「調布駅」は、特撮ファンにとってガチの「聖地」だった。『ゲゲゲ』と商業施設にあふれた住みよい街

2024年12月7日(土)21時25分 All About

駅前空間の再開発が進んでいる街・調布。駅周辺はさまざまな大型商業施設が林立していますが、買い物スポット以外には何があるのか? それ以外の見どころは? 駅を降りて確かめてみました。

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京王線の駅・調布は東京都内の中西部において、府中駅周辺と並んで発展している街の1つ。近年では駅の地下化と連動して大規模な再整備と街づくりが進み、3館構成の駅ビルのほか、多くの買い物スポットが並んでいます。
また、調布駅周辺は「ガメラ」をはじめとした怪獣映画や、人気アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』とも関わりの深い街。商店街などのあちこちに怪獣や妖怪との関わりが見えるので、探してみてはいかがでしょうか。

調布駅の基本情報:家賃相場はいくら?

調布駅は新宿〜京王八王子間を走る京王線が乗り入れるほか、都内西部の京王多摩センター駅を経由して神奈川県相模原市の橋本駅まで通じる京王相模原線の始発駅。京王よみうりランドにも電車一本で行けるのはファミリー層にとってはけっこうな強みですね。
家賃相場は駅徒歩10分以内、築年数10年以内でワンルームが約7.7万円、1LDKで約12.0万円、2LDKは約13.7万円(SUUMO、2024年11月20日確認)。新宿および近辺駅と比べて2万円以上も安く、京王線による都心アクセスの良さを鑑みればかなり好条件と言えそうです。

『ガメラ』と『ゲゲゲ』に関わりの深い街

調布駅は1913年に開業した長い歴史のある駅。1933年には駅から徒歩十数分の場所に「日本映画多摩川撮影所(現在の角川大映スタジオ)」が開所し、1959年には『ゲゲゲの鬼太郎』などで知られる漫画家・水木しげるが移り住んで晩年まで過ごすなど、映画や漫画といった近現代カルチャーに関わりが深い街となっています。
2012年には駅施設の地下化に伴って列車接近メロディがいきものがかりの名曲『ありがとう』に変更され、2017年には駅ビル「トリエ京王調布」のオープンとともに、駅構内には「映画のまち調布」をアピールするためガメラを模した壁画がデザインされました。

再開発で誕生した「3つ子」の駅ビル

地下にある調布駅の真上に立つ「トリエ京王調布」はA・B・Cの3館に分かれており、全て駅直結。一番東側にあるA館には一部が屋外テラスになっている「スターバックスコーヒー」、「成城石井」「くまざわ書店」ほか、数多くの飲食店やショップが入居しています。
その隣のB館は1〜4階全てのフロアに「ビックカメラ京王調布店」の店舗で占められています。この近辺で大型の家電量販店はここのビックカメラが唯一。調布駅周辺だけでなく、その近隣駅の住民にとっても大助かりですね。
一番西側にあたるC館は2〜4階に、「映画のまち調布」らしく11スクリーンを有する映画館「イオンシネマ シアタス調布」が入居。1階には飲食店やショップがいくつか入っており、中でも「猿田彦珈琲 調布焙煎ホール」はダークトーンで落ち着いた店内がスタイリッシュでおすすめのスポットです。またC館の隣にある遊歩道「てつみち」は、京王線が地下化される前の旧線路跡を再整備したスポット。細長い敷地に芝生やベンチ、テーブルなどが配置されており、C館で映画を見る前後にここで一休みしたくなりそうです。

駅周辺は買い物スポットだらけ!

