日米協定承認 車関税撤廃の課題は残った

12月5日(木)5時0分 読売新聞

 日米貿易協定が国会で承認された。来月1日に発効する見通しだ。経済成長の底上げにつなげることが大切である。

 牛肉や豚肉をはじめ米国産農産物への日本の関税は、環太平洋経済連携協定(TPP)の範囲内で引き下げられる。割安な輸入品の品ぞろえが豊富になり、消費者には恩恵があろう。

 農家や畜産業者への影響は大きいが、「守り」に入らず、輸出強化に取り組んでもらいたい。海外で日本食の需要は増している。品質や生産性を向上させて競争力を高める。民間の努力を後押しする対策を、政府は検討すべきだ。

 日本の幅広い工業品に対する米国の関税も撤廃・削減される。日本の製造業には追い風になる。

 米国は、輸入する自動車や車部品に関税をかけている。乗用車で2・5%だ。この関税の扱いは継続協議になっている。

 野党は国会審議で、撤廃が確約されていないと批判した。政府側は「関税の撤廃について、更なる協議を行うことが協定に明記されている」と理解を求めた。

 政府は、協定の発効によって実質国内総生産(GDP)が4兆円程度(約0・8%)増える、との試算を公表した。試算は車関税の撤廃が前提となっている。米国側に車関税の撤廃を、粘り強く働きかけていく必要がある。

 TPPのような多国間の自由貿易の枠組みを広げていくことが、日本が目指す方向性である。

 2国間協議に持ち込み、自国の主張を押し通す。保護主義に傾く米国の姿勢は容認できない。

 だが、協議に応じなければ、米国は自国の安全保障を脅かすとして、輸入日本車に制裁関税などを発動する可能性があった。

 政府は、協定が履行されている間は制裁関税を発動しないと首脳間で確認した、としている。約束を米国に守らせねばならない。

 日米デジタル貿易協定も国会で承認された。国境を越えたネット上での電子商取引に関税をかけないことを盛り込んでいる。

 注目されるのは、人工知能(AI)のアルゴリズム(計算手順)といった秘密情報について、政府が企業に開示するよう求めることを原則として禁じた点だ。

 中国は、個人情報や企業が抱える重要データを、国家が収集できる仕組みを設けている。そうした動きが他国に広がりつつあることをけん制する狙いがあろう。

 今回の協定を、経済のデジタル化に対応した国際ルール作りに生かすことが欠かせない。

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