車いすタクシー 乗車拒否生まぬ対策進めたい

12月5日(木)5時0分 読売新聞

 車いすのまま乗車できるユニバーサルデザイン(UD)タクシーを見かけることが増えた。普及を進めるとともに、車いす利用者が気兼ねなく使えるようにしたい。

 UDタクシーは車内が広く、車いすのまま乗降できるスロープや手すりを備えている。低床で高齢者や妊婦、体格の大きい外国人らも使いやすい。介護タクシーと違って誰でも利用でき、運賃も一般のタクシーと同じだ。

 来年の東京五輪・パラリンピックを前に、政府が普及を急ぐ。車両購入費を最大60万円補助するほか、上乗せで補助する自治体も少なくない。5年前は約600台だったが、今年3月末には約1万1800台にまで急増している。

 普及が進む大都市圏に比べ、地方では数台しか走っていない県もある。公共交通機関が乏しい地域では、UDタクシーが高齢者の貴重な移動手段になる。自治体は導入を後押ししてほしい。

 気がかりなのは、UDタクシーを必要としている人が使えない事例が散見されることだ。

 障害者団体の10月の調査では、延べ120人の車いす利用者の3割弱がUDタクシーの乗車を拒否された。空車なのに手を上げても止まらない、配車を依頼すると「乗降に時間がかかる」と断られる、といったケースがあった。

 業界団体でも、こうした問題を把握しているという。乗車拒否の背景には、車いすでの乗降時に使うスロープの設置などの作業が複雑で、運転手が敬遠しがちなことがあるとみられる。

 事業者が運転手に対し、実際の車両を使って繰り返し研修を行うことが欠かせない。自動車メーカーが地域のタクシー協会と協力し、運転手を集めて使い方を教える研修も有効だろう。

 メーカーには、手順を簡略化できる車種の開発も望まれる。

 UDタクシーの役割や意義について、事業者や運転手が理解を深めることが大切だ。社会のバリアフリー化を進める観点から、車両購入費に公費が投入されていることも忘れないでもらいたい。

 国土交通省は11月、業界団体に対し、正当な理由なく車いす利用者の乗車を断った場合は「厳正に対処する」という通達を出した。業界全体での改善が急がれる。

 UDタクシーを利用しやすい環境整備も課題となる。

 使う人が多い駅や病院に専用乗り場を設置したり、UDタクシーを共同配車する仕組みを作ったりすることが求められる。

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