日産ゴーン派幹部を一掃か 社内抗争繰り返す企業風土に批判

1月10日(木)7時0分 NEWSポストセブン

ポスト・ゴーン体制の舵取りが焦点

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〈私は人生の20年間を日産の復活とアライアンスの構築に捧げてきました。私にとっては、家族の次に、もっとも大きな人生の喜びです〉


 役員報酬の虚偽記載(有価証券報告書)に加え、個人的な損失を会社につけ替えるなどした特別背任の疑いで再逮捕され、越年拘留されている日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者。1月8日、拘留理由を明らかにする東京地裁での手続きに出廷し、こう私情を挟みながら30分弱に及び「無罪」を主張した。


 同日夜、「司法プロセスの一環なので、コメントする立場にない」と詰めかけた報道陣に淡々と話した西川廣人社長。だが、胸の内は、今後の裁判の行方や、検察と司法取引をしたとされる現経営陣に対してゴーン氏が“反撃”に出る可能性もあることを考えると、気が気ではないはずだ。


 そんな渦中において、日産社内では“ゴーン派”と見られる側近幹部たちの更迭が相次いでいる。


 ゴーン氏の補佐役として覚えがめでたく、長らく西川氏と権力争いを繰り広げてきた元COO(最高執行責任者)の志賀俊之取締役が6月に開催予定の株主総会で取締役を退任する意向を示しているほか、北米・中国など重要市場の販売責任者(CPO=チーフ・パフォーマンス・オフィサー)として次期社長と目されていたこともあるホセ・ムニョス氏の解職、さらに専務執行役員のアルン・バジャージュ氏の更迭も報じられている。


 1月7日、日本自動車工業会の賀詞交歓会に姿を見せた志賀氏は、周囲に「今後のガバナンス(企業統治)を考えたら、我々も責任を取るしかない」と漏らしたという。事件後にはこれまで“犬猿の仲”と言われてきた西川氏とも積極的に社内で交流する場を設けているという。


「志賀流のパフォーマンスかもしれないが、率先垂範で身を引くことによって現体制の邪魔はせず、社内の動揺を収めることが退任までの大事な役目と考えているのではないか」と日産関係者はいう。


 だが、いくらゴーン派を一掃したからといって、西川氏自身もこのまま経営トップの座に居座り続けることは難しいだろう。



「2005年から取締役に就いていた西川氏は、会社の資金の流れやゴーン氏の不正流用疑惑について『知らなかった』で通せるはずがない。何よりも不正を社内で追及できずにクーデター的にトップを解任させた現経営陣は、ゴーン氏に近いかどうかにかかわらず、一斉に交代しない限りガバナンスは改善されない」(経済誌記者)


 ジャーナリストの福田俊之氏は、今後、空席となっている日産の会長人事がどうなるかが、当面の大きな焦点になると指摘する。


「もちろん親会社の仏ルノーとの資本関係もあって、どこまで日産が主導権を持てるか分かりませんが、かつて経営破たんしたJALに京セラ創業者の稲盛和夫氏を招聘したように、暫定的でも財界の実力者を置くなど、外部の目を入れる可能性はおおいにあると思います」


 もっとも、社内抗争を繰り返す日産の企業風土は昔も今もまったく変わっていないのが最大の問題──と福田氏は断罪する。


「1970年代から1980年代にかけて、日産はグローバル化を推進した当時の石原俊社長に対し、労働組合の“天皇”といわれて日産の人事や経営権にも影響力を持っていた塩路一郎氏(日産労連会長)が猛烈に反発。石原派の幹部を次々と関連会社に飛ばすなど激しい社内抗争を繰り広げました。


 結局、豪勢な私生活を送り、公私混同ぶりが問題になっていた塩路氏はスキャンダル報道によって失脚しましたが、今回のゴーン事件は、あの当時の日産に逆戻りしたかのような印象を受けます。


 こうした経営陣の派閥争いや社内抗争が常態化するような企業体質を断ち切るためにも外部の人材登用は必要なこと。このままでは優秀な社員のモチベーションも上がらず、どんどん日産から去ってしまうでしょう」(福田氏)


 予期せぬ形でカリスマ経営が終焉を迎え、再び危機に陥った日産──。果たして「ポスト・ゴーン」体制は巨大組織をどう立て直していくのか。

NEWSポストセブン

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