元KARAク・ハラも 韓国の”高すぎる自殺率”の理由「日本の芸能人とはストレスのレベルが違う」

11月30日(土)11時0分 文春オンライン

 韓国人の芸能人が「またも」自殺した。今度は日本でも絶大な人気を誇るK-POPアイドルで元「KARA」のク・ハラ(享年28)。韓国は長年、自殺率でOECD諸国中(現在36カ国)、断トツのトップで世界トップ10に位置している。国家や文明の盛衰を表すとも言われる自殺率。その詳細をみると、韓国社会の闇が見えてくる。



元KARAのク・ハラ ©AFLO


 夜があれば、朝がある。そんな当たり前の日常すら保証されないことを、ク・ハラのダイイング・メッセージは伝えていた。



「おやすみ」


 11月23日夜、ベッドに横たわる写真とともにそんな言葉を書き込んだハラは次の日の晩、遺体で見つかった。ファンが「おはよう」の言葉を聞く機会も永遠に失われた。


 韓国や日本だけでなく、英BBCや米ニューヨーク・タイムズでも報道されるなど全世界で反響を生んだク・ハラの死。今年5月には元恋人とのリベンジポルノ騒動の渦中で自殺未遂を起こしていたが、日本でソロとして再デビューして日本全国をツアーするなど、新たな道を刻み始めたばかりだった。


 韓国人の芸能人をめぐっては今年10月、ハラの友人で別のアイドルグループ「f(x)」元メンバーのソルリ(享年25)が自殺したばかり。6月には女優のチョン・ミソン(享年49)、2017年12月には男性グループ「SHINee」メンバーのジョンヒョン(享年27)が自殺しており、悲報は枚挙に暇がない。



毎日36人が命を絶っている計算に


 報道される韓国の芸能人の自殺の大半は20代、30代。その多さは、数字にも表れる。韓国では30歳代の死因は自殺が第1位だ(日本も同様ではある)。


 韓国政府が18年に策定した「自殺予防の国家行動計画」によると、人口10万人あたりの死亡数を示す自殺率は、30歳代で24.6人で、第2位の癌などの2倍弱。16年には同じ30歳代だけで1857人が自殺しており、全年代では1万3092人、つまり毎日36人が命を絶っている計算になる。



 そもそも自殺率は、社会の一面を照らす数字として学界でも使われてきた。フランスの人口学者エマニュエル・トッドは、ロシアで1990年代に自殺率が急増した点に注目し、ソ連崩壊後のロシアが国家としての衰退期に入ったと指摘したこともある。


 ロシアで自殺率の急増が国家の衰退を意味したとすれば、韓国での高い自殺率は何を意味するのか。


 まずは主要な数字をみてみる。経済協力開発機構(OECD)の自殺率統計に拠れば、韓国は2007年にロシアを抜いて以降、18年に自殺大国のリトアニアが加入するまでトップを独走。現在もOECD平均の2倍程度となっている。世界183カ国を網羅したWHOの統計に拠っても、10年、15年、16年の各年で韓国の自殺率はそれぞれ、7位、9位、10位だ。


 WHOの統計のトップ10はロシアを除けばガイアナやスリナムなど国内総生産(GDP)が世界50位以下の発展途上国ばかり。先進国である韓国(およびロシア)の自殺率の高さは異様な存在感を放つ。



韓国では女性の自殺率が高い


 韓国に特徴的なのは、自殺者の内訳だ。通例、60歳代以上の高齢者は若い年代に比べて自殺率が下がる。寿命による死が近づくのだから当然といえば当然だろう。だが、韓国ではむしろ70歳代から自殺率は急増し、80歳代では10万人あたり78.1人と、全体の3倍になる。


 年金制度の整備が途上にあることも要因とされるが、問題は高齢者だけではない。他の国では男性の自殺率は女性の3.5倍となっているが、韓国では2.4倍。つまり女性の自殺率も他の国に比べて高いのだ。


 自殺率に拍車をかけているのが芸能人の自殺だ。自殺総合対策推進センターのまとめによれば、韓国で18年10月にある芸能人が自殺してから2カ月の間は、前年同一期間比で国内の自殺者数は7割増の3081人に。その前の月に別の芸能人が自殺した際にも5割近く増えている。


 08年に韓国の俳優アン・ジェファン(享年36)が練炭自殺した際には練炭自殺の数も急増しており、マスコミの報道が自殺を助長している面もある。



 高い自殺率の原因は何なのか。


 自殺の禁忌をキリスト教ほど強調しない儒教に責任を負わす議論は簡単だが、単純に事実に反する。そもそも韓国人の3割はキリスト教徒とされているし、何より1990年代半ばごろまで、韓国はむしろ自殺率が低く、日本を追い抜いたのも2002年に過ぎないからだ。



韓国政府が要因として指摘する「社会凝集性」


 要因の一つは、経済だろう。


 1998年、経済危機などで失業率が急伸した際に韓国の自殺率は前年の10万人あたり15.6人から21.7人に急増している。問題は、失業率が改善しても自殺率は高止まりの傾向にあること。2010年からようやく減少に転じたものの、予断を許さない。


 近年、ようやく自殺対策に本腰を入れた韓国政府が要因として指摘するのは、「社会凝集性」だという。聞き慣れない言葉だが、要は社会のつながりの希薄化ということだ。



 伝統的な共同体の解体は世界中の国が近代化とともに経験してきた痛みではあるが、その副作用はコミュニケーション能力の低下にも現れる。「行動計画」は国際教育到達度評価国際学会の調査で韓国の学生の社会的相互交流技能が36ヶ国中35位とされたことを特記している。


日本の芸能人とはストレスのレベルが違う


 むろん、韓国芸能界特有の事情も忘れてはならない。


 芸能関係者は「韓国では金の卵を見つけると、デビュー前にダンスや歌のレッスンはもちろん、整形手術まで厭わず鍛え上げる。さらに一部は投資を回収するためにデビュー後も売春などに従事させる。日本の芸能人とはストレスのレベルが違う」と、同情を寄せる。



 文在寅政権は17年の発足後間もなく、「歴史問題の解決」だけでなく、「自殺対策」も国政課題の一つとして発表している。迷走気味にみえる外交はさておき、せめて自殺対策だけでも手腕を発揮してもらいたいところだが…。



(末家 覚三/週刊文春デジタル)

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