今年の不動産市場は不安だらけ それでも買いたい人への助言

1月1日(火)7時0分 NEWSポストセブン

割高なマンション価格に加えて政情不安も襲いかかる

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 2012年の民主党から自民党への政権交代以降、「都心」「駅近・駅前・駅直結」「大規模」「タワー」といったキーワードに象徴される新築マンションは価格上昇を続け、中古マンション市場は3年連続で新築マンション発売戸数を上回る見込みなど、好調を続けてきた不動産市場。はたして2019年はどうなるのか──。不動産コンサルタントの長嶋修氏が予測する。


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 筆者は毎年、不動産市場の予測を続けていますが、2019年の予測ほど難しいものはありません。というのも「不確定要素」「不安要素」が多すぎるためです。国内・海外とも、政治・経済的に大きな変調がみられます。


 まずは国内から。10月に予定されている「消費増税」。かつてのような駆け込みやその後の落ち込みがないよう、住宅に関しては「住宅ローン減税期間を10年から13年へ延長」「すまい給付金や住宅エコポイントの給付」などが検討されており、想定通りなら増税前後で大きな変化は起きなさそうですが、気になることがあります。


 それは「消費の冷え込み」です。京都大学大学院の増田聡教授らが行った消費者心理実験によると、8%から10%への増税は「税額を計算しやすい」という理由ゆえに、他の時の1.4倍、女性に限れば2.9倍もの買い控え効果があることが判明したというのです。


 こうした実験は、被験者への問い方の問題などもあり、必ずしもこの通りになるとは限りませんが、もしこのようなレベルで消費が控えられた場合、景気や株価が落ち込みといったルートを通じて不動産市場に下落圧力が働く可能性もあります。


 次に「国際的な金融情勢の変化」。FRB(米連邦準備理事会)は継続的な利上げを表明、ECB(欧州中央銀行)もFRBに続き金融緩和の終了を表明しており、やがて利上げの是非やその程度やタイミングに焦点が移るでしょう。


 原則として国際的な協調が求められる金融政策において、日銀はいつまで現行の「大規模金融緩和」や「低金利政策」を継続していられるのか。仮に消費増税と日銀の政策変更が重なれば、消費や投資の落ち込みは避けられず、不動産市場に限らず景気そのものが大きく落ち込む可能性があります。


 もとより不動産市場は株価との連動性が高く、東京都心5区(中央・千代田・港・新宿・渋谷区)などの中古マンション成約単価は、見事なまでに日経平均株価に連動してきました。それに倣えば、現行の株価水準だと都心部の中古マンション価格は、だいたい15パーセント程度高いということになります。


 両者の連関は3か月程度のタイムラグを伴っており、株価水準がこのままなら来春には都心中古マンション価格は相当程度下落しているはずです。ちなみに新築マンション価格は、デベロッパーが価格をコントロールしておりその限りではありません。



 さらには「国際的な政情不安」が挙げられます。朝鮮半島は和解で一息つき、米軍のシリア撤退は地政学リスクを交代させましたが、そうなると中東諸国がどう出てくるのか不透明です。


 またEUでは英国が「ブリグジット」、フランスでは「黄色いベスト運動」「米中の貿易戦争」など不確定・不安定要素には事欠きません。政治的不安定さは経済のさらなるリスクを増長させ、リーマンショック以降継続してきた世界的な金融緩和が終わる中で、日本はどのように振る舞うのかに注目が集まります。


 歴史を振り返ればこのところ10年程度を周期として大規模な経済ショックがやってきていますが、2019年はすでに「リーマンショックから11年目」にあたります。周期的なことを考慮しても、そろそろ何やら変動が起きても全くおかしくはないタイミングです。


 さらに2019年には「元号」が変わります。大正から昭和の後は「金融恐慌」から「戦争」へ。昭和から平成の後は「バブル崩壊」が起こり、日本は「失われたウン十年」を過ごしました。


 こうした懸念がどれ一つ該当せず株価も回復すれば、不動産市場は2018年に比して、総じてやや減速するといった程度でしょう。「新築マンションは発売戸数をやや減らしながらも価格は高止まり」「中古マンションは取引戸数・価格ともやや上昇」「新築戸建てはマンションとの相対的割安感からやや好調」「中古一戸建ては、インスペクションの説明義務化などの方策が奏功せず停滞」「リート・ファンドは高止まり継続」といった具合です。


 では、これから不動産を買おうとしている方はどうすればよいか。マクロ的にはいつか金利上げは必至で、そうなれば不動産価格は下落します。しかしその内訳は多様です。


 都心や駅近など利便性の高いものは「DINKS(共働き)の増加」「自動車保有率減少」などで強く、利便性が下がるにつれどんどん弱くなり、バス便ともなると、一部例外を除いて取引すら成立しないものも出てくるかもしれません。


 2019年7月には空き家調査(住宅・土地統計調査/総務省)が公表され、その際には「全国の空き家1000万戸超!」「空き家率17パーセントで6軒に1軒が空き家!」といった報道が世の中をにぎわすでしょう。



 不動産の価値は、1にも2にも3にもまずは「立地」です。通勤や買い物、子育てのしやすさなど、生活利便性を求める流れは今後、加速することはあっても変化は起こりにくいでしょう。まずは立地にとことんこだわってください。


 ここでいう立地とは、何も駅からの距離だけではありません。ここ数年、地震や土砂崩れ、浸水といった災害が続いています。こうした可能性がない、あるいは極力低い立地であることも重要でしょう。そのうえで「建物の耐震性」。災害に強い住宅は今後、国が「築年数によらない建物評価」を進めていくであろう中で一定の資産性を保てる可能性が高くなります。


 住宅ローンを組む方は原則「固定金利」としましょう。変動金利では金利上昇に従うしかなくインフレに対応できません。変動金利は固定金利に比べて低利で魅力的ですが、利用してもいいのは、いざ金利上昇が始まったらまとまったお金を投じて「繰り上げ返済」できる人に限られるでしょう。金利動向を読み切るのは非常に難しく、そもそも金利決定の仕組み上、変動金利が上昇した時には、固定金利がすでに上がっている可能性が高いのです。


 こうしたことを踏まえ、その地域や建物を気に入り、支払いに無理がないのであればぜひ購入されればいいのではないかと思います。

NEWSポストセブン

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