「10個のリンゴを3人で公平に分けるには?」有名な思考クイズをひろゆきが解いたら…答えが斬新すぎた
2023年1月4日(水)10時15分 プレジデント社
※本稿は、西村博之『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)の一部に加筆したものです。
■有名な例題「エレベーターが遅い問題」
目の前で問題が起きたとき、あなたならまず何をするでしょうか?
問題を解決するときに最初にすべきなのは、どこが問題点なのかを見極めることです。この問題点の見極めが案外難しくて、問題の本質を見誤ったために間違った解決策を実行してしまったという例は世の中にたくさんあります。
「問題点を見極める」のが大事なことがよくわかる、有名なエピソードがあります。
ある古いオフィスビルで、テナントに入っている企業やビルの利用者から「エレベーターが遅い!」というクレームが増えて問題になっていました。エレベーターは2台あるのですが、どちらも制御システムが古くて、昇降スピードも遅いので、待ち時間が長いというクレームです。
さて、あなたがオーナーなら、この問題をどうやって解決するでしょうか?
まず思いつくのは、
・高層階用と低層階用に分ける
・最新の制御システムに取り換える
・エレベーターの台数を増やす
といった解決策でしょう。
このビルのオーナーも、専門家に調べてもらったところ、こうした解決策を提案されました。でも、いずれも費用がかかりすぎて、このビルの賃料収入ではムリでした。
その間もクレームはなくならず、困りはてたオーナーは部下にアイデアを出させます。
そして、そのアイデアを採用したところ、最小限の費用でクレームは1件もなくなりました。
いったいどんな方法をとったのでしょうか?
撮影=松永学
2022年1月、パリにて撮影。 - 撮影=松永学
■「エレベーターが遅い」は問題の本質じゃない
その解決策は、「各階のエレベーターの前に大きな鏡をつける」でした。
エレベーターの前に鏡を設置してみると、待っている人は身だしなみや髪を整えたり、お化粧のチェックをしたりして、待ち時間が気にならなくなったそうです。その結果、クレームもなくなりました。
このエピソードのポイントは、オーナーにとって「問題の本質は何か」なんです。
問題の本質は「エレベーターが遅い」ことではありません。「クレームをなくす」ことだったのです。だから、クレームさえなくなれば問題は解決するので、別にエレベーターが遅いままでもかまわないわけです。
実際、エレベーターの待ち時間はまったく同じなのに、鏡を設置したら誰も困らなくなったわけですからね。
もし、「エレベーターが遅い」ことが問題の本質だと思い込んでいたら、エレベーターを速くするために最新の制御システムに取り換えたり台数を増やしたりして、お金も時間もかかります。でも、そのわりに数十秒速くなっただけなら、体感的にはあまり待ち時間が変わらず、もしかしたらクレームは続いていたかもしれません。
その意味でも、問題点を見極めて、最小限のコストで利用者の不満を解消したこのエピソードは、見事ですよね。
それだけ問題点を見極めることが重要だ、という話です。
■よくある模範解答では不満が残る?
もう一つ、今度は思考クイズを出したいと思います。
ここにリンゴが10個あります。これを3人で公平に分けたいのですが、あなたならどう分けますか?
このクイズは、水平思考クイズとしてよく取り上げられる問題です。
水平思考というのは、筋道を立てて論理的に結論を出すロジカル・シンキングに対して、ラテラル・シンキングとも呼ばれます。既成概念や論理の制約となる前提にとらわれることなく、物事を多面的に考察し、水平方向に発想を広げる思考法です。
このクイズの場合、ロジカル・シンキングとラテラル・シンキングでは考え方が違うので、答えも異なります。
ロジカル・シンキングなら「3個ずつ分けて、残った1個を3等分する」「重さを量って3等分する」が答えになります。一方、ラテラル・シンキングだと「10個をミキサーにかけて、ジュースにして3等分する」という答えをよく見かけます。
「ジュースにする」方法は、一見「なるほど」と思うのですが、僕はこの答えはあまりスッキリしません。
そもそもジュースではなく、リンゴを食べたかった人がいたら不満が残ると思うんです。
「3個ずつ分けて、残った1個を3等分する」も平等そうに見えるのですが、1個を3等分するときに、ぴったり同じ大きさには切れないと思うので、これも不平が出るかもしれません。
■不公平がどうでもよくなる解決法とは
そこで僕が考えた解決法はこれです。
「まず10個のリンゴを3個ずつに分けて、残った1個をAさんが3等分して、BさんとCさんがジャンケンをする。勝ったほうから3等分のうち1つをとって、残りをAさんがとる」
「残った1個を3等分」するのはロジカル・シンキングの答えと同じなのですが、切った人以外でじゃんけんをして、勝った人から3等分のなかで好きなものを選ぶようにすれば不満も出ません。切った人は1番小さいリンゴになるのですが、それに関しては「うまく3等分できなかった人の責任」だから文句も言えないよね、という考え方です。
この方法で納得できない人のために、もう一つ分け方を考えてみました。
「3個ずつ分けて、残った1個を100個ぐらいに細かく切ります。そのあと3人でジャンケンをして、勝った人から1破片ずつ順番に拾っていく」という方法です。
これなら切る人の責任も小さくなりますし、だんだん拾っていくうちに、大小の差はどうでもよくなる。なので、不平は気にならなくなると思います。
■考え方のパターンは多いほうがいい
西村博之『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)
社会問題などの解決策を考える際は「みんなが満足する答え」がない場合が多いので、僕は最初から考えないことが多いです。ただ、この問題には「公平に分ける」という条件があるので、僕なりに公平な解決法を考えてみました。
解決策を考える際には、ロジカル・シンキングで考えることもありますし、ラテラル・シンキングを使うときもあれば、それ以外の方法を選ぶ場合もあります。要は、解決できるならどんな方法を使ってもいいと思うんですよ。
だから、さまざまな考え方のパターンを知っておいたほうが損をすることは減らせると思います。
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ひろゆき(ひろゆき)
2ちゃんねる創設者
東京都北区赤羽出身。1999年、インターネットの匿名掲示板「2 ちゃんねる」を開設。2015年に英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。YouTubeチャンネルの登録者数は155万人。著書に『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)、『なまけもの時間術』(学研プラス)などがある。
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(2ちゃんねる創設者 ひろゆき)