の地といわれ、世界有数の水の良い国なのです。水を沸かしもせずに、そのままの生水(なまみず)が飲める国など世界広し、といえどもそう多くはないでしょう。
「日本の地下水がなぜ良質であるのか。それは、わが国は世界の年間平均降水量の1.8倍もあり、その豊富な雨水や雪どけ水は杉、松、櫟(くぬぎ)などの林の下に広がる豊かな土地に滲(し)み込んで、常時安定して湧水していることにあります。
水が良いから、日本の食の文化にはそれを生かした巧みさが全面に出ています。主食の米を炊くこと自体が水であり、副食の味噌汁も、そしてお茶も水。
いくらササニシキといっても、極上の味噌を使っても、とびっきりの玉露(ぎょくろ)にしても、水がダメならすべてがまずくなってしまいます。このように、水は口に入るものの基礎ですから、水が良ければうまくなるのは当然なのです。蕎麦も豆腐もまた然りです。
水を軟らかくするために汲みためた水を「枯(から)し水」、酒を薄める時使う水は「割(わ)り水」、仕込みの水を「種(たね)水(みず)」などと称する用語は、まさしく良い水を知りつくしてきた日本独特の表現の仕方でもあるのです」(小泉先生)

(2)旬という食文化

二つ目が旬です。
「日本には外国にあまり類例のみられない「旬(しゅん)」という食の文化があります。魚介、蔬菜(そさい)、果物などが最も美味で、漁獲高、収穫量とも盛りに当たる時期を旬といいます。その最もうまい時が旬となるのです。
また、旬の魚がうまいのは、産卵期前、からだにタンパク質や脂肪などの栄養成分を豊富に蓄えた場合や、産卵期でなくとも、海流の関係で親潮(寒流)にのって、脂肪のついた魚が大量に下ってくる場合などが、旬のうまさにつながっているのです」(小泉先生)

(3)7つの食材でできている

三つ目は、日本人の基本がベジタリアンであること。
「和食を構成するのは、根菜、葉っぱ、果物、山菜やキノコ、豆、海藻、穀物の7つが中心の献立になります。体にいいミネラルやビタミン、食物繊維が豊富。私たちはもともと肉や魚はそれほど摂らず、限りなく菜食なのです。
和食の基本の7つの食材に納豆などの発酵食品をプラスすれば申し分ありません。また、みそ汁を飲むと免疫があがるというデータ(広島大学)もありますから、みそ汁だけは毎日飲むといいでしょう」(小泉先生)
秋は新米にはじまり、山海の旬の食材が私たちの周囲に出回りますが、和食を中心にしたメニューを見直すきっかけの季節でもあるといえます。飽食の時代だからこそ意識して和食へ回帰してみませんか。


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