「シンクライアント方式だから復元はできない」は本当か? 郷原弁護士「呼んではならない人が含まれていたからではないか」

12月4日(水)12時48分 AbemaTIMES

 「桜を見る会」を巡る疑惑に対する野党の追及が続いている。総理による税金の私物化だという批判に始まった問題は、前夜祭の会費、招待者名簿の廃棄、総理枠による反社会的勢力の推薦、マルチ商法「ジャパンライフ」元会長の出席など、疑惑が疑惑を呼んでいる。

 こうした疑念の解消のために必要なのが、「招待者名簿」の検証だ。しかし、紙の資料をシュレッダーで破棄したことに続いて、電子データの消去も判明。野党は2日、今国会最後となる安倍総理との直接対決に臨み、この点について質した。

 安倍総理は吉田忠智参院議員(社民党)からの「データは本当に復元できないのか。どの手法でも復元できないとすると理由は何なのか」との問いに「内閣府が採用しているシステムは個々の端末ではなく、サーバーでデータを保存するシンクライアント方式であり、端末にデータは保存されていない。また、サーバーのデータを破棄後、バックアップデータの保管期間を経た後は、復元は不可能であるとの報告を受けている」と答弁した。

 この総理答弁に、ネット上がざわついた。「シンクライアント」はTwitterトレンド入りし、「自動的に何重にもバックアップされてます、という事だ」「データもいじった履歴も残るシステムだ」と、復元の可能性を示唆する指摘も相次いだ。

 シンクライアントをめぐる議論は、翌3日も続いた。野党の合同ヒアリングで、石垣のりこ参院議員(立憲民主党)が内閣府の担当者を厳しく追及。「削除をしていたら、バックアップデータが最大8週間でなくなっていたから復元は難しい」との回答に、「業者がアクセスできる権限がそこまでしかないということであって、データがなくなることはない。そういうごまかしはしないでほしい」と詰め寄った。
 追及は、菅官房長官の定例会見でも。記者からの「第三者の中立的な業者に、復元できるか、野党の議員立ち会いのもとでチェックさせるべきでは」との問いに、菅長官は「それはない。正式なルールに基づいて正式な委託業者の方から、それも極めて技能の高いところから(復元は不可能と)聞いたとのこと」と答え、第三者に復元を依頼する考えはないときっぱり否定している。

 「シンクライアント方式」について、情報セキュリティ大学院大学の松井俊浩教授は「サーバーと、その客=クライアントをペアにして使うのがサーバークライアント方式で、クライアントにあたるPCの機能を必要最小限、“thin”にしたのがシンクライアントだ。OSやアプリケーション、Eメールのデータなども全てサーバー側にあり、クライアント側にはデータストレージもなく、画面を表示する機能に特化しているような状態だ。たくさんのユーザーを抱え込めるよう、サーバーにたくさんのCPU、プロセッサーやメモリを入れることで、ひとりひとりがパソコンを使うよりも、ずっと少ない量のコンピューティングパワーで足りることになる。非常に効率的な方式だ」と説明する。そのため、PC盗難などによる情報漏洩の防止も可能になるのだ。

 内閣府では今年1月、公文書データ管理をこのシンクライアント方式に変更。一方、外部保存の予備データも8週間後までに上書きする運用をしていたという。

 データ復元について松井氏は「何らかの事情があったのだろう」と苦笑しつつ、「復元については、条件による。重要なのは当該データをいつ消したかということ。言っていることを信じるとすれば、何カ月も前に消したものだということなので、復元は難しくなる」と話す。

 「使用中の領域から削除したデータは未使用領域に移る。この未使用領域に残っている状態であれば復元ができる。他にも使っている人がいるため、未使用領域がどんどん使われることになり、データが上書きされてしまい、復元ができない。本当に上書きされてしまっていれば、全てを探さないと確認ができないため、最初にすぐ“あった”となるかもしれないし、全部探しても“ない”ということもありえる。ただ、本体のデータの他に、恐らくバックアップは取ってあったと思うし、それはそう簡単に消すものではないと思う」。

 番組の視聴者からは、「データの復旧ができないということなら、もしも国家にとって重要な情報を誤って消してしまったらどうするのか」という疑問も寄せられた。

 元東京地検検事の郷原信郎弁護士は「私は桜を見る会に2013年、2014年と呼ばれたが、内閣府の役人の国会答弁では、一度呼んだ人は基本的に呼ばないというルールになっているそうだ。しかし、前年呼んだ人が誰か分からなければ、今年呼んでいいのかどうかもわからないはずだ。にもかかわらず、勝手に1年未満で廃棄というルールを去年から作ってしまった」と指摘。

 「本来の桜を見る会の目的に照らせば、功績・功労があった人が呼ばれているはずだから、出席者の名簿が表に出たとしても不都合はない。しかし、やはり呼んではいけない人がたくさん含まれていたということなのではないか。少なくとも安倍首相関係の推薦枠であれば、今問題になっているジャパンライフの会長も含め、ほとんどノーチェックだったということだ。もしデータが復元されれば、そうしたことについて全く言い訳ができない事態になってしまう」。

 2年連続で招待された友人がいるという華僑マーケターの陳暁夏代氏は「ここまでの大規模なイベントのデータが1カ所にしかないということはないはずだ。警備会社などにも共有するはずだし、複数人が持っていて、どこかに存在はしていると思う。やはり中身を明かせない理由があるのだろう。そこをいい訳っぽくするから話がややこしくなり、シンクライアント方式というよう専門用語を持ち出すことに繋がる。シンクライアント方式だったかどうかは本質ではない。そこがモヤモヤさせる点だ」と批判。タレントの山田菜々も「データがあろうがなかろうが、復元できるか試してもらわないと、皆は納得しないのではないか」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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