入管法強行採決に『ひるおび』田崎史郎、八代英輝らが「野党が悪い」! 安倍が目茶苦茶をしても責任転嫁“ヤトウノセイダーズ”

11月29日(木)6時52分 LITERA

『ひるおび!』で与党批判をする田崎氏

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 国の根幹にかかわる法案審議が、どうして安倍首相の都合だけで決められなくてはいけないのか──。昨日、衆院法務委員会と衆院本会議で強行採決された出入国管理法改正案が、明日から外遊に出る安倍首相の日程に合わせて、本日、さっそく参院本会議で審議入りした。


 しかも、この参院での審議入りも、与党のゴリ押しで決定したものだ。立憲民主党の蓮舫議員のTwitterによると、本日10時から参院本会議が開催される予定だったが、それは開かれず、午前中に“入管法改正案の審議を本会議でしたいから質問通告をして夕方にまとめて本会議を開きたい”という〈前例のない提案〉があったという。


 今国会の最重要法案であるはずの入管法改正案だが、衆院法務委での審議時間はたったの4日間、約17時間だ。その上、うち2日は衆院法務委の定例日以外での開催で、すべての審議が自民党・葉梨康弘委員長による強行開催だった。そもそも、法案の土台となる外国人技能実習生をめぐって、山下貴司法相と法務省による“データ捏造”まで発覚したというのに、いまだ問題の聴取票はコピーも許されず、野党に手書きで写させる“時間稼ぎ”をおこなっているような状態。それを十分な審議時間も設けることなく強行採決して参院に送るとは、国民の無視と国会の軽視にほかならない。安倍政権の暴走は極まりつつあると言っていいだろう。


 さすがに、この立法府を機能不全に追い込んでいる与党のタガが外れた状態は、擁護などできるはずがない──。そう思っていたが、まったく違った。本日放送された『ひるおび!』(TBS)では、与党の暴走には踏み込むことなく、むしろ野党批判を展開したのだ。


 まず、『ひるおび!』では、昨日、野党6党派が衆院法務委での強行採決を阻止すべく午前中に山下法相の不信任決議案を提出したことや、その不信任決議案で国民民主党の山井和則議員が趣旨弁明を約1時間45分にわたって繰り広げたことを、野党の“引き伸ばし”作戦として紹介。


 ここでコメンテーターの片山善博・前鳥取県知事は「野党の気持ちもわからなくもない」と前置きした上で、こう述べた。


「これで何が変わりましたか? 大事なことがこれで、審議は尽くされましたか? 全然関係ないわけですよね。何回もこういうことをやるんですけども、そろそろ野党のみなさんも作戦なり戦術を考え直したほうがいいと思う」
「こういうことやって見せ場をつくっても国民は共感しない」


 一体、何を言っているのだろう。不信任決議案を提出していなければ、与党は予定通り衆院法務委で数の力に任せて審議を打ち切って強行採決するだけ。「審議は尽くされたのか」と言う相手は、野党ではなく与党だ。


 そもそも、不信任決議案を出すことで、野党は本会議で山下法相による答弁の矛盾や法案の問題点を国民に訴える機会をつくり出した。とくに『ひるおび!』が俎上に載せた山井議員の趣旨弁明では、技能実習生たちの劣悪な労働環境を事細かに紹介。たとえば、月240時間もの残業を強いられ時給が実質たったの200円だったケースや、作業中に指を切断する事故に巻き込まれたのに解雇、帰国を言い渡された例、縫製工場で朝7時から夜の11時まで働かされるなか、それをビデオに記録して労基署に駆け込んだものの「仕事なのか自分の服を縫っているのかわからない」と言って無視された例など、政府が無視する技能実習生が追い込まれている実態を訴えた。


●自民党のヤジのやばさをスルーして、野党のフィリバスターを批判


 しかも、だ。山井議員がこうした事例を紹介していた際、自民党席からは「警察に行ったらいいよ」「えー?」というヤジが飛び、山井議員がそのヤジに「こういう状況が放置されているんです」「そんな現状も知らずに法案を通しているんですか」と反応する場面もあった。


