これでお別れ ファントム飛行隊最後の百里基地航空祭

12月3日(火)14時6分 おたくま経済新聞


 2019年12月1日、茨城県の航空自衛隊百里基地で航空祭が開催されました。今年度で第501飛行隊が解散、来年度は第301飛行隊がF-35Aに機種転換と、航空自衛隊のF-4飛行隊にとって最後の航空祭ということもあり、多くの人が別れを惜しんでいました。

 航空自衛隊におけるF-4ファントムの歴史は、1972年に百里基地で臨時F-4EJ飛行隊(のちの第301飛行隊)が新編されたことから始まりました。そのF-4飛行隊発祥の地に残された最後の飛行隊である第301飛行隊と第501飛行隊も、F-4最後の年を迎えます。



 日本のファントム飛行隊最後の航空祭ということもあり、日本国内のみならず、世界中からF-4ファントムのファンが集まりました。筆者が出会った中では、アメリカ、フランス、ドイツ、台湾など。基地内は混雑が予想されたため、レジャーシートや脚立、三脚などの持ち込みが禁じられ、手荷物検査場で見つかった場合、使用禁止品エリアに置いていくことが求められました。



 駐機場には大型モニターが設置され、遠くからでも飛行機の様子が分かるように配慮。車椅子など、ごった返す地上展示機の周辺に行けない人でも楽しめる工夫がなされていました。









 2019年度限りで「偵察航空隊」という組織自体がなくなってしまう偵察航空隊・第501飛行隊では、各地の航空祭に「お別れツアー」で参加する際、機材繰りの都合でどの機が参加しても大丈夫なように、全ての飛行機にスペシャルマーキングを施していました。垂直尾翼には偵察航空隊初代の尾翼マークと第501飛行隊のマーク、胴体にはフィルムをモチーフとした帯に「1961-2020」の文字と、初代の使用機RF-86と現在の使用機RF-4のシルエット。









 インテークベーンにはF-4ファントムのメーカー公式マスコット、スプークが別れの挨拶をしている姿が描かれています。



 お別れパッチも趣向が凝らされたもの。使われている書体はF-4の取扱説明書にあるものを使っているとのこと。





 百里航空祭名物だった、第501飛行隊による上空からの「記念撮影」もこれが最後。展示された写真を名残惜しそうに眺める来場者の姿も見られました。



 第501飛行隊は格納庫内で、移動式の暗室であるシェルターなど偵察機材を展示。フィルム現像機には実際に撮影したネガフィルムも一緒に展示されていました。







 人々が集まっていたのは、一足先に引退(用途廃止)したRF-4EJを至近距離で見られ、触れるようにした展示品。一般の人の場合、なかなか近くに寄ってじっくり見ることもありませんから、翼の折り畳み機構や機首の機関砲口などを観察する姿も見受けられました。





 RF-4EとRF-4EJの違いを解説したパネル展示も。RF-4EとRF-4EJは成り立ちが似ている(RF-4Cの延長された機首部にカメラではなく20mm機関砲を搭載したのがF-4E、RF-4Cの装備をF-4E相当にアップグレードしたものがRF-4E)のですが、隠れた識別点では水平尾翼の前縁に固定式のスラット(隙間)があるのがRF-4EJ(F-4E)、ないものがRF-4E(F-4C/D)です。







 2020年度に青森県の三沢基地に移動し、F-35Aに機種転換する第301飛行隊もF-4ファントム最終章を示す特別パッチを作成。そして315号機はスペシャルマーキングです。





 2018年度限りで百里から三沢に移動し、F-35A飛行隊に生まれ変わった第302飛行隊の置き土産である「オジロワシ」のお別れスペシャルマーキング機も地上展示され、多くの人が撮影していました。



 第301飛行隊と入れ替わりに三沢から百里に移動する予定の第3飛行隊からは、三沢基地ラストイヤーのスペシャルマーキングが施されたF-2Aが参加。お別れのスペシャルマーキング機が勢揃いしました。





 1976年に航空自衛隊3番目のF-4EJ飛行隊として発足した小松基地(石川県)の第303飛行隊から、F-15Jが2018年に続いて参加。機動飛行を見せてくれました。





 百里救難隊の救難デモンストレーションでは、UH-60から降下した救難員の背中に百里基地のマスコットキャラ「ひゃくりん」の姿も。





 いつもなら最後のトリ(ショウストッパー)を飾るブルーインパルスも、今回はファントムに主役を譲ってお昼前のフライト。11月30日の周辺住民を対象とした特別公開では晴れていましたが、航空祭当日は雲が低く垂れ込めていたため、平面的な課目構成でのショウを見せてくれました。







 午後の飛行展示は、まさに「ファントム祭り」。まずは第301飛行隊が模擬スクランブルから、機動飛行と模擬対地攻撃展示を見せてくれました。飛行したのはスペシャルマーキングの315号機と、F-4ファントム全体での最終生産機である「シシマル」こと440号機、そして最後から2番目となる439号機です。







 飛行展示の最後を飾ったのは、今年度限りで解散となる第501飛行隊のRF-4E。青系統の洋上迷彩を施した901号機と、陸上迷彩を施した907号機が写真撮影のデモを実施しました。





 世界中でファンの多いF-4ファントム。5000機以上が生産されたベストセラーでしたが、運用を続ける国も数えるほどになり、いよいよ最後の時が近づいています。百里基地第301・第501飛行隊のF-4ファントムは、これから「お別れツアー」として築城基地航空祭(福岡県・12月8日)、那覇基地ちゅら島エアフェスタ2019(沖縄県・12月8日)、新田原基地エアフェスタ2019(宮崎県・12月15日)に参加する予定となっています。

(取材・撮影:咲村珠樹)

おたくま経済新聞

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