新潟女児殺害「無期懲役判決」に女性弁護士から疑問の声 報復される可能性も

12月5日(木)10時31分 しらべぇ

森伸恵弁護士

昨年5月に起きた、新潟県で起きた当時小学2年生の女児が連れ去られ殺害された事件で、殺人や強制わいせつ致死などの罪に問われて死刑を求刑されていた小林遼被告に、新潟地裁で無期懲役の判決が下った。

この判決にはSNSなどで「無抵抗の子供を殺害して無期懲役はおかしい」「判決が甘すぎる」「無期懲役といっても出所できるのでは?」など疑問の声が多くあがっている。では、なぜこのような判決が出たのだろうか?

その理由を具体的に知るため、レイ法律事務所に所属する森伸恵弁護士に話を聞いた。


■なぜ無期懲役の判決が出たのか?

森弁護士:最高裁判所が1983年の判決で示したいわゆる『永山基準』にそって検討したからだと考えられます。


この基準では、殺害された被害者の人数や犯行の悪質さ、動機、計画性、立ち直りの可能性などを考慮したうえで、やむをえない場合に死刑の選択が許されるとしています。


本件では『被害者が1名』『計画性が無いと判断』『性的暴行を加えたことや電車にひかせた行為の悪質性については殺人罪の量刑に影響する事柄ではなく、それぞれ別の犯罪として判断したから』と考えられます。


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■無期懲役は出所できる?

森弁護士:また、無期懲役は実際には出所できるのかというご質問ですが、実際に出所できることもあります。ただ、数としては極めて少ないです。例えば2017年度は8人が仮釈放されています。


出所する場合の期間については、以前より出所できるまでの年数が長くなっています。2008年頃は出所できるまでの受刑在所期間は平均して28年10か月程度でしたが、2010年には35年3か月程度、2017年は33年2月と推移しています。


そのため、今、判決が出た人間がいつ出所してくるかは将来の運用によりますが、現行の運用に鑑みると33年弱で仮釈放される可能性はあります。ただし、受刑時の態度や模範囚だったか、態度が悪かったか等によって、この年数は前後することがあり得ます。

■残虐な行動が量刑に影響しないとは…

いくら過去の判例にそって検討したとはいえ、性的暴行や電車に轢かせるなどのむごたらしい行動が殺人罪の量刑に影響しないとは、遺族にとって納得がいくものではないだろう。

また、無期懲役とはいえ実際には33年弱で仮釈放される可能性があることも疑問。女児を残酷に殺害した人物が出所し、遺族に逆恨みをし、なんらかの報復行為に出る可能性もあるのではないだろうか?


■出所後に報復行為をされることはあるのか?

そういった事例はないか森弁護士に再度質問すると、過去に何件もそういったケースがあり、有名な事件として1997年に発生した『JT女性社員逆恨み殺人事件』について教えてくれた。

この事件では本事件の7年前(1989年)に被害者女性を強姦・負傷させ、被害届を出され服役した男が出所直後に被害女性の居場所を見つけ、女性を刺殺したもの。

これにより事件の被害者や目撃者に対し、加害者の出所事実や出所が予定される時期や、出所後の居住地が通知される制度ができた。

■納得はいかないが…

しかし、いくら通知されるとはいえその通知をもらった被害者や遺族は、過去の記憶で恐怖を感じることだろう。それに状況によっては、なんらかの防衛策を取らなければならないかもしれない。

やはり納得はいかないが、判決が出てしまったものは仕方がないのかな…とモヤモヤした気持ちでいると、森弁護士は「あくまで私見ですが…」と、自身の意見についても話してくれた。


■弁護士も疑問を感じる判決

森弁護士:被害者の方が1名であっても生命の軽視が甚だしいことに変わりはありません。また計画性がないとなぜ悪質でないと判断されるのかも説得的ではありません。


本事件の凄惨性、亡くなった女の子の痛ましさ、親御さんの苦しみを考えますと死刑判決が出るべき事件であったとも言えます。


仮に、将来、被告の無期懲役刑が確定し、さらに受刑者が出所する事態が起こり得る場合、被害女児の親御さんや地域の子供を持つ親御さんの不安や恐怖が募ると思います。


そこで「犯罪者の個人情報の公開(出所後、どこに居住しているか)」「犯罪者にGPS機能をつける」などを日本でも検討するべきとの議論が起こる可能性があります。


森弁護士のように過去の判例にとらわれず、被害者や遺族の気持ちを尊重してくれる法律の専門家が増え、判決について疑問を感じる世論が高まれば、判決だけでなく法律についても変化が起きるかもしれない。そうなってくれることを心から願うばかりだ。


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(文/しらべぇ編集部・熊田熊男 取材協力/レイ法律事務所・森伸恵弁護士)



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