2012年の駅地下化を皮切りとして、調布駅近辺では街並みの整備と再開発が進行中! 上記の「トリエ京王調布」はその一部に過ぎず、駅周辺にはさまざまな商業施設や複合施設が林立しています。南口のロータリーに面した所では「オオゼキ調布店」が営業中。野菜や果物などが種類豊富で価格も安く、近くにあるとうれしいスーパーです。特に調布店の店頭はりんごやメロンなど、フルーツ類が目立っている印象。
その近くの「セントラルレジデンス調布」には、低層階に「大阪王将」や「サイゼリヤ」「ドトールコーヒー」などが入居しています。南側に少し進んだ所の「調布ロイヤルプラザ」は飲食店のほかに「サンドラッグ」「ダイソー」「TSUTAYA」「ときわスポーツ」など、生活や趣味に役立つお店が多いです。
その先にある「調布とうきゅう」も食品の買い出しはもちろんのこと、「しまむら」もあって普段使いに活躍してくれます。通りを挟んだ反対側には駐車場もあるので、車を使って少し多めに買い出ししたい時でも利用しやすそう。
一方、駅北側のロータリーに面しているのは、「ユニクロ」や「ゴンチャ」も入っている「調布PARCO」。都内西部では吉祥寺店やひばりが丘店に並ぶ数少ないPARCOです。PARCOと通りをはさんで反対側にある「西友調布店」は24時間営業で、深夜・早朝で買い物したい時にも便利。「ドン・キホーテ」と「セリア」も併設されているので、ここだけでも買い物の大半が完結できそうです。このとおり、調布駅周辺は大規模なショッピングスポットに囲まれており、買い物で困ることはまずありません。

調布駅の北側は、趣のあるレトロ飲み屋街も

こうした大型商業施設が目立つと「地元の商店街はどうなってるのかな?」ともなんとなく気になるところ。調布駅の北側では3カ所の商店街が、今もはりきって営業中です。調布駅の北側は道幅が若干狭く、昔ながらの個人商店が多め。雑多で生活感ある路地を京王バスが通過していきます。
東側にある「調布百店街」はいかにも昭和レトロといった雰囲気の飲み屋街。なかなかにディープな雰囲気を漂わせており、夜にもなれば多くののんべえを引き寄せます。駅西側のトリエC館近くにある「調布銀座 ゆうゆうロード」は、雑居ビルの合間に多くの青果店や中華料理屋、飲食店や居酒屋などがあり、こちらも夜に行きたくなるスポット。

『ゲゲゲの鬼太郎』のオブジェも!

一方、昼間に行くなら駅からほぼ真北の「天神通り商店街」が良さそうです。この商店街は調布駅から駅北側の「布多天(ふだてん)神社」までをつなぐ参道の一部で、小ぎれいに整えられた短い通り道になっています。ここは平日昼でも他商店街より人通りも多く、商店街に入ると『ゲゲゲの鬼太郎』に出てくるコミカルな妖怪たちのオブジェがお出迎え! どこに何の妖怪が隠れているか探してみたくなりますね。
また、商店街の中には「鬼太郎」関連のショップ・カフェ・ギャラリーを備えたファン必見のスポット「鬼太郎茶屋」も2024年11月20日にオープンしました! 現在は映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」のヒットなどもあって鬼太郎ファンが増加中。こちらの商店街にも新しい人の流れが増えそうです。