 まさに自民党が技能実習生の労働環境整備にまったく関心がなく、人権を踏みにじる状態を黙認したまま法案を通そうとしているかがよくわかる内容だが、しかし、『ひるおび!』では山井議員のフィリバスターを批判するだけで、技能実習生の実情が語られた場面や、自民党からのヤジが飛んだという場面は一切放送せず。たんに約1時間45分の趣旨弁明があったことだけを伝えて、「国民は共感しない」などと断じたのだ。


 さらに、片山氏につづいて、おなじみの田崎史郎氏もこう述べた。


「(フィリバスターは)いかに自分たちが格好良く反対しているのかっていうのを見せようとしているだけなんですよ。法案の中身が問題ならば、自分たちで修正案なり附帯決議を要求して、それを入れさせると。それを踏まえて政府が検討せざるを得ない状況に追い込んでいく。そのほうがよっぽど有効ですよ」


 また、テレビキャスターの伊藤聡子氏も「これって本来は全然対立する話題ではない。日本が一丸となってこれを、労働力の不足を埋めるためにどういうふうにしたらいちばんうまくいくのか、建設的に出し合って、それを野党は『こういうふうにしたらどうでしょう』ってたしかに言って欲しかった。対案があるなら出してほしかった」と野党を批判した。


 田崎氏にしても伊藤氏にしても、まずは法案の中身を紹介してから言えよ、という話だ。今回の法案は、受け入れ数にはじまって業種やその分野、在留期間や報酬の水準、日本語習得の支援や相談といった支援計画の中身まで何も書かれていないという審議入り以前のシロモノ。修正案や附帯決議案を出す以前に組み立てからやり直しすべきものなのは一目瞭然だ。なのに、その根本的な問題も指摘することなく「対案を出せ」とは……。


 法案の問題点や審議の中身には突っ込まず、とにかくすべては「野党のせい」。そうした番組の姿勢を象徴していたのが、八代英輝弁護士のコメントだ。


 八代弁護士は「たしかにいまの出されている法案は私から見ると、建築基準法スレスレの1階建てに2階3階を積み重ねるようなもの」「法務省はデータの改ざん、データの不備が出てきたり、法案の立て付けもしっかりできない、受け入れ規模の説明もできない、職種の説明もできない、お粗末極まりなさすぎる」と、法案に問題があることを指摘した。だが、そのまとめは「(野党が)対案を示して国民が選択肢を得ることが必要だった」。わかってはいたが、やっぱり国会をとくにチェックもしないで、とにかく野党の足を引っ張ることしか考えていない、同じ穴のムジナだった。


●「野党の引き伸ばし」「野党がだらしない」の批判は現実を見ない思考停止だ


 実際は、法案審議で野党は、外国人技能実習制度の廃止あるいは抜本的見直し、受け入れ総数の上限規制、入国在留管理庁ではなく多文化共生庁の創設など、さまざまな「対案」をいくつも提案している。本来であれば、そうした意見を取り入れて法案を練り直すべきだが、与党はそれを全部無視して、具体的な中身を法案成立後に政府がフリーハンドになる政省令で決めてしまおうとしている。


 なのに、こうした状況をメディアがきちんと伝えることなく、野党の抵抗を「引き伸ばし」と呼び、「対案を出せ」と批判する。そうして、国民も「野党はだらしない」と思考停止する。──ようするに、『ひるおび!』をはじめとするテレビ報道がやっていることは、安倍政権をアシストする世論づくりではないか。


 いま、野党を批判するとすれば、自民党の大島理森衆院議長が関連する政省令が整った段階での衆院法務委での質疑を設けるという“異例”の指示を出したことを受けて、昨日、衆院本会議での高市早苗・衆院議院運営委員長の解任決議案の提出を見送ったことだ。たったの約17時間の審議で法案を参院に送る暴走に対し、徹底した抵抗もせず、法案成立後の審議と交換に引き下がるとは情けない──そうした批判を野党は受けて当然だ。


 だが、野党が引き下がったのも、「引き伸ばしでは国民は共感しない」「対案を出せ」という声を抑えるためだったのだろう。メディアが安倍政権の問題点を無視して野党に批判の矛先を向け、国民もそれに同調し、またメディアが「国民は共感しない」と叫んで、野党が萎縮する。こんな悪循環では、安倍政権は心置きなく暴走ができるというものだ。
(編集部)


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