2024年 気象重大ニュース 今年も猛暑や大雨などの影響相次ぐ

2024年12月30日(月)10時30分 ウェザーニュース

2024/12/30 10:04 ウェザーニュース

2024年も様々な気象的な出来事がありました。ここ数年と同じように猛暑や大雨、台風などが印象に残る一年となっています。
今年の特徴的な気象現象の中からいくつかをピックアップして振り返っていきます。

2年連続で最も気温の高い1年に

2024年は昨年に続いて気温の高い1年になりました。都市化の影響が比較的小さい全国15か所の代表地点(※)の観測値による日本の平均気温は、11月まで毎月のように基準値(1991〜2020年の30年の平均値)を大きく上回り、4、7、10月が史上1位、2、6、8、9月が史上2位の高温です。
12月29日時点の偏差は+1.47℃で、これまでの最高記録だった昨年の+1.29℃よりも大幅に高くなっています。地球温暖化が進んでいることや、昨年から継続している海面水温の高い状況が大きな要因として考えられます。
▼年平均気温の偏差ランキング
 2024年 +1.47℃(12月29日までの速報値)
 2023年 +1.29℃
 2020年 +0.65℃
 2019年 +0.62℃
 2021年 +0.61℃
※算出に使用している地点
網走、根室、寿都、山形、石巻、伏木、飯田、銚子、境、浜田、彦根、宮崎、多度津、名瀬、石垣島

夏から秋にかけて暑さの記録が続出

特に気温が高かった夏から秋にかけては様々な暑さの記録が生まれました。
今年の長く厳しい暑さを象徴したのが、福岡県太宰府市の猛暑日の連続記録です。
7月19日に35.1℃を観測して以降、8月27日まで40日間にわたって最高気温が35℃以上の猛暑日が続きました。これまでの記録が24日間でしたので、2週間以上も更新したことになります。年間の猛暑日日数も62日とこちらも歴代最多です。
秋になっても暑さは衰えず、9月20日には静岡市で39.2℃を記録。これは9月中旬以降としては統計開始以来の歴代最高気温です。
全国に900あまりあるアメダスで観測された猛暑日の述べ地点数は過去最多となる10,273に達しました。
10月も太平洋高気圧の勢力が強く各地で30℃を超える日があり、東京都心や名古屋市など、各地で最も遅い真夏日の記録を更新しています。

地震被災地を襲った記録的大雨

元日に地震によって大きな被害に見舞われた石川県・能登は9月に大雨に襲われ多くの河川が氾濫しました。
9月21日は日本海に伸びる秋雨前線に向かって台風14号や熱帯低気圧周辺の非常に湿った空気が流入。その一方で前線の北側からは寒気が流れ込み、大気の状態が非常に不安定になりました。
発達した雨雲が能登半島にかかって輪島市では1時間最大121.0mm、3時間では222.0mmの観測史上1位の雨量を記録。3時間雨量は輪島市の9月1か月の平年雨量を上回るほどで、気象台は大雨特別警報を発表しました。
輪島市や珠洲市を中心に多くの河川が氾濫し、住宅が根こそぎ流されるなどの大きな被害をもたらしました。能登半島地震の仮設住宅でも浸水被害に見舞われ、消防庁のまとめによるとこの大雨で16人の方が亡くなっています。

台風発生は平年並みで上陸は2個

2024年の台風は12月26日の時点で26個発生しました。昨年に比べると9個多く、ほぼ平年並みの発生数です。そのうち5号と10号の2個が上陸しました。
台風5号は本州の南東海上を北上し、岩手県大船渡市付近に上陸しています。東北の太平洋側に上陸するケースは2016年10号(岩手県大船渡市)、2021年8号(宮城県石巻市)に次ぐ3例目です。
台風の上陸に伴い岩手県の三陸沿岸は記録的な大雨になり、久慈市・下戸鎖(しもとくさり)では48時間で481.5mmを観測しました。観測史上1位の記録で、ウェザーニュースの気候テックチームが解析したところ、約500年に一度にしか起きない稀な現象であることがわかりました。

台風10号の接近に伴い特別警報

台風10号は日本の南の海上をしばらく北上した後、進路を西寄りに変えて九州に近づきました。大きな特徴としては、複雑な進路を辿ったことと、日本のかなり近い所で勢力のピークを迎えたことがあります。
中心気圧935hPa、最大風速50m/sのピーク勢力に達したのは北緯29度近くまで北上した所で、その後、北緯30度を超えるまで勢力を保ちました。台風が進んだ奄美諸島近海の海面水温が平年より1〜2℃ほど高い30℃以上だったことに加え、少し深い所の水温も高く、エネルギーの総量を表す海洋貯熱量が大きかったことが主な要因と考えられます。
日本列島の近くまで非常に強い勢力を保ったことから、気象庁は鹿児島県を対象として特別警報を発表しました。
上陸直前でやや勢力を弱めたため、当初懸念されたほどの荒天にはならなかったものの、台風の動きが遅かった分だけ雨量が増加し、静岡県伊豆市・天城山や宮崎県えびの市・えびの高原では900mmを超える大雨になりました。また、最大瞬間風速は鹿児島県枕崎市で51.5m/sを観測しています。
消防庁のまとめによると、台風の影響で亡くなった方が8人、住宅被害は5000棟近くに達しました。

7月からゲリラ雷雨頻発 関東は雷回数大幅増

猛暑となったこの夏はゲリラ雷雨の発生回数こそ昨年より減少したものの、激しい雷雨が目立ったのが特徴的です。特に関東で雷が多く、東京都や埼玉県では昨年に比べて4倍前後に達しました。
特に7月のゲリラ雷雨が目立ち、7月15日は京都の祇園祭を直撃、20日は東京都足立区の「足立の花火」が開催直前で中止されるなど、夏のイベントにも大きく影響しています。
8月は下旬にゲリラ雷雨が多発し、21日は東京都港区で記録的短時間大雨情報が発表され、地下鉄の市ヶ谷駅が浸水するなどの被害が発生。24日には栃木県宇都宮市で観測史上2位となる1時間98.5mmの猛烈な雨を観測しました。

太陽フレアで日本に低緯度オーロラ出現

5月8日から巨大な爆発「太陽フレア」が複数回にわたり発生しました。CME(コロナ質量放出)という現象を伴っていて、プラズマ状態の粒子が強い太陽風として吹いてきたため、11日は地球で巨大な磁気嵐が観測されています。
この磁気嵐の影響で北半球の緯度の低い所でもオーロラが出現、日本でも北海道を中心に広い範囲でカメラに捉えられました。
オーロラは一般的に、緯度が60度程度よりも北の地域で観測しやすい現象です。強い磁気嵐が発生したときにはより緯度の低い地域からもオーロラが観測できることがあり、これを低緯度オーロラと呼びます。
国内で見られたオーロラは、北の低空が薄く赤〜ピンクに染まるというタイプでした。カメラを用いた高感度撮影では東北や北陸からも観測に成功したという報告が届いています。
北海道では肉眼でもうっすらとピンクのオーロラが見えたという報告も届いています。
また、8月や10月も太陽フレアに伴って、低緯度オーロラが観測されました。

写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)

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