調布巡りで水木しげる&「鬼太郎」ワールドに触れる

天神通り商店街の先にある「布多天(ふだてん)神社」は調布町の総鎮守であり、境内は緑に包まれ、静かで落ち着いた雰囲気。調布を代表するパワースポットとしても有名です。境内には2021年に倒壊してしまった旧御神木(樹齢500年!)の切り株と、新しい御神木の育成や境内緑化に関する案内看板もありました。神社内あちこちで樹木への深い敬意と愛情が見られるのも、布多天神社の特徴です。
また、敷地内にある雑木林(鎮守の森)は、「ゲゲゲ」作中で鬼太郎たちが暮らしているゲゲゲの森のモデルだそうです。水木しげる先生も、布多天神社の森が物静かに、時にはざわざわとうごめく様子から、「森の中に妖怪たちがいて、朝は寝床でぐーぐーと寝ていて、夜は墓場に集まって運動会を……」と想像力を働かせていたのかもしれませんね。
駅の南側、調布市役所の隣にある「調布市文化会館 たづくり」の図書館には、水木しげる先生作の漫画も数多く収蔵されています。鬼太郎シリーズや『悪魔くん』などのほか、水木先生の苛烈な戦争体験に基づく『コミック昭和史』『総員玉砕せよ!』などの著作も読めるので、水木しげるファンならここも訪れる価値あり!
施設の1階にはカフェや展示ギャラリーのほか、水木しげる先生の著作や人生に関する「ゲゲゲギャラリー」も設置されています。また、「トリエ京王調布」C館横の「てつみち」から先、京王線沿いに西方向へしばらく歩いたところの「鬼太郎ひろば」にも、「やまびこ」「ぬらりひょん」など妖怪が多く潜伏しています。鬼太郎ハウスの滑り台、ぬりかべ型のミニボルダリング、一反もめん型の長〜い遊具なども。ここの公園は妖怪づくしです。
京王線が地下から地上へ出るところを間近に見られる展望ベンチもあり、妖怪だけでなく電車も見物可能。電車という日常の象徴と、妖怪という非日常の象徴がけんかすることなく共存しています。こういう広場も地味ながら「調布らしさ」がよく表れたスポットと呼べそうですね。

特撮ファンにとっても、調布は「聖地」

また、調布の街中や建物には「鬼太郎」だけでなく、「映画」「怪獣」に関するアイコンや展示もあちこちで見かけられます。まず目が行くのは調布駅改札内の通路壁面。先述の角川大映スタジオで過去に撮影した特撮映画に登場する「ガメラ」「大魔神」などのシルエットが並べられています。
「ガメラ」と言えば一時期は東宝の「ゴジラ」と双璧をなすほどの人気だった大怪獣! 特に1995年〜1999年の「平成ガメラ三部作」は現在でも語り草になるほどの傑作群であり、その圧倒的な映像美やリアルな臨場感が膨大なファンやフォロアーを生み出しました。怪獣ファンや特撮ファンにとっても、調布はいわゆる「聖地」なのです。
その「平成ガメラ」1作目のデザインに準拠したガメラの銅像が2024年4月、調布市役所の裏手にある「市立タコ公園」に設置されています。ガメラファンはこちらも探してみてはいかがでしょうか。「タコ」公園という名称は園内の大きなタコ型遊具に由来しています。この遊具もまた怪獣のような存在感がたっぷり。これが巨大化して街を壊しながらガメラと一線交え……なんて様子も目に浮かびそうですね!
なお、タコ公園には「映画のまち調布」の応援キャラクターという怪獣「ガチョラ」のアートやモニュメントもあちこちに置かれていました。名前はガメラの「ガ」、調布の「チョ」、ラジオの「ラ」とのこと。また、公園内には映画作りに関する大きな展示看板も設けられています。読みやすい漫画形式で、ガチョラ君とともに大人でも子どもでも映画作りの流れをイメージできるようになっています。
しかも、実はあの2023年公開「ゴジラ-1.0」のVFXを手掛けた「スタジオ白組」も調布市内の企業! 第96回アカデミー賞での視覚効果賞を受賞した傑作が調布で作られたことも驚きですが、ゴジラ&ガメラという日本を代表する二大怪獣に調布が深く関わっているのもビックリですね。

調布はゲゲゲの元気で住みよい街

調布駅周辺は再開発によって商業施設が充実しており、家賃相場も比較的リーズナブルと、住環境が極めて良好! 加えて、「ガメラ」などの映画文化や「鬼太郎」などの漫画文化とも関連が深く、数多くの注目点があるカルチャータウンとも言えるでしょう。調布に腰を据えれば、ゲゲゲの森の妖怪たちのようにマイペースなライフスタイルも実現できるかも?
この記事の筆者:デヤブロウ プロフィール
都内在住の街歩きライター。Yahooエキスパートとして台東区の地域情報を発信するほか、「macaroni」など複数メディアで執筆を行う。飲食店、博物館、銭湯巡り、寺社探訪を中心に地域情報を発信中。東京シティガイド検定を取得済み。
(文:デヤブロウ)

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